【勉強会】八丁堀・まなび塾~いまさら聞けない『資本論』の基本の基本 | THE ONE NIGHT STAND~NEVER END TOUR~

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「40歳からの〇〇学 ~いつまでアラフォーと言えるのか?な日々~」から改題。
書評ブログを装いながら、日々のよしなごとを、一話完結で積み重ねていくことを目指しています。

11月27日、自分で主催している「八丁堀・まなび塾」を開催しました。
もう、68回目なんですね。他人事のようにすごいな、と思ったりします。

今回は、自分で講師を務めました。テーマは
「いまさら聞けない『資本論』の基本の基本」(いまなぜマルクスを読み返すのか)
でした。


僕が学生から社会人になりたての頃、マルクスは絶滅危惧種でした。ベルリンの壁の崩壊、東ヨーロッパ社会主義国家の政権崩壊、そしてソビエト連邦の崩壊と続き、マルクス主義は終わったと思われていました。実際、フランシス・フクヤマが『歴史の終わり』を書き、国際社会において民主主義と自由経済が最終的に勝利し、それ以上の社会制度の発展が終結した、という仮説を唱えました。

しかし最近、書店に行くとマルクス、資本論についての書籍は平積みされていたりします。しかも、いわゆるマルクス主義経済学者ではない立場の人がマルクスについて書かれて本がたくさん並んでいます。池上彰さんも出してますしね。

それはなぜなのか、ということを考えるのがひとつの目的でした。

こうした傾向は、リーマンショック後に顕著に表れ始めたように感じています。『資本論』からなにかヒントを得たいと思う人が増えたということだと思います。

なぜか。それはマルクスが『資本論 』に書いたことは
「搾取する資本家がいるから社会が悪くなる」
ではなく、
「資本主義経済で、資本家、労働者を問わず人々が経済合理的に(自分が得するように)行動すれば、必然的に大恐慌や窮乏化が起きる」
だったからだと思っています。

『資本論』に書かれたことは、いまも変わらない資本主義経済の本質です。そのままでは必ず暴走を始めてしまう、ということです。ソビエト連邦崩壊後、その本質が剥き出しになりました。実は資本主義経済はろくでもない制度なんだということです。

しかしながら、残念なことに人類はいまだ、資本主義経済に代わり得る、よりましな経済システムを発見できずにいます。マルクスに続いたマルクス主義経済学者などの人々は、社会主義、共産主義を掲げて資本主義に挑みました。ソビエト革命以降の70年の壮大な実験は、資本主義のほうがまだマシ、という結果で終わってしまっています。

そんなろくでもない社会で生きていかざるを得ない我々は、どんな風に生きていけばいいのか。また、そんなろくでもない資本主義経済でも、しばらくは終わりにならないのならば、少しでもマシな形で存続させていく方法なないのか、それを考えるために『資本論』から学ぶことはたくさんある、というのが今回の趣旨です。

どんな話をしたかは、長くなるので省きます。また別な機会に書くことがあるかもしれません。

なんにせよ、自分たちが生きている社会がどんな仕組みでまわっているかを知らずに生きていくのは、ルールを知らずにゲームをするのと同じです。負けるに決まっています。

『資本論』から学んだことをどう活かすかは、人それぞれだと思います。しかし、学ぶべきことはたくさんあります。いきなり『資本論』を読め、とはいわないですから、入門書などを通して『資本論』の世界に触れることは、しんどい生き方から抜け出すヒントを得るきっかけになると確信しています。

PS
今回の講義をするにあたって参考にした書籍はたくさんあります。一部分だけ読んだ者も加えると、あり過ぎて全部は書けません。
その中で、あえてお薦めを2冊だけ紹介しておきます。
1、『超入門 資本論/木暮太一



僕が知る限り、いまの日本で一番わかりやすい『資本論』の入門書。今回、僕も、『資本論』の重要部分、「商品の価格の決まり方」「剰余価値とはどういうものか」「剰余価値は必ず減少していく理由」についての解説は、この本に大幅に依拠しました。

2、『いま生きる「資本論」/佐藤優



1を読んでおけば十二分に理解できる内容です。講義録なのでわかりやすいと思います。漠然としていた僕の問題意識を明確にしてくれたのがこの本でした。