http://d.hatena.ne.jp/ziprocker/touch/20090910

2009-09-10もう、絶対、一生、二度と、マックが食べれなくなる無数の理由。Add Staryujiobaba37 (green)stefan (green)kotobatojp (green)ezil45djkaz
 パンドラの箱を開けよう。最近のペッパーランチに代表されるハンバーグ店でのO-157の発祥は単なる食中毒ではない。これは完全に食肉産業の構造的な病いだ。はっきと言おう。生焼けの肉にOー157が混入しているという事実が示すのは、その肉に牛の糞が混じっているということだ。多くの人は文字通り「焼け糞の混じった肉」を食わされている。(もちろん、混じっている糞はほんの微量だから誰も気がつきはしない。そして不幸なことに生焼けの糞肉を喰わされた人々が発症している)これは紛れも無い事実だ。この問題を知ったのは、エリック・シュローサーがマクドナルドについて徹底的に調査して書いた、「ファーストフードが世界を食いつくす」(日本版の出版は2001年8月)という本のおかげだ。この本読み終わって、ゾっとした。いや、本当に、マジかよ。悪夢だ。もう二度とマクドナルドやチェーン店のハンバーガーやハンバーグ、牛丼、スタ丼、焼肉、いや、それだけじゃない、スーパーやコンビニのあらゆる安いアメリカ産の肉なんか絶対食べたくない。心の底からそう思った。これを読んでまだマックや肉が食いたいなんて言ってるやつがいたらよっぽどのバカかノータリンに違いない。小学生だって、二度とあのハンバーガーなんかにパクつきたくなくるはずだ。笑顔でとんでもないものを売りつけてくれて、ほんと、イカれてるとしか思えないシステムだ。この、食肉業界ってやつは。



 シュローサーのこの本は「ローリング・ストーン」誌に載った記事を膨らませたもので、非常に丁寧な取材と調査で、たった数百円のハンバーガーが生まれるまでにどんな巨大で残酷なシステムが作られ、暴走し、この世界をめちゃくちゃにしているか、わかりやすく解説している。とりあえず面白いエピソードだけ抜書きにしてみようと思うのだが、とにかく、この本で一番ショックだったのは、今回のペッパーランチに限らず、過去においてマクドナルドやその他のチェーン店のハンバーガーを食べて重度の食中毒や死者が続発しているという事実であり、何度も繰り返すが、「ハンバーガーを食べると重病(O-157などの食中毒)に陥る危険性があることの、単純明快な理由は、つまり、肉の中に糞が入っているのだ」(P273)という一言だ。新鮮で消毒されているならネズミやミミズの肉の方が、O-157に犯された糞肉よりもまだずっとマシじゃないか?



 なぜ肉に糞が混入するのか?この恐ろしい糞交じりの肉が生まれる過程や、マクドナルド、食肉産業、アメリカのロビイストを巡る興味深いエピソードを、シュローサーの本からガンガン引用してみよう。以下は全て事実だ。(←こう書いたら嘘じゃないの?って突っ込みが多いのなんの。そう言うんだったらきっちり反証してみせろよ?ちゃんと具体的な事例とデータを出してくれよ。そこは頼むぜ。あんたの素朴な疑問や印象批評、感想文には付き合ってられないからな。あと、引用文は読みやすくするために多少文章をカットしたり手直しした部分がある。ただし、意味や情報そのものは変えていない。)







 近年になって牛の飼育、処理、加工方法が変化したことにより、病原体が撒き散らされる理想的な土壌が作られた。問題は今日の巨大な飼育場から始まる。飼育場に詰め込まれた牛達は、ほとんど運動もできずに、糞尿にまみれて育てられる。「汚れた食べ物や水を口にするのはよくない」と、その(保健)職員は私に語った。「けれども、わわわれはいまだに、動物には汚れた食べ物や水をやってもいいと考えているのです」飼育場は「糞を再循環」させることにかけては、非常に効果的な構造になっている。


 わが国(アメリカ)の牛の実に75パーセントが、日常的に、畜産廃棄物・・・加工済みの羊や牛の残骸・・・を食べさせられていた。年間何百万匹という猫や犬の死骸までもが、動物保護施設から買い取られ、飼料にされていた。俗に「狂牛病」として知られるBSEの大発生の原因になっていることが、イギリスの例からわかったため、こういう慣行は、食品医薬品局によって禁止された。にもかかわらず、食品医薬品局の現行規定において、豚や馬の死骸は、食鳥類の死骸とともに、牛の飼料として与えても良いということになっている。しかもこの規定では、牛が食鳥の死骸を与えられるだけではなく、食鳥が牛の死骸を与えらることまで許可されているのだ。


「ひどいですよ。牛というのは反芻動物で、本来は、牧草や、せいぜい穀物を食べます。他の動物を食べるようにはできていないんですよ」


 敷きわら代わりのおがくずや古新聞を含め、鶏舎から出る廃棄物までが牛の餌になっている。数年前(予防医学)に発表された研究によれば、1994年にはアーカンソー州だけで1400トンもの鶏糞が牛の餌になった。


 食肉処理場の中でも特に汚染が起き易いのは、牛の外皮を剥ぎ取るのと、消化器官を取り除く工程だ。もし外皮が十分に洗浄されていなかった場合、泥や糞の塊が肉の上に落ちるかもしれない。


 ハンバーグ用の肉が肉屋の奥で、牛の枝肉1、2片の切れ端から挽かれていた時代は、とっくに終わったのだ。複数のパートナーとの性交渉がエイズを広めていったように、ひき肉工場における、非常に対規模名牛肉の混入が、O-157の蔓延に決定的な役割を果たしてきた。現在、ファーストフードのハンバーグ1個には、何十頭、いや、何百頭もの牛の肉が含まれている。


 にもかかわらずレーガン/ブッシュ政権は公衆衛生政策の予算を削減して、農務省には、食品安全よりも政府の規制緩和に感心のある役人を置いた。農務省は、自らが監視するはずの業界とほとんど見分けがつかない組織になった。


 農務省は10年以内に・・・政府の食肉検査官の人数を半減することをもくろんでいた。(減った農務省の職員に代わって入った)企業の検査担当者たちは、糞便、毛、虫、金属の削りカス、尿、吐しゃ物で汚染された牛肉の出荷を許可していた。


 食肉業者と農務省は現在、食品由来病原体に対し、新手の技術的解決法を提唱している。食肉に放射線を照射しようというのである。タイタン社がこの技術を編み出したのは1980年代、「スターウォーズ」対弾道ミサイル計画に向けた研究の最中だった。食肉業界やファーストフード業界の巨大企業も名を連ねる牛肉産業食品安全評議会は、農務省に、その規定を改めて、照射食肉のラベリングを任意にするように働きかけている。「牛肉と食鳥肉」の元編集者ステフィーヴン・ビャークリーは放射線照射に反対している。「肉と一緒に放射線を浴びた糞を食べさせられるのはごめんですからね」


 ファーストフードの巨大企業は、その絶大な購買力によって、最もきれいな挽肉を手に入れることができる。食肉業界は現在、ファーストフード・チェーンのためには厳しい検査を喜んで行うが、一般消費者向けの製品については、そういう検査の実施を拒んでいる。アリゾナ大学の細菌学者チャールズ・ゲルバが行った一連の調査によると、アメリカの平均的な家庭のキッチンの流しからは、便座よりもはるかに多量の糞便細菌が見つかった。「トイレに落ちた人参スティックを食べる方が、流しに落ちたのを食べるよりも、まだましというわけです」


 毎年アメリカではサルモネラ菌に汚染された食品によって、約140万人が病気にかかり、500人が死亡している。農務省は学校給食の45パーセントを提供しているシュプリームビーフからの購入を禁止し、工場を閉鎖させたが、シュプリームビーフはこれに対して、翌日、農務省を相手取って連邦裁判所に提訴し、サルモネラ菌は自然の生物であって、混和物ではないと主張した。(この段落で数値にミスがありました。死亡500万人!!じゃなくて500人です。ご指摘、ありがとうございます。)


 マクドナルドは「マクドナルドのどこが悪い?マクドナルドが隠そうとしている全てのこと」というパンフレットを書いたロンドンのグリーン・ピースを名誉毀損で訴えた。マクドナルドはこの裁判でロンドン・グリーンピースにスパイを潜入させ、会合に常時出席してメンバーを監視する役目を負わしていた。会合の出席者の半分がこの企業のスパイだったこともあった。スパイの一人はグリーンピースの事務所に侵入して写真を撮り、文章を盗み出した。別の一人はメンバーと恋愛関係を持ち、相手の行動を報告していた。また、複数のスパイが雇われたことを知らないスパイ達はお互いを無自覚に監視していた。スパイ達はマクドナルドに抗議するデモに参加し、反マクドナルドのリーフレットを配った。


 裁判中、シドニー・ニコルソン・・・ 秘密工作をしたマクドナルドの副社長で、南アフリカの元警察官かつロンドン警視庁の元警視・・・ は、マクドナルドが警察のコネを使ってロンドン警視庁からグリーンピースメンバーについての情報を得ていたことを法廷で認めた。実際スコットランドヤードの公安課という危険文子や組織犯罪者達を追跡するエリート組織の警官達が、何年間もマクドナルドがグリーンピースを見張るのを手助けしていたのだ。


 ある広告出版物にはこう記されていた。マクドナルドが開発したソフトウェアは「冷戦時代に開発されたもので客の行動を監視するものだ」


 (マックのキャンペーンのための社内資料)「マクドナルドがキャンペーンで客に訴えかけるのはわれわれが信頼に足る友だということだ」マクドナルドはその信頼に足る友を信じてもいいはずなのに、本文章の冒頭には赤字でこう書かれていた「本資料を許可なく利用、または複写した場合には、民事提訴、または刑事提訴もありうる」


 グリーンピースには平和主義者、アナーキスト、菜食主義者、自由論者などが折衷的に混在し、非暴力政治活動への参加によって結び付けられている。この事務所は小さなアパートで天井は歪んでおり、部屋には本、箱、ファイル、公判記録、リーフレット、デモに関するポスターなどが山積みになっている。ここでは、全てがマクドナルドの対極にある。活気があり、無秩序で、きわめて特異で、しかも、ただ一人の人間にしか理解できない複雑な体系によって組織されている。


 チキン・マックナゲットは1983年に全国市場に投入された。販売開始から一ヶ月で、マクドナルドは国内2位の鶏肉購入者となる。追い抜けなかったのはケンタッキーフライドチキンだけだ。



マクドナルドは世界一多くの店舗用不動産を所有している、実のところ、利益の大半を、食品の販売からではなく、家賃収入から得ているのだ。

参考に「マクドナルドは本当に「勝ち組」なのか? アヤシイ会計処理に“ひとこと”」

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0902/25/news031.html


 マクドナルド兄弟からマクドナルドを買い取ったクロックは、兄弟が初めてマクドナルドを始めた発祥の地であるサンバディーノの店(最後まで兄弟が運営し、ビッグMと改名されていた)の向い側にマクドナルドを出店し、その店を潰した。


 マックナゲットの味付けは添加されたビーフエキスに依存している。キロ当たりの脂肪分は、ハンバーガーの2倍に相当する。


 マックに納入する大手鶏肉業者のタイソンはたちまちにしてマックナゲットに適した鶏の新種の開発に成功する。ミスターマクドナルドと呼ばれるこの新種は異様に胸が大きく膨らんでいた。


 アメリカの牧場主、農業従事者の自殺率は現在、全国平均の3倍以上に達している。


 マクドナルド兄弟がハンバーガーの調理過程に導入した労働の原則を、ホールマンとアンダーソンは精肉加工の工程にそっくり当てはめることで、革新した。熟練職人の手を排除した処理場だ。従業員はひとりずつライン沿いの持ち場に立ち、ひとつの単純な作業をひたすら繰り返す。ナイフで切れ目をいれるだけの作業を1シフト8時間の間に、何千回もひたすらやりつづけるのだ。このシステムの成否は、安く、寄る辺ない労働力をどうかき集めるかにかかっている。経営者の頭の中にあるのはただ、処理量と、効率性と、中央集権と、そして管理の方法だ。


 この形態で肉を販売すれば、購入者であるスーパーマーケットは熟練職人であり、組合員である店内の肉屋をお払い箱にできる。


 かって4万人を数えた地域の食肉業就労者数は2千人になった。

 

 レーガン政権は、数百社に及ぶ中小の精肉会社が業界から姿を消していく趨勢に歯止めをかけなかった。それどころか、反トラスト法を適用して業界最大手を牽制する動きに、反対する。


 (大手食肉加工業者の)モンフォートはグリーリー食肉処理場の組合を潰したあと、別のグループの労働者を雇い始めた。到着して間もない移民、不法労働者だ。ある時期には1年間の間に5000人以上の人間がグリーリー精肉工場に雇われている。離職率に換算して年400パーセント前後に達する。一人あたり平均3ヶ月で辞めるか首になった計算だ。


「わが社の離職率は天文学的数字です。識字率で言えば最下層でしょう。工場によってはおそらく3人に1人がいかなる言語も読み書きできません」業界紙のインタビューで。


 離職率の高さは、弱みどころか、食肉業界にあっては・・・ファーストフード業界と同様に強みでもある・・・組合が作りにくく、はるかに管理しやすい状態を維持する一手段となっている。


 貧困国で最低賃金で働いてきた移民には、食肉処理場の仕事は魅力的に思える。工場の採用チームはラオスやボスニアから逃れてきた移民を採用したり、離れた州のホームレスを採用した。バスをチャーターして何千キロも離れた土地から連れてくるのだ。採用部隊は現在、西半球でとりわけ貧しく、寄る辺も無いグループに狙いをつけている。「あっちでミサイルが飛び交えば」1989年、食肉業界のある大物が『オマハワールドヘラルド』の取材でこう口にした。「こっちで求人の募集が増える」こうした渡りの不法労働力が要求する真のコストを支払っているのは、大手食肉業者ではなく、各地の地域社会だ。健康保険に加入していない貧しい労働者が、地域の医療コストを跳ね上げる。麻薬の売人が、到着したばかりの移民を食い物にする。そして流動的な移民が増えると、たいてい治安が悪くなる。


 1990年、IBPはレキシントンに食肉処理場を設置した。1年後、人工7000人ほどの町の犯罪発生率がネブラスカ州で最悪となる。その後10年で、凶悪犯罪の件数は倍に増えた。低所得者保険適用数も倍増。レキシントンは麻薬密売の一大マーケットとなって犯罪構成員がうろつき町の白人住人の大半は引っ越した。ラテン系住民の比率が10倍以上に増え、今や50パーセントを上回る。町は今こう呼ばれる、「メキシントン」と。もちろんこの町にもマクドナルドやバーガーキングがあるが、これらの店がこれだけの急激な変化と、辛苦と、絶望を引き起こした元凶かもしれないとは、夢にも思わないだろう。


 最も危険な仕事・・・食肉処理場で働く従業員は白衣の下に3キロ半ほどの鎖帷子(くさりかたびら)を着けている。刃物で自分や同僚を傷つけないように・・・しかし、ナイフの刃はどうかすると、鎖を突き破る。


 食肉処理場の傷害率は国内の工場の約3倍に達する。


 食肉処理場の従業員は2、3秒に一回のペースで肉にナイフを入れている。


 ラインの流れが速いほど、従業員は怪我をしやすい。


 「(ラインのスピードは)裂傷を負って医務室にやってくる人数でわかるんです」工場の看護婦


 ラインのスピードに遅れまいとする切実な欲求に迫られて、精肉工場の労働者の間でメタンフェタミンの利用が広がっているクランクと呼ばれるこの覚醒剤を服用すると、気分が高揚し、自信が湧いてきて、なんでもできるように思える。現場監督が作業員にクランクを売ったり、2シフト連勤などの代償として、無料で支給したりしているというが、これによって事故に遭う確率はずっと高くなる。


 取材した従業員たちから、怪我を報告しないように厳しく圧力をかけられているという話を何度も聞いた。本人が怪我を報告しないことに同意すれば、(それによって記録上の傷害率を少なくできる)現場監督はたいてい彼なり彼女なりを、しばらく楽な作業に移して、回復の時間を与える。従わない者は、酷い扱いを受け、見せしめにされる。現場監督の地位は絶大な権力を伴う。彼らは工場の持ち場では小独裁者も同然で、いばり散らすも、くびを切るも、叱り飛ばすも、部下の配置換えも思いのままだ。こうした権力を手にすると、もろもろの職権乱用に繋がりやすい。部下の短期労働者が女性である場合、なおさらである。取材した女性従業員の多くから、ラインに立っている作業中に身体を触られるという話を聞いた。


 現場監督と短期労働者との性的な関係は、大部分は合意にもとづくものだ。女性労働者は屈託なく、現場監督と寝るのも、アメリカ社会で安定した地位と、グリーンカードと、夫を手に入れるための一手段とみている。そううまくいかなくても、工場内でもっと楽な部門に移るくらいの便宜は図ってもらえる。セックスとドラッグと食肉処理場というのは、妙な組み合わせに思えるかもしれないが、モンフォートのある従業員はわたしにこう語った。「あの壁の中はいわば別世界で、外とは別の法律に従っています」午後シフトの遅い時刻、外が暗くなった頃、逢引の姿が、ロッカー室で、控え室で、駐車場の中で、時には解体場の作業通路でさえ、見られるという。







 

 以上、引用。もうこれぐらいにしておこう。もっと酷い事実はいくらでもある。とにかく、たった数百円の糞入りのハンバーガーを食べるために、この世界はめちゃくちゃになってしまったということだ。そしてほとんど誰もこの事実に気が付いていない。そろそろこのシステムを止めるべきだ。シュローサーが書いているように行動は簡単にできる。まず、ハンバーガーや肉を買うことを止めればいい。そしてもっとまともな生産システムに切り替えるように要求するんだ。ただそれだけだ。糞を喰った牛の糞が混じった病原菌に冒された肉なんて誰が食べたい?マックで、スーパーで、コンビニで、思い出せ。この肉がやってきた風景を。この肉の辿ってきた履歴にどれだけ悲惨な光景が広がっているのかを。



 最後の言葉もシュローサーの言葉で締めよう。



 21世紀の歴史は、全体主義を採る国家権力との戦いに彩られた。21世紀は間違いなく、行き過ぎた企業の力を削減する闘いの世紀となるだろう。ファーストフードハンバーガーの低価格は、真のコストを反映していない。しかし、反映するべきなのだ。ファーストフード・チェーンの利益は、社会のその他の部分に押し付けられた損害からもたらされている。