衆議院選挙投票日まであと3日。


日本共産党志位氏演説風景


どの党に入れたらいいか分からない、投票先はほとんど決めてるけどまだ迷ってる。そう言う読者諸賢は多い。

いや、投票に行くよりも、今年最後の紅葉狩りに行って、その足でクリスマスイルミネーション見て、帰ってから、
「あ゛ー、やっぱり家が一番。」
とか言いながら晩酌という読者も少なからずいる。

あるいは、
「ウチは先祖代々、●●党に決まってるんだからな!」
という旦那様と、
「そんなこと言うなら、実家に帰らせて頂きます!」
という奥様の間に、フォークやお皿が飛び交う血みどろの家庭内選挙が繰り広げられ、旦那様はちゃぶ台をひっくり返して酔い潰れ、奥さまは荷物をまとめて地元を離れ、夫婦そろって投票に行かないという仲の良いご家庭も少なくはない(やっぱり少ないか)。



そんな読者の皆さんに、今回の総選挙における投票行動の指針にして頂きたく、この記事を捧げたい。題して、
「5分で分かるアナタの投票先はこちらチャート」
全31問を挙げたが、人によっては10問程度に答えるだけで、
「自民党・公明党・次世代の党/共産党/それ以外の党または棄権」
という投票行動がはっきりするという仕掛けである。

まずは下のチャートに答えてゴールを目指して頂きたい。フォークを振りかざす旦那様や、お皿を投げんとする奥様にも見せて頂きたい。


衆院選挙投票先チャート

いかがであっただろうか。全政党と棄権を挙げたので100%の読者に当てはまるはずである。
「いや、私は南チロル人民党に入れたい!」
とおっしゃる方はイタリアに移住して頂きたい。
「やっぱり、イグビラ部族連合がいい!」
と主張される方にはナイジェリア行きの切符を買って頂こう。



お気づきの方も多いと思うが、チャートの右に進むにつれて政権与党に近づき、左向きの矢印に従うと共産党に向かう。読者が出した結果は、おそらく与党または棄権になるのではなかろうか。これこそが新聞その他メディアの予想する、
「投票率低迷、自民党圧勝」
の根拠である。


衆院選議席予想(2014.12.10)

本当にそれで良いのか、もう一度、チャートの意図を知った上で試して頂きたい。以下にチャートの背景にある意図、すなわち今回の選挙の争点を10項目(チャートの10行)にわたって説明する。だがしかし、何となく雰囲気が分かったという方は、次の1から10を飛ばして頂いて結構である。だがしかし、やっぱり読んで頂きたい。せっかく作ったんだから、もう。


1.生活実感・家計と富の再分配
安倍政権が誕生してから2年経つが、統計の示すところでは給料はさほど上がらず物価は上昇している。個人的にはそうでない、そうであっても深刻な問題ではない、いや生活は苦しくなったという家庭の事情で選ぶ選択肢が決まる。また自分以外に目を向けた社会全体の所得のあり方、すなわち希望する富の再分配が問われている。

2.消費税問題
消費税10%への増税は見送られたが、自公政権は1年半後に景気動向とは関係なく増税を実施するとしている。これは国の借金を減らす立場では是であり、個人の生活から見ると非である。消費税が10%になってもさほど痛みは感じられない人と感じる人で選択が分かれる。

3.アベノミクスの賛否
アベノミクスは銀行・大企業にお金を流せばいずれ個人が潤うという「シャンパンタワー効果」を仮定している。そのようなトップダウンを待つことができるか、それとも直ちにボトムアップ政策を要求するのか。安倍政治で100万人の雇用が創出されたが、120万人の非正規社員増加と20万人の正規社員の減少がその実態である。パート先が増えて良かったのか、正社員から嘱託扱いになって苦しくなったのか。

4.解散の大義と選挙の意義
今回の選挙は政局がらみで始まった。すなわち、小渕前大臣らの「政治とカネ」の問題が取り沙汰されたのが10月、GDPマイナス成長が示す景気後退から消費税増税先送りが決定されたのが11月。安倍政権は徐々に追い込まれた。しかし、野党の選挙協力が出来ていない今のうちなら選挙に勝てると踏んだ安倍首相による「政局解散」が今回の衆院選の本質である。これをどう見るかで判断が分かれる。

5.歳入の財源
これまでの消費税増税は社会保障費捻出というより法人税減税の穴埋めに使われたという見方があるが、そのことを首肯するか否か。法人税率をさらに引き下げればトータルの法人税は増えるというのが与党の主張である。これに対して大企業の内部留保を吐き出し、個人の所得税の増加が歳入の財源確保につながるというのが共産党の主張である。

6.外交問題
中国・韓国の横暴は目に余るものがあり、ストレートにノーを突き付けることが問題解決の正しい方向か、そうでないか。一方、アメリカへの防衛支援にどの程度、賛成するか。外交に王道はないから分からないとするか、確固たる主張を持っているかが問われている。

7.防衛問題
安倍内閣は憲法改正が早期には実現できないと見るや、閣議決定で集団的自衛権の行使を容認した。自衛隊はどうあるべきか。次世代の党が憲法改正を公約に掲げているのに対し、共産党は「戦争をしない国、日本」を主張する。何が現実的なのか。

8.貿易と国内産業
TPPを推進することで自動車その他の輸出産業は栄え、農業などの輸入品と競合する産業は劣勢に立たされる。あえて極端な言い方をすると、輸出産業・大都市の隆盛は「食の安全」や農業分野における地方創生と天秤にかけられる。

9.原発再稼働・エネルギー政策
福島原発事故の記憶は薄れかけている。放射能は怖いが原発再稼働が即効性のあるエネルギー政策である。しかし現状、火力発電で日本は動いている。共産党は大企業法人税率の引き上げ、富裕層への増税で「応分の負担」を求めているが、同じ論理で資産への課税とともに大電力消費への負担を求めるかも知れない。そもそもエネルギー消費の削減も選択肢のひとつである。

10.選挙結果に対する見方
今回の選挙結果予想では自民党の300議席超獲得、与党で2/3の議席が確保される見通しである。その通りになれば、自民党の「横暴」があったとしても止められない。「横暴」は自民党支持者にとっては「要望」であるからカッコつきである。今回の結果で政権交代はないという意味では政権選択の選挙ではないが、どこまで与党の政策を認めるかという「政権のあり方の選択」が有権者に突き付けられている。



長々と選挙の争点を説明したが、読んで下さった方はご自身の投票行動の参考になっただろうか。奥様は実家からタクシーで戻って来ただろうか。
「あなたー、ごめーん。チーズクラスト、焦がしちゃった。」
旦那様は振り上げていたフォークを下ろしただろうか。
「いやぁ、チーズをコリコリこそげ落とすのも、なかなかオツなもにょもにょ。」
これで日曜日は夫婦仲良く投票所へ。それとも棄権して、もっと仲良く日がな一日、うっふんあっはん♡


7.フォークでこそげ取ることになるかも


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あらすじキーワード: 2014年衆議院選挙は投票に行くか棄権するか 投票行動の指針 選挙の争点 家計と富の再分配 消費税増税は先送りか中止か トップダウン(シャンパンタワー効果)のアベノミクス 100万人雇用創出の実態 政局解散かアベノミクス解散か 消費税増税と法人税減税の関係 中国・韓国・東南アジア・アメリカとの外交関係 集団的自衛権と憲法改正 輸出入と食の安全 遅々として進まない再生可能エネルギー買い取り 議席の安定多数と絶対安定多数