グローバル化が加速させる管理職・エグゼクティブの転職 | OVERNIGHT SUCCESS

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組織というものがある限り、管理職のニーズはなくなりません。リーマンショックの影響や、グローバル化に伴うマーケットの変化によって、ビジネスの見直しや新規事業への意識が高まっています。そして、それに合わせるように管理職人材のニーズも増えています。注目の業界や、求められる資質について、プロフェッショナルバンク・常務取締役の高本尊通氏に話を聞きました。


「グローバル化」によって管理職のニーズが拡大している


株式会社プロフェッショナルバンク
常務取締役
高本尊通 氏
管理職のエグゼクティブレイヤーの求人は、常に安定した状態で、あらゆる業界においてニーズが高くなっています。人材業界全体に言えることですが、2008年に起こったリーマンショックの影響は大きく、案件数も当然落ち込みました。しかし、翌2009年から少しずつ回復を見せ始め、2011年3月の震災の影響でまた凹んだものの、そこからの復興は早く、すでにニーズが回り始めているというのが現状です。

なぜ復興が早かったのか。その理由を紐解くキーワードは「グローバル化」です。震災によって日本経済は大きなダメージを受けました。それを機に、「内需が立ち直りまで時間がかかるかもしれない」と考えた企業の多くが、これまで尻込みしていたグローバル化、具体的には外需の取り込みに本腰を入れ始めたのです。しかし、いざグローバル化に取りかかろうと思った時に、すでに自社にいる人材だけではまかないきれないことがわかった。そこで「海外展開を仕切れる人材が欲しい」というニーズが生まれ、管理部門や事業部長クラスの求人採用が活性化したというわけです。

今回の求人ニーズがこれまでと大きく違うのは、求められる「経験」の部分です。もちろん英語や中国語といった語学力が必須なのは変わりませんが、より重視されるのが「海外での就労経験」です。「TOEIC850点で、現地の人を仕切れる人」よりも、「言葉が使えて、現地観を肌で知る人」がより求められるようになってきました。これは、生産拠点の工場長(といってもエグゼクティブクラスが担うわけですが)として現地で働くようなニーズが増え

ているというだけではありません。日本にいながら現地スタッフをハンドリングする場合においても、現地を知ることの強み、経験値を問われる場合が多くなっているということ。より現地の状況や、そこで働く人の気持ちをわかったうえでマネジメントできる力が求められているのです。

注目業界は、IT系やネット系です。内需が飽和状態となったため、本格的なグローバル展開のフェーズに入った企業などは、グローバル人事などを始め、あらゆる部門で管理職ニーズが発生しています。また、内需という面でこれからの市場拡大が見込まれる医療・介護業界も狙い目です。早いうちに業界でヴァリューをつけておき、ビジネスプロフェッションになっておくことで、エグゼクティブになるチャンスが早く訪れるかもしれません。その他、「海外展開」というキーワードで新規事業を立ち上げている多くの企業でもチャンスは広がっています。

職種で言えば、新規事業の展開にともなった海外営業が筆頭です。もちろん先ほど触れたグローバル人事の管理部門などは、あらゆる業界においてニーズが高まっています。また事業内容はさまざまですが、各部門のスペシャリストが事業部長クラスとして求められる場合も多くなっています。国内事業系では新規事業立案に関わる、事業企画などの職種でも案件が増えていますね。

なお、震災の影響で案件数は減ったものの、海外企業の日本進出に伴うヘッド人材の需要というのもあります。中国や韓国が多いですが、主にエンジニアなどをエグゼクティブレイヤーで採用し、自国のビジネスにおいて三顧の礼で迎え入れるといったような案件です。こうしたニーズは、30代後半くらいから幅広い層においてニーズがあり、高い確立で年収増も見込めるメリットがあります。 .

「スピード」「やりきる力」によって出した実績を「露出する」

企業が求める人材像を考えるうえで、重要なキーワードが「スピード」です。「何よりスピード感のある人がほしい」とおっしゃる経営者が本当に増えています。よく、「ヒト、モノ、カネが企業を成長させる」という言い方をしますが、最近ではそこに「スピード」「情報」が加わっています。しかも「スピード、ヒト、モノ、カネ、情報」というくらいの優先順位になっているといっても過言ではありません。

もう一つ大事なのが、「やりきる力」でしょう。ビジネスというものには答えがありませんから、正攻法が必ずしも通用するとは限りません。だからこそ、PDCAを高速回転で回し、前に進めながらブラッシュアップさせつつ決めていくという発想が必要なのです。つまり、結果が出るまで逃げず、徹底的にやりきれる人でないと、成果が出しにくい時代になっているということ。特に、マネジメント力が求められる管理職にとっては必須ともいうべき力であり、多くの企業が今、最も求めているスキルの一つと言えるかもしれません。

そういったビジネスに対する発想を持ち合わせていそうだということで、「戦略ファーム出身者」が注目されることは多いです。金融機関、特に外資系の出身者を評価する企業も多いかもしれません。これはあくまで代表的な例にすぎませんが、いずれにしても、「スピード」「やりきる力」の2つを意識して仕事に取り組める人を、企業は何よりも求めています。

しかし、特に管理職というポジションを希望するのであれば、「転職によってエグゼクティブになろう」と思わないことが大事なのかもしれません。それよりも、「人から声をかけられる(誘われる)くらいになっておく」という意識でいるべきでしょう。未経験転職のような甘い話でないのは言うまでもなく、転職できたからといって通用するかと言えば、そんな簡単な話ではありません。「この仕事は、あなただから任せたい」と認められてナンボだという意識を持っておくことです。そのためには、周囲を認めさせるような圧倒的な実績を残しておく。結局は、目の前の仕事をしっかりやるということに尽きます。エグゼクティブの転職に、飛び道具はありません。

さらにつけ加えれば、そうした実績をきちんと露出することが大事なのです。実際にスカウト会社やヘッドハンターの多くは、そういう露出された情報を参考にして人材を評価し、実際に声を掛けています。多くの人の目に触れれば触れるだけ、チャンスは広がる。そう考えておくことです。特に日本人はこの部分に対して臆病ですから、やっておくだけでも周りに差をつけることができるかもしれません。

特に今は本当に色々な手段がありますから、自分から発信できるメディアをうまく使って、どんどん露出しておくことです。仕事にまつわるブログなどを開設してみるのもいいでしょう。よく「転職にはリスクがつきものだ」と言いますが、“転職活動”には何一つもリスクはないのですから。