DV、パワハラ、ブラック企業は病気 | さとう社会問題研究所・心理コンサルティングのブログ

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あらゆる社会での対人関係の問題は心の問題の原因にもなります。
法律や政策により苦しめられている方たちもいます。


さとう社会問題研究所では、社会問題を始め、
クライアントの抱える様々な問題解決のため、助言を続けています。

DV、パワハラ、ブラック企業は病気



今回は、自己愛性パーソナリティ障害についてのニュース記事です。


私は、虐待被害者やアダルトチルドレンの方のカウンセリングを通じ、「虐待は心の空白を埋めるため、他者から心のエネルギーを奪おうとする病気である」と言ってきました。

そして、DVと関係があるとされている、モラルハラスメントは、自己愛性パーソナリティ障害と同一のものと考えて治療の対象と考える方が良いとも言っていました。


今回の記事では、「会社そのものがナルシスト」という言葉がありますが、これは、パワハラが小さな社会的な成功や利益のため、「企業文化」などの言葉で正当化され、問題としては見過ごされてきた事実とも重なると思います。


私は治療の専門家ではないため、こういう場合の最善の対処法は分かりません。


また、加害者や精神疾患は、自らが病気である事が理解できないため、治療の動機に結びつかない事例が多いです。


ただ、企業の社会心理、社会病理としてのブラック企業やパワーハラスメントに対しては、問題の根源、加害の根源、要は、真の加害者が反省も改善もさせる必要も無いため、社会問題の解決手法と同様のアプローチによる解決方法が有効だと思います。



あと、念のために申し上げておきますが、正義とは我欲に他なりません。


「社会問題の解決のため、周りの迷惑を顧みないアプローチ」というのは、下の自己愛性パーソナリティ障害の説明通りです。


むしろ、自分がDV人間、モラハラ人間、パワハラ人間である事の自白に過ぎず、問題解決の手法にはなり得ません。


思い当たる方は気をつけましょう。



さとう社会問題研究所では、社会問題の解決のためのアプローチ、または、企業の業務を改善するための心理的な側面や対人関係からのアプローチのコンサルティングも行っています。


もし、この点に関し、ご興味のある方がいらっしゃいましたら、当研究所のサイトをご確認の上、遠慮なくメールをいただければと思います。



行き過ぎた自己愛、ナルシシズムは精神疾患だという研究報告


(2014年7月18日、記事全文)



「アイツちょっとナル入ってんじゃない?」なーんてセリフ。

一昔前はよく聞かれていましたが、元となった単語「ナルシスト」は「自惚れ」や「自己愛」という意味の「ナルシシズム」という言葉に端を発しています。

ギリシア神話で池に写った自分自身にキスをしようとして、その池に落ちて溺れ死んだナルキッソスに由来する訳ですが、意外にも私たちが何気なく使うほど軽いものではなく、心理学的には精神分裂病の類のものなのだそうです。

程度にもよりますが、幼いころに何かしらの出来事で心に深い傷を負い、自らを護るために生まれた人格が他者に迷惑をかけ、時には自分自身を苦しめます。

古くは神話にも登場するとあって、はるか昔にギリシャが栄華を極めていた時代から確認されていたであろうこの症状。しかし1980年代にアメリカ心理学会が「自己愛性パーソナリティ障害(NPD)」という名前で定義するまで、それほどの精神的疾患だという認識はされていなかったのだそうです。

NPDは、全人口の1%が患っているとされ医師の治療を受けていますが、治るまで時間が掛かれば掛かるほど、患者の自我もまた増大していく傾向にあるため、心理学者としてもどのように患者の治療方法を探れば良いのか、これといったものが確立されていないようです。

ですが最近の神経科学の研究によって、NPDに対してどう治療すれば良いのか、そして何が原因となっているのかが、徐々に分かってきているそうです。社会生活においての人との繋がりで、他者への反応をする時に恐怖感が大きくなってしまい、人格が分裂してしまうのが精神疾患発症の大まかな流れのようなのです。

ナルシシズムは、ただ自我が大きいだけの自惚れではなく、それ以上の問題を含んでいます。


先に少しだけ、良い面をご紹介しましょう。精神分裂症と聞くと、なんだか大変な精神疾患のように聞こえてしまいますが、実は悪い面だけではありません。よく考えてみますと、ナルシストというのは自分に自信を持っているということですよね。物事を前向きに捉えて、上手なセルフ・プロデュースで世間に自分の価値を理解してもらうことに長けているのもまた、自己愛の成せるワザなんです。

