モールス(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

モールス(ネタバレ)

モールス

三角絞めでつかまえて-モールス(映画)

原題:LET ME IN
2010/アメリカ 上映時間116分
監督・脚本:マット・リーヴス
原作:ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト
撮影:グレッグ・フレイザー
音楽:マイケル・ジアッキノ
出演:クロエ・モレッツ、コディ・スミット=マクフィー、リチャード・ジェンキンス、イライアス・コティーズ
(あらすじ)
学校でのいじめに悩む孤独な12歳の少年オーウェン(コディ・スミット=マクフィー)。ある日、隣に引っ越してきた少女アビー(クロエ・モレッツ)と知り合ったオーウェンは、自分と同じように孤独を抱えるアビーのミステリアスな魅力に惹(ひ)かれ始める。やがて町では残酷な連続猟奇殺人が起こり……。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




80点


※今回の記事の文章はかなりダラダラしていて読みにくいので、気をつけてください…。

昨年、212本観た中で第6位にするほど好きな映画「ぼくのエリ 200歳の少女」が、僕が大好きなクロエ・モレッツちゃん主演でリメイクされたということで、シネマスクエアとうきゅうに行ってきました。「映画って難しい… (´・ω・`)」と思いましたよ。


こういう大きい看板を観るとテンションが上がりますな~。
三角絞めでつかまえて-シネマスクエア東急

なんとクロエちゃんの生チェキがもらえるキャンペーンがやってました。ちくしょう、ほしい!ヽ(`Д´)ノ
三角絞めでつかまえて-リピーターキャンペーン1


まず、僕が「ぼくのエリ」について思っていることをあらためて書きますね。最初観た時は「将来、オスカーはホーカンみたいになっちゃうのかも… (´д`lll) 」って思ったんです。で、その後に原作小説を読んで、「なんだ、ホーカンはペドフィリアかよw」「これは原作を読まないと分からないところが多いねぇ ┐(´ー`)┌ヤレヤレ」なんて思ってたら、実に素晴らしい宇多丸師匠の「ぼくのエリ」評を聞いて「曖昧な部分はわざとそうしたんだ!∑(゚Д゚)」ということに気付かされまして…。

例えば、原作にあった“ホーカン=ペドフィリア設定”とかをあえて説明しないことで、「昔、ホーカンはオスカーのような少年だったのかもしれない…」とこちらに想像させるように作られていたワケです。僕は、ついつい「原作の方が正しいのよ!ヾ(。`Д´。)ノ」と思いがちな自分を反省するとともに、あらためて「『ぼくのエリ』は良い映画だなぁ」と思ったりしたんですよね(ボカシと邦題については今も納得できませんが)。


なんとなく「ぼくのエリ」の予告編を貼っておきますね↓




で、今回の「モールス」ですが…。とりあえずこれから2つの作品の登場人物の名前が飛び交う読みにくい文章が長々と展開されるので、「『ぼくのエリ』のオスカー(主人公の男の子)→『モールス』ではオーウェン」「エリ(子どもの姿の吸血鬼)→アビー」「ホーカン(エリと一緒にいる中年男性)→トーマス(リチャード・ジェンキンス)」ということを頭に入れながら読んでいただけると幸いです。

リメイクというよりは“原作を元にあらためて脚本を書いて、そこに「ぼくのエリ」の要素も入れた”という感じでして(監督もインタビューでそう言ってた)。だから、「ぼくのエリ」はスウェーデン版で、「モールス」はアメリカ版と言った方が良いのかもしれませんな。基本的な流れやオチはほとんど「ぼくのエリ」と一緒なんですけど、「オーウェン=若き日のトーマス」ということを強調した作りになってまして。僕的に分かりにくくて不満だった「ラッケとヴィルギニアのエピソード」はほぼ“ないこと”になって、刑事(イライアス・コティーズ)が積極的に捜査していることにした分、物語が非常にスッキリしてました。その他のホラー描写は過剰になっているし“分かりやすいホラー映画”としての完成度はかなり高いのではないでしょうか。

ただね…。万が一、億が一にでもクロエちゃんがこのくだらない感想文を読んでションボリしたら…と思うと、こういうことは書きたくないんですが、僕は『ぼくのエリ』の方が全然良かったなぁ」と。マット・リーヴス監督のインタビューとか読むと、恐ろしく愛情を持って作ったのが分かるし、実際、「モールス」はスゲー良く出来てるんですよ。だがしかし! 例えると、分かりやすく白と黒にハッキリ塗り分けた分、“グレーな部分”がなくなっちゃったことで、僕自身が意外とその“グレーな部分”にこそ惹かれてたことに気付かされたというか。

なんて言うんだろう、宇多丸師匠の「ぼくのエリ」評で指摘されていた「ホーカンが使った棒をオスカーが使う→立場の継承!?」という“映画オリジナルの気が利いた示唆”を引き継ぐのは全然良いし、「オーウェンが被るマスクがトーマスの顔っぽい」といった匂わせ方も良いんですけど、さらに「トーマスっぽい子どもがアビーと一緒に映ってる写真」まで加えちゃうんですよ。そうなると、もうモロに「トーマスの運命=オーウェンの運命」ということでしかなくて、「いや、でも、もしかするとアビーはああやって中年男を取っ替え引っ替えして… (´Д`;)」といった違う妄想の入る隙がないことに、逆に物足りなさを感じちゃったんですよね。


