はじめに

竜王戦の挑戦者決定戦第1局が行われ、糸谷先生が勝利を収められましたね。

今回は、その前の準決勝、羽生vs郷田戦の序盤の形について見てみたいと思います。

(1図)
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この棋譜中継のコメント(1図のコメント欄)に「▲6五歩△7三角▲6六銀から先手十分という定跡書もあるが」と解説されてますが、それは森下先生の「現代矢倉の闘い」の事です。

この本は、「現代矢倉の思想」に続いて1999年に発行された、森下先生初の定跡書シリーズだったと思います。

現代矢倉の闘い」の中では△5三銀をかなり否定的な調子で解説されています。

まず初っ端から、「第1節 悪手△5三銀」と書かれています。

△5三銀に対して、▲6五歩△7三角▲6六銀とします。(2図)

(2図)

(1図以下▲6五歩△7三角▲6六銀まで;2図)

同書には2図以降、△7二飛▲7五歩(3図)という手順が解説されています。


(3図)

(2図以下△7二飛▲7五歩まで;3図)

3図以下
(1)△8二角▲7四歩△同飛▲7六歩△7二飛▲7五銀として8四の歩を狙って先手良し。
(2)△7五同歩▲同銀△3七角成▲同桂△7五飛▲4六角△7三桂▲7六歩で以下△7四飛には▲8三角で先手良し。
と解説されています。


実際には1図の局面は本局も含め、時々実戦に現れており、当の森下先生も後手を持って指されています。要するに1図の△5三銀は悪手という評価は否定されていると思います。

実際に1図から▲6五歩と指した実戦として、手元のデータベースでは、井上vs阿部(隆)戦が有ります。この対局では、2図から△7二飛では無く、△5一角と指しています。以下▲3五歩△同歩▲同角△8五歩▲3六銀△2二玉▲7五歩△同歩▲7四歩(4図)と進んでいます。

結果は後手の阿部先生が勝たれています。


(4図)

(2図以下▲3五歩△同歩▲同角△8五歩▲3六銀△2二玉▲7五歩△同歩▲7四歩まで;4図)

結果はともかく、4図では角の働きの差と、飛車のコビンに嫌味がついていて何やら後手どうなんだだろうと思うんですが、形勢はどうなんでしょうね?



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