一時期、流行った石材調塗装の不具合。

蓄熱膨れになります。



神社にお参りしようと歩いていて見つけた不具合。

表層の状態、築年数による塗布材料の予想から、旧塗装膜は軟質の単層弾性、現塗装膜は硬質の石材調塗装。

樹脂の伸び率が全く異なるため、蓄熱により樹脂が軟化した際、旧塗装膜が新塗装膜の内側で激しく変動、繋ぎ役の下塗りが崩壊、繋ぎを失った新塗膜の下に隙間ができ、熱伸縮により空気層が膨らみ、塗膜が押し上げられる。

それが現在の状況です。

こうならないためにしなければならなかった対処(どうしても石材調と言うなら)

1.旧弾性塗膜への石材調塗装は避ける
  その逆も当然避けねばならず、石材調には石材調で塗り直すのが安全
2.左官による旧塗装膜潰し
  樹脂モルタルによる作業で変動調整を行う
3.2液溶剤型エポキシ樹脂固め
  万全ではありませんが、三番手の方法として

現在では多彩色仕上げのできる(樹脂による模様付け)材料がありますが、その後の塗り替えに対しては不可のもの(ヘーベルハウスの多彩色仕上げは全面剥離による塗り替えだそうで。。。)もあり、かなり困難を極めます。

外壁の表情を一変させる塗り方ではありますが、再塗装がかなり難しくなることを覚悟しなければなりません。

建物の築年数と建て替えを考えて、選定しなければなりませんね。


最後になりますが、石材調塗装は無機材で劣化がなく、汚れにくいと営業会社がバンバン塗り替えた時期があります。

ですが、蓄熱不具合、硬質塗膜であるが故のひび割れリスク、微細な凹凸に汚れが噛むことによる外壁汚染、言われていた性能を発揮できている現場に出くわすことがありません。

良いことばかりを並べる売り言葉を信じてはなりません。

塗膜は劣化します
塗膜は汚れます
塗膜は破断します

これは塗装の永遠のテーマです。

しかし、それを防ぐための手立てを施し
劣化しにくく
汚れにくく
破断しにくい

そんな塗装膜を作ることは出来ます。

そのためには建物の声を聴き、
お客様の声を聴き、
しっかりお話をしながら
塗料の選定を行わなければなりません。
 
選定を間違えれば、
取り返しのつかない不具合を起こし、
施主様にリスクを負わせることに。。。

私はそんな不具合を他社の仕事であっても見たくありません。

不幸な施主様を増やしたくない、そんな思いで書いているのが本blogです。

http://www.tsuboi-toko.net