トーマスらしき少年とアビーの写真。ここまでモロだとちょっと引くというか…。
三角絞めでつかまえて-2人の写真


あとね、これも好みの問題なんですけど、オーウェンとアビーの“恋愛臭”が強まってたのも不満でした。オスカーとエリの場合は、2人とも幼く見えたのもあって、“孤独な子ども同士が惹かれ合った”感が漂ってたじゃないですか(オスカーはエリを女の子だと思ってはいたけど、性別は関係ない感じ)。でも、オーウェンとアビーの場合は、「オーウェンに覗き趣味がある」&「アビーは単に吸血鬼だから『女の子じゃない』と言ってるだけであり、ベースは女の子」&「それなのに“着替えを覗いてドキドキ描写”がある」ということで、孤独を補完し合うだけではなく“異性だから惹かれ合った”的な意味合いも入ってまして…。もちろん、それでも全然良いんですけど、やっぱり2人の関係に対する妄想の余地が減ってしまった気がして、僕は「ぼくのエリ」の方が好きかなぁ。ちなみに、トレーニングを覗かれる男が「レッツ・ダンス」を聞いてましたけど、「あの時代の男がトレーニングで聞くべきなのは『アイ・オブ・ザ・タイガー』だろ!(`Δ´)」ってのはどうでも良いですな ┐(´ー`)┌ ヤレヤレ


隣の家を覗くオーウェン。物語の進行上は良い設定だと思いますが…。
三角絞めでつかまえて-覗き趣味

とりあえず貼っておきますね。




そして、一番残念だったのはラスト。プールで惨殺が繰り広げられるのは一緒なんですけど、「モールス」は残虐な行為が行われていることを強めた実にホラー映画っぽい演出なんですね。さらに、オーウェンがプールから上がった時、彼と一緒に映るのはアビーの足であり、その後、アビーにうながされて彼女を見上げるという「今後は下僕ですね (・∀・)」感溢れる描写がありまして。まぁ、「オスカーは幼い感じ→自分の選択の重要性をよく分かっていない→だからエリと一緒に旅立つことに違和感がない」けど、「オーウェンはもう少し物事が分かっている少年に見える→人間を無惨に殺害する吸血鬼に付いていくのはハードルが高い」からこそ、ああいう演出にしたとは思うんですが…。

ごめんなさい、かなり面倒くさい文章を書きますが、僕は本当に「ぼくのエリ」“美しい残虐描写”と「絶望的かつ青く静寂な世界に救いがやって来て、それは決して人間社会とは相容れない存在なんだけど、孤独な僕を唯一分かってくれる友だちなんだ」って感じのオスカーの最後の笑顔の方が大好物だったので、かなりガッカリしちゃいました… (´・ω・`)


下僕感の強いシーン。女の子×流血ということで、つい「破瓜のメタファー!ヽ(`Д´)ノ」とか言い出すところでした。
三角絞めでつかまえて-下僕感


その他、「ぼくのエリ」の時には不満だった「ラッケとヴィルギニアの話」が、なくなってみると結構寂しかったのには、我ながらビックリしました。あの猫たちが凶暴にニャーニャーするシーン、前は「映画のムードが損なわれる!ヽ(`Д´)ノ」って思ってたんですけど、今では「あれがあったから、良かったのでは…」と思うほど。人間ってホントに気まぐれですよネ (o^-')b ダメネ


今、振り返ると大事に思える猫たち。
三角絞めでつかまえて-襲い来る猫!


って、ダラダラダラダラ文句を書いちゃいましたけど、基本的に面白い映画なのは間違いないんですよ。コディ・スミット=マクフィーも頑張ってたし(「ザ・ロード」でも良かったネ)、何よりも何よりも何よりもクロエちゃんの可愛らしさは最強であり100点!ヽ(`Д´)ノ 主観視点のカークラッシュ・シーンとかも良く出来てたしね。僕は「ぼくのエリ」から観て“あの世界”にハマッてしまったからこそ、つい比べちゃってグダグダグダグダと何の役にも立たない駄文を偉そうに書き散らしただけであって。「モールス」から観る人なら別に不満は感じないだろうし、「ぼくのエリ」に物足りなさを感じてた人なら「むしろこっちの方が面白いじゃないの!ヘ(゚∀゚*)ノ」ってことにもなるクオリティの作品だと思うので、興味がある人は8月中に劇場へ何度も通って、クロエちゃんの生チェキを勝ち取るがいいさ!ヽ(`Д´)ノ(僕は諦めました…)




マット・リーヴス監督を有名にした作品。この映画のモンスターとレオが戦う作品が観たい…。



大好きな映画。僕の感想はこんな感じ



原作上巻。結構読みやすいんですヨ (・ε・)



原作下巻。ホーカンが勃起しながら大暴れします。



モールス信号をマスターしたい人に…って、どうでもいいね!