(3/2更新)元特攻隊予備兵が読んだ『永遠のゼロ』(百田尚樹著) これは安倍首相の論理と同じ | 一日一回脱原発 & デモ情報in大阪

一日一回脱原発 & デモ情報in大阪

大きなことはできません。でも一日一回、小さなことでも脱原発に役立つことをしよう。そういう思いを込めてタイトルをつけました。脱原発デモ・イベント情報と、原発&放射能に関するお役立ち情報を掲載します。

修正版(3/2)


少し前、わたしの周辺(会社)で、映画『永遠のゼロ』が話題になっていました。

映画見た、よかった、泣いた、まわりはみんな泣いてた、原作読んだ…。



こういう会話を耳にした人は多いのではないでしょうか。
そして、何とも言えない違和感を覚えつつも、どう反論していいかわからず黙りこんでしまうという経験をした方は多いのではないでしょうか。



私は映画は見ていないし、原作も読んでいませんが、この小説は特攻隊の若者を主人公にしていて、原作者は安倍首相のお友達だという百田尚樹氏だという。そこでまず大きな違和感を覚えました。なぜこの作品がこれほど話題になり、人気があるのだろう?



この作品のことがどうにも気になっているときに、朝日新聞の投書欄に『永遠のゼロ』の感想が立て続けに掲載されました。

一つ目は女子高生が書いたもの。全部は覚えていません。でもこの映画を見て、「戦争はいけないと思った」ということを書いていた。



そして二つ目は、元特攻隊員予備軍(海軍飛行隊予科練習生)志願者の書いたもの。

ところで、映画は見ていませんが、この映画の批評を読みました。批判的に書こうとしていたけれど、なかなか書きあぐねている感じでした。


この映画では戦争を肯定的に書いているわけでもないし、軍部の批判もしているとのこと。そして、戦争を知らない若者がこの作品を読んで、戦争は絶対にいけないと感じたと言っている。



一方、特攻隊のことをよく知っている人がこの作品を読んだら、どのように感じるか? 元特攻隊志願者がこの小説を読んで書いた投書は、作品を読んだ人も読んでいない人も耳を傾ける価値のある貴重な意見だと思いますので、紹介します。


朝日新聞『声』欄より

永遠のゼロ批判読者投書2



さらに2~3日前、こんな投書も掲載されました。


特攻隊基地にい戻れぬ装置



戦争を知らない多くの人たちに、とりわけ若い人たちに、この現実を知ってほしいと思います。わたしも戦争は知らない、特攻隊の現実も直接には知りません。でもこれらの投書を読めば、その一端は十分伝わってきます。特攻隊は残酷で、悲惨で、国家による犯罪的な行為だと思う。



百田氏は作品の中で、特攻隊をどのように描いたのでしょう。この記事に寄せられたコメントでは、ちゃんと悲惨なものとして描いているというまじめな意見も多かったです。

一方特攻隊の体験者は、人間扱いされず、単なる消耗品として扱われた自分たちのことを立派だとほめている作品であると感じ、非常な違和感を感じたと書いています。

この感じ方の違いは非常に興味深く、この作品を読んで、考える上で、参考になるのではないかと思いました。ここから先は、自分の目で読んで確かめるしかないのでしょう。



ところで、百田氏が東京都知事選で田母神氏の応援演説をしている動画の中に、百田氏の主張を表す興味深い発言があったので、紹介しておきます。



「国民の中で最も戦争を起こしてほしくないのは自衛隊員。
戦争になったら自衛隊員が真っ先に死ぬから。
日本憲法は戦争が起こってほしくないという希望を書いただけの憲法(?)。
この憲法を、戦争を絶対に起こさせないという憲法(?)に変えないといけない。」


(このあと、自衛隊員は日々訓練に奮闘していることが熱っぽく語られる)


「彼らはもし、こんなことが決してあってはいけないけれども、なんらかの都合で日本が戦争に巻き込まれたときには、彼らは命を懸けて日本のために戦うという気概を持って日や頑張っている。けれども彼らを決して無駄死にさせてはいけません…。



これらの言葉から聞こえてくる百田氏の主張は何か。それはこんなものではないかと思います。


「戦争はもちろんいけない(いまどき、右翼でも露骨な戦争賛美なんてしない)。

でももし戦争になったなら、日本のために命を懸けて戦いなさい。それは崇高なことなのだから…。



百田氏が演説の中で言っているように、戦争はいけない。ほとんどの人がそう考えることでしょう。

でも戦争の本当の悲惨さを知らずに漠然とそう考えている場合、「戦争はいけない」という考えは、ちょっとしたきっかけで簡単に
「でも戦争が起こったら国のために命を懸けて戦わないといけない」

という考えに変化してしまうものだと思いました。



戦争など望まない普通の人がそんな風に思いこまされる。それはかつて国を上げて戦争を賛美したころの日本人と同じ。

日本は世界で最も平和な国といわれてきたけれど、きなくさい出来事が頻発し、それに対していかにも反応が鈍い(欧米ではありえないと思う…)日本人の意識自体は、実は国を挙げて戦争を賛美した当時から、大して進歩していないのではないかと悲観的になる今日この頃です。




多くの日本人に、とりわけ若い人たちに、特攻隊と関わり、あるいはさまざまな形で戦争を経験し、その悲惨さを知っている戦争体験者たちの声を聴いてほしいと思います。
少なくなりつつある戦争体験者の話に耳を傾け、戦争の真実の姿を知ること。今ほどその重要性を切実に感じることはありません。
あちこちできな臭い動きが頻発する今の日本には、本当に必要なことだと思います。




この間、本当に多くの方がブログの記事を読んでくださり、意見を書いてくださました。返信したいコメントも多々ありましたが、時間的にも能力的にも、とても個別に返信を書くことはできません。ご了承ください。


いろいろなコメントがありましたが、読んでいない作品に対する感想を書くべきではないという批判が一番多かったように思います。


わたしが読んでいないこの作品に関する記事をあえて書いたのは、朝日新聞に掲載された二人の特攻隊経験者の投書をぜひ多くの人に読んでいただきたいと考えたからで、それと合わせて百田氏の東京知事選演説も、氏の考え方を端的にあらわすものとして紹介しました。


「読んでいないのに書くな」という批判はごもっともで、あらかじめ予想されていたことでもあったので、作品自体に対する自分の意見はなるべく書かないように注意するつもりでしたが、実際はそうはなっていませんでした。ですので、作品自体に対するわたし自身の意見めいた部分は削除しました。二人の戦争経験者の投書と、百田氏の言葉の紹介と、それらに関する感想や意見のみを残し、加筆修正しました。
遅読・遅筆の上、毎日時間に追われる生活をしているので、作品を読んだ上で書き直すことは、すぐにはできません。とりあえずこういう形で微修正しました。


批判をいただいたおかげで、わたし自身書くべきかどうかちょっと迷いながら、そんなにたくさんの人は読まないだろうと安易に考えて残した部分を削除することができました。結果的によかったと思っています。


この記事へのアクセスは、10万件を超えました(アメバのアクセス集計なので、やや信用性が低いです)。「いいね!」も5000件を超えました。ふだんローカルな記事を扱っているわたしのブログで、かつてありえなかったことです。コメントは批判的なものが多かったですが、中には共感してくださる方もありました。


予想外の形となりましたが、この記事を書いた最大の動機である2人の特攻隊体験者の投書を本当に多くの人に読んでいただくことができました。読んで、拡散してくださったみなさんに感謝します。


クリックして応援お願いします!

 ↓ ↓ ↓