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『投資(前編)①』三橋貴明 AJER2015.10.27
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今週は、夕刊フジで短期集中連載「断末魔の中韓経済」を連載しています。
ヒカリランドから「ドイツ第四帝国の支配と崩壊 亡国の新帝国主義
」が刊行になりました!
徳間書店から間もなく出版となる毎年恒例の「2016年」で詳しく書いたのですが、現在、中国の侵略行為が南シナ海でアメリカの「国是」あるいは「基本戦略」と衝突し、緊張が高まっています。
『米イージス艦南シナ海派遣 対話に動き出す米中 「航行の自由作戦」効果は期待薄
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151029-00000550-san-n_ame
米軍による南シナ海での「航行の自由作戦」を受け、米国と中国は情勢の緊迫化を回避するための対話に早くも動き出す。だが、非難と原則論の応酬に終始することは必至で、中国の「力による現状変更」に対する作戦が効果を発揮するかは不透明だ。
米中は29日に海軍高官によるテレビ会議を開くほか、作戦の立案に深くかかわったハリス太平洋軍司令官が来月2日から訪中し中国軍幹部と協議する。ハリス氏の訪中は作戦の実施前から調整されていたが、中国側の受け入れは対話を望む姿勢の表れだといえる。
ケリー国務長官も28日、国務省で開かれた外交政策会合で「緊張の緩和と沈静化を望む」と、対話を引き続き重視する姿勢を強調した。カービー国務省報道官は記者会見で、中国が作戦を「挑発行動」と反発していることに「同意しない。公海上の航行は何であれ挑発行動ではない」と反論しつつ、「問題の外交的解決を望む」と述べた。
米中の間には軍事衝突を回避するという「暗黙の了解」がある。とりわけオバマ政権は、シリアに軍事介入したロシアと極めて慎重に間合いを取るなど、「大国」との軍事衝突を避けることに徹している。(後略)』
アメリカはあれだけ大きな大陸国でありながら、「海洋国家」であり続けようとします。というわけで、アメリカにとってFON原則(フリーダムオブナビゲーション)、すなわち自由航行原則を絶対に崩そうとしません。
自由航行原則が脅かされるような事態に至れば、世界のどこであれアメリカ海軍が動く。これは、アメリカの基本的な国家戦略なのです。
思い返すと、2013年1月、アメリカのオバマ大統領がシリア問題で「レッドライン」を守らなかったことが、現在の南シナ海につながっているのでしょう。挙句、オバマ大統領は、2013年9月10日にテレ米演説で、
「アメリカは世界の警察官ではない」
と発言してしまいます。
結果、中国側に「誤解」を与えた可能性が高いと思います。
中国側の南シナ海の「岩礁」の埋め立て行為、及び滑走路の建設は、要するに同海域の領海化です。中国は1992年に領海法を制定し、他国の軍艦が中国の「領海」を無害通航権を否定しました。無害通航権とは、沿岸国の安全が脅かされない限り、外国船が自由な航行を認められる権利になります。
現在の国際法では、埋め立てた岩礁は領土として認められていません。すなわち、中国が岩礁を埋め立てても、領土にはならず、周辺海域(12カイリ以内)も領海とはならないのです。
というわけで、アメリカはFON原則に則り、アメリカは10月26日にイージス駆逐艦ラッセンを南シナ海に派遣。中国の人工島の12カイリ以内で哨戒活動を実施することで、
「ここは中国の領海ではない」
ということを、世界に示したわけです。
報道によると、アメリカの国務省は今年の五月からFON作戦の実施を主張していたものの、ホワイトハウス(オバマ大統領)が決断を留保し続けていたようです。9月末の習近平訪米時に、中国側が南シナ海への侵略を進める姿勢を崩さないことが明らかになり、今回のFON作戦につながったわけです。
中国が「力による現状変更」を改めない限り、アメリカは繰り返し、埋め立てた岩礁近辺の哨戒活動を続けるでしょう。すなわち、中国の領海化の否定です。
何しろ、アメリカにとって自由航行原則は「国是」ですから、これ以上の譲歩は絶対にありません。(そもそも、オバマ大統領の決断が遅すぎ、事態が悪化したとしか思えません)
とはいえ、中国側は目に見える形で譲歩することはできないでしょう。それこそ、習近平政権が存続の危機に陥ります。何しろ、習近平は反腐敗キャンペーンで多くの共産党官僚の恨みを買っています。彼らは南シナ海での習近平の「失敗」を、大いに活用しようとするでしょう。
いずれにせよ、今回の南シナ海の危機は、覇権国家アメリカのパワーが中長期的に衰えていく過程で深刻化していったものと考えるべきです。別に、
「アメリカの覇権は今すぐ終わる」
などといいたいわけではありません。中長期的にアメリカが事態を収拾する能力を衰えさせていくという前提に基づき、日本は「現実」に即した対応をしていかなければならないという話です。
それにも関わらず、日本国内で野党側から、「戦争法(安保法のこと)廃止の国民連合政府の実現」などという世迷言ばかりが聞こえてくるため、絶望感を覚えてしまうのです。民主党も共産党も、そろそろ「現実」を見て、
「目の前で起きている南シナ海の危機に、具体的にどう対応するのか?」
という点について、安倍政権を追求したらどうですか? 野党勢力が「安保闘争再び」のお遊びをしている間にも、目の前の危機は刻一刻と深刻化していっているのです。
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