BrainBloggerのヴェロニカ・パモウカギリアンさんは、ご自身のブログ記事でこうおっしゃっていました。

ナルシシズムにはカリスマ的なパワーがあり、リーダーとしての素養を持ち合わせている

大きな会社がそのリーダーシップを発揮するために、会社そのものがナルシストになっている例も多いのだそうです。

その他ナルシシズムの、特に人生の成功者たちの特徴は...態度がすでに堂々としており、物事を多角的に見ようとし、普通のルールに従うことを良しとは決してしないのです。ゲームで遊ぶにも恋愛関係でも正攻法でアタックしようとせず、他者を蹴落とすために徹底的な下調べをするのです。物に価値を見出し、身だしなみにも気を付けると言うのも、また彼らの特徴と言われています。

しかし悪い面としましては、ナルシシズムの人たちは周りの迷惑を垣間見ずムチャが過ぎて、無鉄砲で一緒にいる人たちにも苦労をかけたりと、危なっかしい面も持ち合わせているのも実情です。

アメリカ精神医学会が出版している『精神障害の診断と統計マニュアル』では、その辺こう記載されています。

NPDには、キャラクター性と大きなパターンとがあります。彼らは周りからの称賛や憧れを必要としますが、共感性に欠け、内なる人格が他者を利用・搾取しようとしたり、傲慢で横柄な態度をとったり嫉妬心に溢れています。

他に分かりやすい特徴は、内なる人格がとる距離感と逃避などが挙げられ、不安定で傷つきやすく過度に敏感、攻撃的で恥をかきやすいというものがあります。

同様にアメリカ国立衛生研究所もまた、人並み外れた自己重要感と自分自身への類まれなる関心の深さ、そして他者への共感の欠落といった精神状態にある人々を、ナルシシズムであると表現しています。

まだまだあります。自分に対する批評や酷評などには怒りと恥を感じ、己の成功のためなら他人の努力も踏み台にします。自分がどれほど重要なのかを常に感じているせいか、自ら達成した事柄や才能を大袈裟に自慢し、これからの成功や権力、美貌に知性に理想の愛にといろんな妄想で頭がいっぱい。

なので根拠もないのに周りからチヤホヤされることを期待しており、常に自分を気にしていて欲しいと望み、認められていたいのです。とり憑かれたように自分にしか関心がなく、自分だけがゴールすれば良いということしか頭にないのです。

『Narcissism: Behind the Mask』という本を書かれたデイヴィッド・トーマスさんもまた、ナルシストたちの仮面の裏側についてお話されています。

彼らはあからさまに自分自身しか興味がなく、他者との満足した関係を続けることもできず、それらが心理的な要因だという認識もない、とおっしゃいます。他人と自分をハッキリ別の人間として捉えており、横暴なボディー・ランゲージも多用するのに、他者からの小さな文句や陰口などにモノ凄く敏感に反応するのです。

通常のNPDを治療するにはまず、「ナルシシスティック・パーソナリティー・インヴェントリー(NPI)」を使うのが一般的だと言われています。これは被験者が普通の人なのか、基準に満たない潜在的なラインなのか、はたまた既にナルシシズムなのかを測るため、人の権限や優劣、自慢したがるクセや自惚れなどについて40項目の目録をチェックするのだそうです。

ですがたとえ被験者が高ポイントを出したとしても、それがすぐさまNPDであるとは限らないのだとか。反対に、ナルシシズムではない人でも、チェックをしてしまう項目がいくつもあるとあって、これは本当に判断が難しそうですね。

NPIは一応、心理学者がテストする時に使うものではあるものの、ネット上でも自分でチェックが出来るようになっていますので、もしや? と思う方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか? ちなみに質問内容は、不定期で更新されるようですのでご注意ください。

2008年に、ドリュー・ウェスタン博士とその仲間たちが、ナルシシズムを大きく3種類のパターンに別けようと提案したものがあります。

偉そう、または悪意のあるナルシシズム:
怒り、そして他者を思い通りに操ろうとする人柄だとこのタイプだと分別され、権力への飽くなき欲求と、自分の重要性を大袈裟に語る傾向があります。

精神的に脆いナルシシズム:
自分が持つ能力が低いと感じていたり、常に心配だったり、孤独だったりするため、そんな弱い自分を護ろうとするあまり威張るタイプがこちらです。

優秀な能力をひけらかしたいナルシシズム:
自分自身に自信満々で、非常に活力に満ちており、元気で外に、そして人前に出たがる目立ちやタイプです。

と、このように分類されるそうなのですが、心理学者としましては、やはりナルシシズムとなってしまった原因を探らねばなりません。ナルシストの人たちには、幼い頃に精神分裂になってしまった可能性が高いことから、まずは両親に原因があるのではないかとアプローチから考察するのです。

