夢枕獏さんの世界的ベストセラー「神々の山嶺」。
エヴェレストが舞台なだけに今まで映像化が難しいとされてきた本作が
熱い人々の力でついに映画化。
エヴェレストの標高5200メートル付近での撮影。
10日間かけてそこまで登り、役者もスタッフも過酷な中での撮影を敢行した。
キャスト陣は体当たりでの演技。
嘘のない、エヴェレストという場所での動き。
足取り、息遣いの一つ一つが美しく、壮大で、時に恐ろしい世界最頂の山に挑む
人間そのものに見える。
カメラマン役の深町には岡田准一さん、孤高の登山家には阿部寛さんが扮している。
<STORY>
野心家のカメラマン深町はネパールの街中で登山家の中では伝説になっている
羽生を見つける。
数年前消息を絶った孤高の登山家、それが羽生だった。
エヴェレスト初登頂を実現できず消えたマロニーが所持していたと思われるカメラが
深町と羽生を引き合わせた。
なぜ羽生はここにいるのか、その謎を追って深町は再びネパールに向かう。
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<舞台挨拶レポート>
2月20日名古屋での上映の舞台挨拶に
深町役の岡田准一さん、平山秀幸監督が登壇。
撮影の裏側を語ってくださいました。
全てではありませんがレポをお届けします。
・コンビ復活!? 岡田さん×永岡アナ
舞台挨拶の進行はCBCの永岡歩アナウンサー。
登場した時に「なぜそのスタイル?」と思える衣装で登場。
黒のスーツと黒ぶち眼鏡に、なぜか赤の蝶ネクタイ。
岡田さんと永岡アナは半年前に舞台挨拶で掛け合いをしていて初対面ではありません。
永岡アナ:
「私、先ほどまで友人の結婚披露宴に出ておりまして。
岡田さんと監督と一緒にいたいなと思って…途中で抜けてこちらに立っております。」
岡田さん:
「(永岡アナを凝視して)コナン目指してるんですか?」
(誰もがそう思っていたのか場内大爆笑と大拍手)
永岡アナ:
「何分、他局でして…。」
(注:CBCはTBS系です)
岡田さん:
「それは使いづらい話しちゃいましたね…申し訳ない。(苦笑)」
・(名古屋ネタ)シャバーニ VS 東のシャバーニ
永岡アナ:
「シャバーニ、DVD出しました。」
岡田さん:
「そうですねえ…。ライバルですね。東のシャバーニなのでDVD出せるように頑張ります。」
永岡アナ:
「監督、もしそうなったら撮っていただけますか?」
平山監督:
「あの・・・お二人が言っていることがよくわかんないんですけど…。」
シャバーニとは東山動物園にいるイケメンゴリラのこと。
以前名古屋に来られた時に岡田さんと似ていると話題になったことが
今回も継続して話題に。
説明を受け事情を把握した監督も快諾されていました。
・標高5200メートルの撮影で実は…
岡田さん:
「空気は半分でマイナス20度なんですが歩いているシーンは
鍛えすぎたせいで軽く見えるということで岩を鞄にいれて担いでいます。
…観る前に余分なこといったかもしれないですが(笑)
あれ岩積んでるんだなとふと思っていただければ。」
永岡アナ:
「普通に登るだけでも大変なのに、演出上岩を積んだ方がよかったということですか?」
平山監督:
「俳優さんが苦しむのを見るのは楽しいので。(笑)」
岡田さん:
「殺されそうになりました。監督に(笑)」
平山監督:
「空気も薄くて本当に大変な現場なんですけど、
俳優さんが作り芝居をしなくてすむ環境だったので
生の岡田さん、生の阿部さんが画面に出るというのがはっきりわかると思うんですね。
平地での撮影は助監督さんも含め『走れ!』とか言って怒号というか慌ただしいのが普通ですが
5200メートルとなると激しく動くと死ぬと脅かされたので気持ちは焦るんですが、
山屋さん(登山家さん)の指示にしたがって撮影しました。」
岡田さん:
「すぐ近くの崖に飛びついたりするシーンもありましたし、もしこの雪が取れたら・・・という
不安もありましたが山屋さんがフォローしてくださって恐怖というのはなかったですね。
最少人数(日本人30人)で日本からは行ったんですが誰もみんな降りられないというか
代わりがいないという緊張感のある状態で、高山病っぽくなる、
顔がパンパンになるっていうのがありましたけどなんとか下山するまで持ちました。」
・山岳部を持つ岡田さんが語る山の魅力
岡田さん:
「歩くということと、生きるということが同義語になるような自分を育ててくれるような場所だと思いますし、
僕を連れて行ってくれた山屋さんはとても素敵な方が多くて優しさとかタフさとかそういうのに憧れて自分をつくるために山に行ってますね。」
・山の話の映画をつくると聞いたとき
岡田さん:
「すごく嬉しかったです。緊張した顔でプロデューサーさんに口説いていただいたんですが
