二宮正治小説:姫宮伝説(広島市安芸区矢野)物語第25回 | 二宮正治文芸コーナー

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 勇吉の一行は鎌倉から天摩の庄(現広島市安芸区矢野)に戻った。勇吉が許されて天摩の庄に戻ってくる事はこの庄の人々に知らされていた。
大浜につく頃には村の殆どの人々が出迎えてくれている。
「よかったのう」
「勇吉の情熱があの冷酷な源頼朝の心を動かしたんじゃ」
「ほうよ、勇吉は天下の将軍に勝ったんじゃ」
 人々は熱狂して口々にこう言った。
二宮光正が人々の興奮を抑えるようにこう言う。
「勇吉は頼朝に勝ったが妻の政子にも勝った」
 この言葉に村の人々は涙を振り絞って、
「ウォー」
 と絶叫する。
鎌倉から来た面々が、
「わしらもここで暮らす事になった。よろしく頼む」
 こう言うと、天摩の庄の人々は、
「こちらこそ」
 と頭を下げるのだった。
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