たとえばR.S.ホートン氏が最近行った研究では、親が自分の思うように子供をコントロールしたいということから、精神的な影響が出てしまい偉そうなタイプのナルシシズムになりがちだと報告しています。

ですが子供に冷たくあまり干渉しない、または子供を過大評価する親のタイプは、子供がナルシシズムになる原因にはならないのだそうです。では、どんなものが原因になるのでしょうか? 
つい去年のこと、エルサ・ロニングスタム博士とアリーレ・バスキンソマーズ修士たちにより、神経科学的な見地から「恐怖と意思決定をする過程がNPDとつながっている」という発表がありました。確かに、これまでも「恐怖」という感情が自己愛性パーソナリティ障害、そしてナルシシズムの原因の一つではないか、とは学者の間で考えられていたようなので、2013年になってやっとそれを裏付けることが出来たのですね。

おふたりがおっしゃるには、心の闇と後ろ向きな経験に対する恐れ、もしくはそういった自分自身に我慢がならないと感じた時、破壊衝動や自殺衝動など自分のコントロールを超えた絶望が発生し、そうした感情から自分を護るためにNPDが発症するのだそうです。何かしらの恐怖体験がトラウマとなり、ナルシシズムの早期段階が始まるのだ、とも。

恐怖と一口に言っても、親からの虐待ですとかイジメや心霊体験などに限らず、自分が何かを達成できなかったり、競争に負けてしまったり、本来の力が発揮できず失敗に終わってしまった...という体験が引き金になってしまうのです。これは特に、完璧主義者に多い恐れでしょうね。

そして神経学的な話、科学者が指摘するには、脳ミソの中で感情を起伏させるために刺激を与える「小脳扁桃」という部位や、「中隔側坐核」、「海馬」、そして前頭葉をつなぐ神経などが恐怖を感じた時に、生物学的な反応を起こすのがナルシシズムのきっかけを作り出すことなのだそうです。

特に男性の場合は、強いストレスを受けた時にも脳内のホルモン・コルチゾールが刺激され、恐怖体験をした時と同じ反応を起こしてしまうこともあるのだとか。うーん、もしかすると、やたらと威張り散らすオジサンたちはもしかすると仕事で過度のストレスを受けた末に、そうなってしまったのかもしれません。

自己愛性パーソナリティ障害の代表的な症状である、物事を大袈裟に喧伝するところや他者への共感ができないところ、それに少々のことでは動じないところなどは、一般的によく言われる精神病...つまりサイコパスともよく似ているそうです。重なる部分も多いので、中にはナルシシズムの核となる部分はサイコパスなのではないか? と考えている学者も少なくないのだとか。

というのも、両者ともに上記で述べたような、なりふり構わず自分のゴールを目指し、なるべく安全・確実な方法で勝利を収めようと努める共通点があり、自分が持つ恐怖に対して過敏で過剰な反応を示すという極端な部分が類似しているのがその根拠なのです。

先ほどから何度も他者への共感ができない、と言っているナルシシズムですが、イギリスのサリー大学とサウサンプトン大学での研究結果により、NPIで潜在的ナルシストの段階に該当した人たちであれば、他者が耐え忍んでいる苦痛を想像してみるよう頼んでみるとそれが出来ることが分かりました。

そこから導き出されるのは、他者への共感性の低さは低いというだけで、決して共感が出来ないということではないのです。まぁ、この方々は顕在的なナルシストではありませんので、他者への共感は難しくないでしょうね。

さて最後に、ナルシシズムの治療には患者自身の考えと行動により、自らの中に眠っている恐怖心に注意を向け、それを理解することが大事なのだそうです。

しかしそれだけではなく、患者がその治療を受け入れるには、自身が精神的に弱く満ち足りていないことを自覚する必要があるというから、ナルシストとしての自信に溢れたプライドを一度捨てないといけなくなりますね。

多少は自分が大好きなのは日常生活で必要なことでしょうけども、自分だけが得をするために、他人を巻き込んで迷惑をかけるほどであれば精神科医や心理学者を訪ねてみるのも良いかもしれません。


ソース: NIH | Brain Blogger | Ronningstam and Baskin-Sommers (2013) | Narcissism: Behind the Mask, David Thomas | DSM-IV | Slate | The Productive Narcissist: The Promise and Peril of Visionary Leadership, Michael Maccoby |
Why Narcissism Is a Profoundly Misunderstood Psychological Disorder[io9]

(岡本玄介/Kotaku JAPAN)