一緒にエヴェレストに行ってくれないだろうかと言われた時は嬉しかったですね。
しかも役者に愛されるという平山さんに撮っていただけるということと、
阿部さんが圧倒的な男、羽生を演じられるということがすごく嬉しくて、それならば是非参加させてくださいと。」
平山監督:
「ちょうど1年ぐらい前までに準備したんです。準備で3回ぐらい行ったんですが、
メモを見ると行きたくない行きたくないと書いてあるんですが、行くとまた行きたくなるような魅力ある空間で
男たちの濃い話なんですけど、いい映画が撮れたのではないかと思いますね。」
・どんな状況にも対応するすごい岡田さんの話
平山監督:
「アン・ツェリンさん(役名)という方が出てくるんですが、
最初は英語を話せるという約束だったんです。
でも会ってみたら全く話せない。一番絡むのが岡田さんで。
『俺がネパール語話せばいいんだ。』と言ってスタッフと夜に勉強してくださって。
はじめからもうそういう設定だったかのようにスムーズに映ってます。」
岡田さん:
「4千何メートルのところで監督とプロデューサーがアン・ツェリンさんと喧嘩してるんですよ(笑)。
英語話せない、話したくもないとか言い出して。山屋ならネパール語を話せてもいいかなと思ってやりました。」
会えば会うたび好きになる男、岡田准一。
永岡アナがそう言っておられましたがまさしく。
どんな状況でもベストを尽くす岡田准一さんの素敵なエピソードを聞くことが出来ました。
・エヴェレスト登頂経験者から見る本作
特別ゲストとして日本人女性で14人目にエヴェレスト登頂を2013年に果たした
愛知県在住の稲吉佑紀さんが登場。
本作を見て、山屋から観るこの作品の見どころを語っていただけました。
稲吉さん:
「何よりも驚いたのは岡田さんの息遣いです。単純に考えて酸素が半分の場所。
普段1回の呼吸を2回しなければいけない。それが登っていない場所でも自然に出てきて、
これは本当にあそこで撮っているんだなと。
髭、眉毛、睫毛についている霜も氷になって痛いのでマスクをするんですが
マスクをしていないシーンもあってこれはすごいなと感じました。」
実際に行った方の話を聞いた後でこの作品を見ると注目するべきところが
わかってきます。
・過酷な場所でのささやかな楽しみは…
岡田さん:
「阿部さんが毎日お菓子をくれるという。(阿部さんの真似で)『岡田、食べるか?』って。
空の色も違うんですけど(真似で)『あれなんの星なんだ?』『わかんないっすね。』って
話したり。星が多すぎてわからないんです(笑)そうやって二人で過ごしました。」
オフの時間も阿部さんと濃密な時間を過ごされたようです。
・プライベートでエヴェレストに行ってみたいですか?
岡田さん:
「行きたいです。忘れられないです。やっぱりあの場所が。5000まで行ったんで
次は6000へ行ってしまいそうです。圧倒的な力がありますからね。
あそこでは色々なことを反芻しながら歩いていきますし、
地球に包まれている感じがします。」
岡田師範なら頂上登頂も現実に出来そうな気がいたします。
・これから見てくださる皆様へ
平山監督:
「東京に帰って来た後、日本での撮影中にネパールで大きな地震がありました。
ネパールの関係者、スタッフでたくさん被害に遭われた方もいます。
そういう人達の気持ちとか作った人間、キャスト、スタッフの思いが詰まっています。
その思いが伝わればいいと思っています。よろしくお願いします。」
岡田さん:
「本当に熱い、熱のある作品です。往年の角川映画のような熱い作品になっていると思います。
山に興味のない方もなぜ山に登るのか、それを見ていただきたいと思います。
映画は真面目にやっております(笑)
見て良ければ皆さんに広めてください。よろしくお願いいたします。」
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羽生の背中が物語る「業」とその「業」を追い続ける深町。
それを演じる阿部さんと岡田さん。二人の演技に引き込まれる。
二人の前に立ちはだかるエヴェレスト。
なぜ男たちは山に登るのか。
苦難と分かっていながら立ち向かう男たちの熱い姿を
命がけで撮影。
VFXの技術がその撮影をさらにすばらしいものに仕上げている。
映画は撮影だけで出来るものではない。
現場にいたキャスト、スタッフ、編集に関わったスタッフ。
一丸となって作られた作品がここにある。
「エヴェレスト 神々の山嶺」は3月12日より全国公開。
http://everest-movie.jp/
FMらら「ららサタデー」ではこの舞台挨拶の話やVFXのスタッフさんからの話も入れながら
公開に合わせて紹介予定です。