横浜市健康福祉局の子宮頸がんワクチン推進の歴史と現在 その2 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市健康福祉局の子宮頸がんワクチン推進の歴史と現在 その2

横浜市健康福祉局の子宮頸がんワクチン推進の歴史と現在 その2

(横浜市健康福祉局保健事業課が行ってきたこと)



2013年の6月から厚生労働省が、子宮頸がんワクチン接種勧奨中止を発信してから1年以上が経過した。


今年の6月に、横浜市健康福祉局は全国初の子宮頸がんワクチン副反応の治療費助成という打ち上げを行ったが、被害実態の調査をしようとしないことで、その本質的な姿勢は何も変わっていない。


そうこうしているうちに、10月29日、厚生労働省による大々的な追跡調査の方針が打ち出されたことが報道された。

http://www.cabrain.net/news/regist.do

(医療を検索。10月29日を検索。)


さて、横浜市議会は今年の6月、がん撲滅対策推進条例を全会派一致で制定した。

http://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/ganbokumetu-jourei.html


制定した以上もう一度、襟を正してがん撲滅対策にのぞまなればいけないと思っている。がん予防の柱である禁煙対策も、全会派と横浜市行政と連携し、今年度から市庁舎内全面禁煙実施にやっとこぎつけることができ、その大きな一歩を踏み出すことができた。


また、がん検診においては、厚労省が示しているように、科学的根拠に基づいた検診は推進するが、国民の利益より不利益が大きいとされている検診の継続は慎重にならなければならない。


がん対策基本法に準じて他の自治体がやめたPSA検診などがその一つである。がん検診は限られた資源で提供される。まずは「推奨された」がん検診を正しく実施することが重要だ。推奨されないがん検診を継続することは、利害関係者との癒着を疑われることになる。


横浜市は相変わらずPSA検診に健康福祉局保健事業課の判断で予算を投入している。一方、大阪府は横浜市と違うのでぜひ、以下のリンク先を参照していただきたい。

http://www.mc.pref.osaka.jp/ocr/examination/examination3-2.html


さて、この条例を制定する以前に、横浜市会はがん撲滅横浜市会議員連盟を結成していた。


横浜市が子宮頸がんワクチンを推進してきた経緯の中で忘れてはならないのが、平成22年(2010年)6月22日に行われた子宮頸がんワクチン推進派の宮城悦子氏をお招きして開催された勉強会であろう。その勉強会が推進の発端ではなかったかと思っている。

http://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/pdf/kisha/p220622-1.pdf


そもそも、ワクチン担当は横浜市保健所の健康安全課である。しかし、なぜか横浜市立大学の宮城悦子氏とともに、がん検診担当の保健事業課の横浜市公衆衛生医師(行政医師)である木村博和事業推進担当課長が講演を行っている。演題名も「子宮頸がんワクチン接種に関する国及び他都市の動向について」であり、がん検診に関するものでは全くない。


木村医師はPSA検査が有効な前立腺がんの検診であるという見解で継続を推進している医師でもある。厚労省や国立がんセンターなど、日本の代表的疫学の専門家と意見を異にしているようだ。


担当外の職員が、しかも議員の勉強会に参加して講師をしていること自体が、すでに行政組織としておかしな構図であったわけである。


このとき、保健事業課の担当理事が、元瀬谷区福祉保健センター長で産婦人科医師の横浜市健康福祉局保健医療医務監の水野哲宏医師である。


さらに、水野医師は10月9日に子宮頸がんワクチンの製造元であるグラクソ・スミスクライン株式会社が共催する市民公開講座で講師を引き受け、宮城悦子氏と講演している。

http://www.hiyoshi-medical.com/pdf/2010_1009.pdf


彼が講演で横浜市でも子宮頸がんの発症率が年々増えていると講演していたことが、写真入りで個人のブログで発信されている。

http://www.campusnavi.com/natsumisasa/?p=86


横浜市で子宮頸がんの発症率が増加している?本当に彼が当時、そのような講演を行っていたとしたら非常に不可解である。


いわゆる神奈川県のがん登録は神奈川県立がんセンターで行われている。横浜市保健事業課が、横浜市内のがん患者の発症のすべての集計を独自に行っていることなど聞いたことがない。


