今みるマボロシ | 江口昌記の 月のうさぎ

今みるマボロシ


ふと鼻に抜けた
石鹸の匂い

ふっと髪を抜けた
夜風の肌ざわり

夕闇の銭湯をくぐった
見あげるほどの
ちいさな思い出

なんでもなくて
なにげもない
なんにもないような
なにひとつ特別のない

ある日の断片

そして
今みるマボロシ






今みるマボロシ

Photo by MasakiEguti



1332014