【読書】伝え方が9割 / 佐々木圭一 | THE ONE NIGHT STAND~NEVER END TOUR~

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「40歳からの〇〇学 ~いつまでアラフォーと言えるのか?な日々~」から改題。
書評ブログを装いながら、日々のよしなごとを、一話完結で積み重ねていくことを目指しています。

伝え方が9割 / 佐々木圭一
¥1,470

「人生にとって大事なことは、他人が決める」

この言葉は間違っている、
「私の人生はすべて私が選択をし決断をして決めているのだ」
と迷いなく思っている方は、この本、読まないほうがいいと思います。

少し説明します。
「他人が決める」というのは、結果として他人から選ばれる、ということです。

たとえば結婚。誰にプロポーズをするかは自分で決められますが、
それを受け入れてもらえるかは相手が決めることです。
受験も、どの学校・どの資格を受けるかは自分で決められますが、
合格できるかは相手次第。就職もそうですね。
会社の中でなにか素晴らしいアイディアを思いついたとして、
上司を説得できなければ実現させることは難しいでしょう。
では独立をしたとしましょう。でも、お客様から選んでもらう(つまり買ってもらう)ことができなければ、生計は成り立ちません。
世の中を変えたい、もっといい社会を作りたい、そのためのプランもある、
と言っても、ひとりでは大したことはできません。
仲間を作り、そのプランの良さを知ってもらわいと絵に描いた餅で終わってしまします。

これ以上はしつこくなるので(すでにしつこいですが)やめますが(苦笑)
人生は「選ばれる」ことで前に進んでいく要素がふんだんにあります。

こうしたことに自覚的でない人が読むと、
単なる、他人を自分の都合のいいように動かすためのテクニック集
にしか見えないと思います。

でも、ひとりではできないことを他人と協同することで実現をしていきたい、
そのために自分の想いをきっちり他人に伝えたい、と思う人が読めば、
ヒントだらけ、即効性がありながら持続的に使える技法が満載だと感じられる本だと思います。

佐々木さんもこういわれています。

あなたのお願いを実現させる答えは、自分の中にはない。相手の中にある。(p90)

<目次>
第1章 伝え方にも技術があった!-なぜ同じ内容なのに、伝え方で「イエス」「ノー」が変わるのか?
第2章 「ノー」を「イエス」に変える技術ーあなたがこれからする頼みごとに「イエス!」をもらう具体的な技術
第3章 「強いコトバ」をつくる技術ー感動スピーチも、映画の名セリフも、こうやればつくれる

第1章には、「伝え方は天賦の才能ではない。学ぶことができる」
ということが書かれています。

第2章には、「ノー」を「イエス」に変えるための3つのステップと、
そのための7つの切り口が書かれています。

最後の第3章には、「強いコトバ」をつくる5つの技術が書かれています。
ちなみに強い言葉とは、「人の感情を動かすエネルギーのあるコトバ」のことです。

帯にも書いてあるので「強いコトバ」をつくる5つの技術を紹介すると
•サプライズ法
•ギャップ法
•赤裸々法
•リピート法
•クライマックス法
ということになりますが、名称だけではよくわかりませんね(笑)

細かいことは本書を手に取っていただきたいと思います。
わかりやすく解説されていますから。
たぶん、無意識に使ったことのある技術は誰にでもあるのではないかと思います。
それを、意識的に、意図的に使えるようになる、
そのための方法も書かれています。

この本、実は悪用しようと思えばできるのではないか、と思います。
他人をだます、とまでは言いませんが、
押し売り系の営業の人とかナンパ師とかが
「これは使える!」
と思うようなハウツーが載っている、とも言えなくはないのです。

でも、それは本来の用法ではありません。
なにか伝えたいという強い想い、
他人と距離を縮めたい、つながりたいという強い気持ちがありながらうまく伝えることができない、
そんな人にとってはかけがえのない処方箋になる可能性がある本だと思います。

そしてそれこそが、著者である佐々木さんの願いだと思います。

それは明示的には書かれていませんが、
生い立ちやこうした技術を見つけける過程を書かれている中に
にじみ出ている、と僕は思いました。