安倍政権が現代の奴隷労働=外国人実習制度を拡大-外国人実習生の過労死発生率は日本人の5倍超 | すくらむ

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 安倍政権は、4月4日の経済財政諮問会議・産業競争力会議の合同会議で、「外国人技能実習制度」について、来年度から東京五輪が開かれる2020年度までの時限措置として、日本で働ける期間を現在の3年から5年にのばすことを決定しました。

 作業開始のため、先輩実習生が鍛造用プレス機の作業電源ボタンを押したところ、地上から4メートル上方の同機械の最上部にいた本人が、フリクションクラッチのフライホールの間の隙間に頭を挟まれ死亡(入国後約5カ月の20代のベトナム人男性)

 パイプライン設置工事現場において工事用資材の移動作業を行っていたところ、モルタルミキサーが倒れ、道路横の擁壁との間に挟まれ死亡(入国後約34カ月の30代の中国人男性)

 早朝、うめき声のような音を聞いた同室の実習生が本人のベッドを確認したところ、布団に血液が付着していたため、消防等に連絡したが、既に心肺停止の状態で死亡が確認(入国後約4カ月の30代の中国人女性)

 土曜日早朝、宿舎の布団の中でくも膜下出血により意識を失っているのが発見され、死亡が確認(入国後約33カ月の20代の中国人男性)

 本人からの申し出により仕事を休ませていたところ、宿舎のベッドに倒れていたため、病院に搬送したが3日後死亡(入国後約33カ月の20代のベトナム人女性)

 上記は、国際研修協力機構(JITCO)の「2012年度 外国人技能実習生の死亡事故発生状況」に書かれているものです。


 そして、下のグラフと表は、国際研修協力機構(JITCO)が公表している「外国人研修生・技能実習生の死亡者数と死因」です。1992年度から2012年度の間で、304人が死亡し、そのうち29人が自殺、87人が過労死の疑いが濃厚と考えられる脳・心臓疾患で亡くなっています。

実習生グラフ


実習生表


 外国人研修生・技能実習生の年齢は、20~30代なので、これを日本人の20~30代の過労死発生率と比べることが可能になります。厚労省が毎年公表している「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況」から直近の2012年の20~30代の過労死は一番多い件数となる「請求件数」で60人です。20~30代の就業者数は約2,400万人なので、60÷2,400万=0.0000025。外国人研修生・技能実習生の人数は約15万人なので、2÷15万=0.0000133。そうすると、5.32倍も外国人研修生・技能実習生の過労死発生率は高いということになります。直近で過労死が一番多発している2008年の16人で見ると、同様にそれぞれの数字を持ってきて計算すると、65÷2,400万=0.0000027。16÷18万=0.0000888となり、32.8倍も外国人研修生・技能実習生の過労死発生率は高いということになります。

 過労死は日本の長時間過密労働が生み出すものですが、さらにそれを何倍も上回っているのが外国人研修生・技能実習生の置かれている現実なのです。

 全労連は2012年3月25日に東京・神田で「外国人実習生問題シンポジウム」を開催しています。シンポジストは、安田浩一氏(ジャーナリスト)、斎藤貴男氏(ジャーナリスト)、指宿昭一氏(弁護士)、坂本恵氏(福島大学教授)、遠藤隆久氏(熊本学園大学教授)、永山利和氏(日本大学教授)と豪華メンバーでしたので私も聴きに行きました。各シンポジストの話はそれぞれとても鋭いものでしたが、ここでは安田浩一氏による実態告発の一部を私のメモから紹介しておきます。

 私が取材した外国人研修生・技能実習生の実態の一部を紹介します。

 時給は1年目が200円、2年目が300円で、勤務時間は午前7時から午後10時までが定時。しかし実際は深夜12時過ぎまで続き、なんと深夜12時以降は時給でなくボタン1個をつくるごとに5円などという完全ノルマ制になっているところがありました。休日は月に1度のみで、彼女たちはパスポートを取り上げられ、自由な外出も許されず、真冬に取材したのですが、住まいはあばら家ですきま風が吹き放題なのに、ストーブもエアコンもなく、お湯もでないので、彼女たちはダウンジャケットを着て部屋の中にいて、私が帰ろうとしたら、お湯を沸かし出して、どうするのか見ていたら、沸かしたお湯を2リットルのペットボトルに詰めて、それを抱えて湯たんぽ替わりにして布団の中にもぐりました。どうりで部屋の中に空のペットボトルが置いてあったなと思っていたのですが、そういう尋常でない状況があったわけです。

 外国人研修生・技能実習生の雇用契約書の中に、とんでもないことが書かれているところもありました。その雇用契約書には、「会社の言うことは絶対に守らなくてはいけない」「定められた休日以外は休んではいけない」、そして、「男女交際をしてはいけない」「妊娠してはいけない」という文言までありました。ここで働いているのは、20代、30代の大人です。恋愛も妊娠もなぜ会社に否定されなければならないのでしょうか。

 工場の壁に表が貼ってあって、外国人研修生・技能実習生の名前が一人ひとり書いてありました。その表には、1日に何回トイレに行ったかを書き込んでいるのです。1回トイレに行ったら1分間で70円の罰金と書いてある。後で調べてみたら実際には罰金は徴収されていなかったのですが、現場の外国人研修生・技能実習生に対して脅しとしてトイレの回数と時間まで拘束することで、1分でも長く働かせようとしていたわけです。

 深刻なのがパワハラ、セクハラです。工場の敷地に外国人研修生・技能実習生がズラリと並べられていて、この工場の専務が右から順番にビンタしていくのです。パンパンッとかなり大きなビンタの音が工場に響いていて、私が駆けつけたので途中でやめましたけど、なぜビンタをしているのか?と聞くと、「こいつらが生意気なんだよ。日本人と同じ給料にしろと迫ってきたんだ」と言うのです。

 そして、セクハラはより一層深刻なものがあります。20代の女性のケースを取材したことがあります。そこの経営者が「君は工場で働かなくていいから、うちの手伝いをしろ」と言って、経営者の家の掃除や犬の散歩などをその女性に押しつけました。そして、夜になるとその経営者がやってきて、彼女は抵抗したのですが無理やりレイプされてしまったわけです。それから彼女はお金を稼いで帰国しなければならないために経営者にさからえず、そうした行為が続いたわけです。経営者は行為を終えると枕元に1万円を置いたそうです。彼女はその1万円を受け取るかどうか迷ったそうです。迷った末に受け取る道を選びました。彼女はお金を稼いで帰国する必要があったからです。

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外国人研修生に強いられる過労死、発生率は日本人の2倍 - 現代日本に横行する奴隷労働・人身売買
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(by文責ノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan)