日本語上古代文字(神代文字)考

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(最新見直し2010.09.26日) 

 (れんだいこのショートメッセージ)
 通説は、漢字渡来以前の日本には文字がなかったとしている。しかし、万葉仮名を経由して平仮名、カタカナが発明されつつ次第に日本語が形成されていった経緯を読み取るとき、逆に不自然なことになる。万葉仮名自体が、それまでの日本語をベースにして漢字が当てはめられており、これを逆に云えば漢字渡来時点で確固とした上古代日本語が確立されていたことになる。

 それでは、上古代日本語がどのようなものであったのか。今日となっては判明しないが、その手がかりとして神代文字(じんだいもじ、かみよもじ)と呼ばれる古代日本で使用されていたと思われる古代文字があり寺社に遺されている。伊勢神宮の神宮文庫に約百点奉納されている。これをどう理解すべきか、実在か後代の捏造かが問われている。

 そのことはともかく、神代文字の研究で必要なことは、神代文字をも弁えていると思われる日本語のアからンで終わる50音がいつどのようにして獲得形成されたのか、その起源をどこまで遡ることができるのか、これが最大の関心となるべきではなかろうか。れんだいこの神代文字への関心は実にここにある。れんだいこの従来の神代文字研究への疑問は、50音の起源を語らないことにある。

 神代文字時点で既に50音が有り、それに記号文字を当てはめた風が認められるが、ならば50音の発生過程を検証することこそ真の神代文字考になるべきではなかろうか。且つ50音の獲得こそ日本の神代文字の最大功績であり、日本史が諸外国文明を受け入れるに当り母国言語を失うことなく受容し得た秘密であると看做すべきではなかろうか。こう捉えない研究はいささか物足りない。

 2008.5.1日、2008.7.2日再編集 れんだいこ拝


【神代文字の種類】
 現存するところの神代文字は次の通りである。れんだいこは、これを、1・哲理文字系、2・図形(象形)文字系、3・線文字系、4・草文字系に分類する。「神代文字総覧 」、佐治芳彦「謎の神代文字」(徳間書店、1979年)その他を参照する。
1・哲理文字系
カタカムナ図象文字 、上津・化美津文字
ホツマ(秀真)文字伊予文字
出雲石窟文字 、トヨノ文字、書嶋字
2・図形(象形)文字系
サンカ(山窩)文字
豊国文字
春日(カスガ)文字
アソヤマ文字
越文字
3・線文字系
アジチ文字、守恒(モリツネ)文字
斎部(イムベ)文字
惟足(コレタリ)文字
筑紫(ツクシ)文字、重定石窟文字、ヤソヨ文字
天名知鎮・阿奈伊知文字 (アナイチ文字)、磨邇字(まにな)、六行成文字
アヒル(阿比留)文字 、日文、肥人書(こまひとのふみ)
イスキリス文字 、タネマキ文字、種子文字
アイヌ文字・アイノ文字(北海道異体文字)
対馬文字
桃木文字
4・草文字系
アビルクサ(阿比留草)文字 、日文草書、薩人書(さつひとのふみ)
阿波文字

 古史古伝の多くに、神代文字が登場する。『上記』は豊国文字、『秀真伝』や『三笠紀』は秀真文字で書かれており、全文でなくとも神代文字が使われている古史古伝は多い。『九鬼文書』には春日文字など、『竹内文書』には百種以上、『宮下文書』には阿祖山文字、『物部文書』には物部文字、『東日流外三郡誌』には津保化砂書文字などが出てくる。また、対馬の卜部・阿比留(あびる)家において発見され、平田篤胤によって「日文(ひふみ)」として紹介された阿比留(あひる)文字・阿比留草文字がある。静岡の浅間神社、神奈川の大山阿夫利神社、埼玉の三峰神社などの神璽や、洞窟や岩などにも神代文字と言われる文字が記されている。このように神代文字には多くの種類があり、形態も象形的なものから幾何学的なものまで様々であるが、問題はそれが本当に神代から存在していたものなのか、日本固有のものなのかという点にある。
        つ づ き