「ネクスト・ゴール 世界最弱のサッカー代表チーム ０対３１からの挑戦」の試写会に行ってきました。

この映画は、ドキュメンタリーです。内容は、
長きにわたってFIFAランキング最下位ということもあり、世界で最も弱いといわれてきたアメリカ領サモアのサッカー代表チーム。そこへアメリカサッカー連盟に任命されたトーマス・ロンゲン監督がチームに合流し、その指導によりチームは成長を遂げていく。やがて2014年ワールドカップブラジル大会の予選が始まり、2009年サモア沖地震で被災した故郷のためチームは初勝利を目指す。
というお話です。

弱弱なサッカーチームが、どんどん強くなって行く、ドキュメンタリー映画です。実は、最初、ドキュメンタリーだし、それほど期待をしていなかったのですが、この映画、スッゴク面白かったです。まるで、この映画の中で起こっていくことが、一つのサッカーの試合の中の出来事のようで、悔しかったり、楽しかったり、こんなにドキドキさせてくれるなんて、驚きでした。

最弱のアメリカ領サモアのサッカーチームは、２００１年にワールドカップでオーストラリア代表に、０対３１で負けました。ワールドカップで、いまだかつて、３１点も取られたチームは無いんです。そんなアメリカ領サモアチーム、弱弱でしょ。(笑)でも、彼らにとっては、笑いごとじゃないんです。

アメリカ領サモアのチームの選手は、動きも遅いし、ボールへの食いつき方も違うし、周りが見えていないんです。アマチュアと言うより、素人っぽいんですよ。そんな彼らが、ワールドカップ予選に出場することさえ不思議に思えるようなチームだったんです。サモアのサッカー協会は、米国サッカー連盟に協力を仰ぎ、オランダ人監督がやってきます。

オランダ人監督トーマスの元、彼らは、根本からサッカーの教育をされ、スタミナ面も技術面も精神面も、全てにおいて、監督の指導を仰ぎ、協力して、サッカーの力をつけて行きます。素人の私でも解るほど、動きの面でも、身体の面でも、どんどん変わって行くんですよ。サッカーを知っている人なら、なおさら、この変化は、面白く観れるんじゃないかな。一人の監督により、まるで、子供のチームだったものが、国を代表するようなチームに変貌していく姿は、気持ちが良いほどです。

それにしても、監督一人で、こんなに変わるもんなんですね。サッカーチームって、沢山のサッカー選手の中から、才能のある人を拾い上げて、それで教育するから、素晴らしいチームになるのかと思っていたのですが、普通の人たちでも、教育する人によって、十分戦えるチームになるんだということを知りました。この映画を観ていれば解るのですが、監督に、とっても愛があるんです。まるで、チームが家族のように見えるんですよ。



そうそう、一つ、書いておかなければ。このポリネシア地域では、第三の性というものが認められていて、男でも女でも無い、第三の性が存在するとされているんです。パッと見は、性同一性障害の人たちなのかなと思ったのですが、どーも、性同一性障害とは違い、男でも女でも無く、両性具有者、又は、去勢男性と言われて生きているようです。この第三の性であるジャイアは、ディフェンダーとして、チームで重要な役割をしています。ただの選手と言うだけでは無く、精神面でチームを支え、チームのムードメーカーとしての役割をしているように見えました。誰もが、彼女？を大切に思い、仲間と思っているんです。そこには、性の差別など、一切無く、家族としての姿がありました。

この映画、サッカーをやっている人は、絶対に観るべきだと思ったなぁ。勝つという事への執着というか、引き分けならイイかとか、負けても明日勝てば良いとか、そんな計算じゃなくて、とにかく勝利への執着心が、彼らに勝利を近づけてくるように見えて、メンタル面の大切さが良く表現されていました。



この映画、私は、すごくお勧めして良いと思います。ドキュメンタリー映画が苦手な方にも、楽しめると思いますよ。まるで、サッカーの試合を見ているようなんですもん。この映画を観ると、才能なんて無いだろうけど、頑張りで、ある程度は戦っていけるのではないかという気持ちになります。やっぱり、負けっぱなしじゃ耐えられないもん。一矢報いたいよね。サモアの人たちも、同じなんです。そんなステキな映画でした。短期間しか上映しないようだけど、ぜひ、観てみて下さい。

ぜひ、楽しんできてくださいね。

・ネクスト・ゴール！世界最弱のサッカー代表チーム 0対31からの挑戦＠ぴあ映画生活