神奈川県の集計も子宮がんとなっており、子宮頸がんだけのデータの公表はない。さらに、以下の添付の資料では2025年には子宮がんは減少すると推測されている。

http://kcch.kanagawa-pho.jp/general/t_registration.html


まさに彼の講演の3日前の10月6日の健康福祉局の決算特別委員会でがん検診の質問をこの私自身が行っており、質問調整の際に、保健事業課の持っているデータのがん情報の限界を認識させられただけに不可解に思った。

http://giji.city.yokohama.lg.jp/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?USR=kanyoks&PWD=&A=frameNittei&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac22%94%4e&B=-1&T=0&T0=70&O=1&P1=&P2=%89%c1%94%5b%8f%64%97%59+&P3=&P=1&K=384&N=3184&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1


そもそも、がん患者の登録が進んだのも、平成19年のがん対策基本法成立以降のことである。がん患者の登録が不十分であった昔と、進んでいる現在と、比較しても何の意味もない。つまり、みかけ上、登録が進んだ分だけ増えてみえる可能性があるからだ。


しかし、製薬会社共催の市民公開講座に横浜市健康福祉局保健医療医務監という部長級以上の幹部職員が講演したことは事実であり、公務員として利益相反を市民から疑われてしまう行為であることにはなんら変わりがない。


水野哲宏医師が、この講演をするにあたり、いくらの講演料が誰から支払われたかを確認する必要がある。もちろん兼務届が出されているか、否かもである。

http://www.hiyoshi-medical.com/pdf/2010_1009.pdf


去年の10月3日に行われた健康福祉局審査での自民党山下議員の言及はきわめて的を得ていたとつくづく思う。


◆(山下委員) この副反応については、実は我々政治家のところにも相談が来ているのです。本来なら行政機関に相談に行くところ、政治家のところに来るというのは、やはり何らかの問題があるのではないかと私は思っています。


それとまた、このワクチン弊害について、我が党の女性議員2人も一般質問で何度もお話をさせていただいたのですが、関係局の認識は常にその都度の答えというのは、木で鼻をくくったような非常に冷淡なものだったのです。


言いたくはないのですけれども、子宮頸がんのワクチンについては、定期接種が始まる前から、この問題について否定的なお考えを持っていたお医者様もいらっしゃったと私は認識しておるのです。


本来であればドクターは中立的な立場であるべきですが、私は、健康福祉局内のドクターは、皆さん子宮頸がんワクチン推進派の方ばかりだったというふうな気がします。


海外でもいろいろ同じような事例が実際に発生しています。それに対して、中立的な立場で、きちんと認識を持っていれば、ひょっとしたらこの対応はもう少し変わったのではないのかなと思うのです。

http://giji.city.yokohama.lg.jp/kensaku/cgi-bin/WWWframeNittei.exe?USR=kanyoks&PWD=&A=frameNittei&XM=000100000000000&L=1&S=15&Y=%95%bd%90%ac25%94%4e&B=-1&T=0&T0=70&O=1&P1=&P2=%8e%52%89%ba%90%b3%90%6c+&P3=&P=1&K=469&N=3970&W1=&W2=&W3=&W4=&DU=1&WDT=1


あれから、1年経過したが、子宮頸がんワクチンを製薬会社とともに推進していた健康福祉局の公衆衛生医師(行政医師)の人事異動はなく、中立的な対応などのぞめる状態ではない。これは、横浜市の将来の医療行政の在り方を考える上で、きわめて深刻な問題であるはずだ。


一方、子宮頸がんワクチン推進の発端となった健康福祉局保健事業課は100万人の健康づくりを掲げ、「歩け、歩け」に莫大な予算を投入している。


まさに、平成26年11月からのウオーキングポイントの宣伝は、横浜市のホームページのトップを飾っている。「歩け、歩け」で、健康寿命日本一を到達できるかのごとくの勢いである。歩くだけで、がんも心臓病も脳卒中も認知症も予防できる根拠があるというのだろうか?


推進する時はコンプライアンスも顧みず、いざ副作用問題が起これば、その調査には一切見向きもしないし、予算もつけない。この無責任体質とも思える健康福祉局が、真の意味での健康を語れるのか?


このお祭り騒ぎとも思える発信と対照的に、9月23日に掲載された神奈川新聞の、”横浜市が生活保護を引き下げて、977人が就学援助を受け取れない”という記事は印象的だった。

http://www.kanaloco.jp/article/78009/cms_id/102802