こころみに おもひのままを かきたれば
わろきをのぞけ よきをおぎなへ
仏道を一言でいうなら「悪きを除き善きを補っていく」ことであると仰せの御教歌です。
仏道は「勧善懲悪(かんぜんちょうあく)」の教えです。
「勧善懲悪(かんぜんちょうあく)」とは、「善を勧め悪を懲らしめる」ことで、正しいこと・善の道を尊び重んじ、悪いこと・悪の道を忌み嫌い排他していこうとする立場を貫くことです。
正しいことは正しい・・・悪いことは悪い・・・とはっきり物を言い、行動に移すことです。
それは、決して一時の感情ですることではなく、理路整然と行うことです。
事の善悪の判断というのは、何も殊更(ことさら)難しく考えることではなく、日々の生活のなかで起こってくる出来事に対してです。
たとえば、
・人を大事にする
・人の立場で物事を考える
・人に思いやりを持って接していく
などは、人として身に付けておきたい大事な事柄でしょうし、逆に
・人を落し入れる
・人を傷つける
・人に嘘をつく
などは、人の道から外れた行動で、誰もが分かっていることです。
ところが、集団の中で
正しいこと・悪いことがはっきり言えなかったり、曖昧な態度をとってしまったりしやすいのが私たちのようです。
大勢の中で善悪の是非論を述べるより「多勢に無勢」で、長い物には巻かれていきやすく、事の正邪より、自分の身の安全・立場を大事にする生き方に陥りやすいお互いです。
それを「協調性」という人もいますが、真の「協調性」は、物事の善悪を正しく見つめ判断していくことに議論をかさね、物事が正しい方向へ進んでいくように協力していくことだと思います。
そこには、自分がどう思われ、どういう扱いを受けようが、物事を正しく判断していこうとする「心の強さ」が必要となってきます。
その「強い心」を培(つちか)っていくために仏道修行がある と言っても過言ではありません。
現代においては「易きに流れやすい」のが、お互いの置かれている立場なのかもしれません。
だからこそ「強い心」を培っていき、物事の善悪をはっきりと指し示せる人になっていくことが、まことに大事・大切なことだと仰せの御教歌です。
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