【様々な手術方法の説明】陰茎反転法・S字結腸法など | さつきぽんの性別適合手術(SRS) 体験談 MtF タイ ダイレーション 性転換

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性同一性障害でMtF(男→女)のさつきが

タイで受けた性別適合手術の記録です

これから性別適合手術(SRS)を受けようと思っている人の参考になれば幸いです。

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今回は性別適合手術・性転換手術の術式についてお伝えしたいと思います。



まず一概に性別適合手術といっても、実はその種類は一つでは無いのです。



1・陰茎反転法

2・S字結腸法

3・その他の術式

4・造膣無しの手術法





まず分かりやすい4の「造膣無しの手術法」について解説をします。


現在日本の法律では、ある一定の条件を満たせば戸籍上の性別変更が可能です(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律)


条件は以下の通りで


・二十歳以上であること。

・現に婚姻をしていないこと。

・現に未成年の子がいないこと。

・生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。

・その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。



少し難しい言葉で色々と書かれていますが、一番最後の部分

この部分を簡単に表現するとつまりは性別適合手術を受けていることというのが条件になります。


しかしこの法律、よく見てみるとあくまで外観を備えていることが条件であるため

実際に性行為が可能な膣の有無は問われていないのです。


よって、戸籍変更をしたい・ペニスを除去したいけれど

性行為は望んでいない、または術後のダイレーションはやりたくない、といった場合は

この4の手術法が最も最適といえます。








しかし、やはり性行為が行なえる膣を手に入れたい

そういった場合は上記の1・2または3の手術を選択しなければなりません。





まずどの手術にも共通していえることはダイレーションは必ず行なわねばなりません


ダイレーションとは、造った膣が塞がらないようにするために定期的に行なう拡張作業のことです。

※ダイレーションの手順については別の日記に詳しく記載してあります→コチラ(術後11日目ダイレーションの手順)




ピアスの穴を想像してみて下さい。
ものすごく簡単に表現するとアレと一緒です。



せっかく膣を作ったとしても、残念ながら私たちの体はそれを「傷口」と認識してしまい、治そうとします。


つまりは傷口を塞ぐのです。

せっかく手術して造った膣が塞がってしまっては意味が無いですよね。

そうならないためにも専用の器具を使用し、定期的に膣にそれを突っ込んで塞がらないようにケアし

穴の大きさが固定されるように努めます。



ちなみにこのダイレーション、どの手術法を選択しても術後3ヶ月頃までは毎日(1日2~3回 所要時間1時間~2時間)行なう必要があります。

もちろんその後も、回数は減ってもずっと続けなければいけません。





痛みに関しては個人差がありますが

「痛いけど我慢できる」人もいれば

「激痛すぎて毎回涙が出る」人まで様々ですが

全員に共通するのは「痛い」ということです。


ダイレーションが全く痛く無い人もまれにいますが、本当にまれです。
とりあえず痛いは痛いです。






さて前置きが長くなりましたが



手術法の説明に移りましょう。




~陰茎反転法~

[手術概要]

陰茎陰嚢皮弁反転法とも呼ばれ、広く普及している術式です。

この手術法の特徴は、陰茎を再利用して膣を形成するということです。

睾丸摘出手術を済ませていない方に適しています。



1.陰嚢と肛門の間に膣を形成する空間を作成

2.陰嚢内の睾丸を摘出

3.陰茎の皮膚を剥離

4.陰茎海綿体と尿道海綿体に分離

5.陰茎海綿体の亀頭部1/3程度を陰核として使用するために残す

6.尿道として利用する部分を残し尿道海綿体を切断

7.陰茎と陰嚢の皮膚を膣を形成する空間に反転させ膣を形成

8.陰嚢部の組織を利用し小陰唇などの外性器を形成





何だか難しい言葉が沢山並びましたが、分かりやすく説明すると



まず、体に穴を開けます。イメージとしては睾丸と肛門の間くらい。


次に睾丸を摘出します。


そしてペニスを削ぎ落とします。


男性陣大丈夫ですか?画面の前で「おーイテテテ…」ってなってませんか?


続けます。



性別適合手術というと、ペニスをハサミで横にチョキーンと切り離すイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、この手術法は違います。

根元の一部は体から切り離さずに、残したままです。


そして繋がっているペニスを先ほど作った穴に向かってグルンと中に入れます。

そうやって膣の内部の内張り。


亀頭の部分はクリトリスとして再利用。


小陰唇(つまりはビラビラ)用に確保しておいたペニスでそれを形成。



陰茎反転法をざっくり説明するとこんな感じです。



男性陣大丈夫ですか?顔が青いですよ。






さて、次の説明に移りましょう。










S字結腸法


[手術概要]

ホルモン投与を長期間続けている方、睾丸摘出手術を受けている方で

陰茎の長さや陰嚢の皮膚が不足していて反転法での膣形成が 難しい方に適用される手術方式です。

1.下腹部を切開し、S状結腸を10数cm切除して摘出

2.陰嚢と肛門の間に膣を形成する空間を作成

3.陰茎の皮膚を剥離(陰嚢と睾丸が残っている場合は切除)

4.陰茎海綿体と尿道海綿体に分離

5.陰茎海綿体の亀頭部1/3程度を陰核とするために残す

6.尿道として利用する部分を残し尿道海綿体を切断

7.作成した空間に摘出したS状結腸で新しい膣を形成

8.陰嚢部の組織を利用し小陰唇などの外性器を形成





そもそもS字結腸って何?と思われる方も多いかもしれません。
私も性別適合手術について調べるまで知りませんでした。



S字結腸とは、大腸の主要部分である結腸の末端にあたる部分。

腹部の左側にある下行結腸に続き、S字型にカーブしながら直腸へつながっています。


そして、S字結腸は完全に腹膜に包まれていて

便がメチャクチャ溜まりやすい場所でもあります。



反転法がペニスを再利用して膣の内部を形成するのに対し


結腸法の場合は、S字結腸自体を膣そのものとして再利用します


その他の細かな違いはありますが、大きな違いはこの一点です。








さてさて、今説明したこの2つの手術法ですが

各手術法のメリット・デメリットについて説明しようと思います。



~陰茎反転法のメリット~

・結腸法に比べ、金額が多少安い

・結腸法に比べ、S字結腸を取り出す手間が無い分体への負担が少ない

・結腸法に比べ、膣内部のニオイが少ない(ニオイが無い、と説明しているサイトが多いですが、多少はあります。ただし普通の女性レベルなので清潔にしていれば問題ありません

・結腸法に比べ、陰茎を再利用しているため膣内部の性感が強い


・陰茎を利用しているという性質上、膣内部の伸縮性がある


・万が一膣が塞がってしまった場合でも、S字結腸手術で再度造膣が可能(ただし体の負担が大きいためオススメはしません)





~陰茎反転法のデメリット~

・陰茎の長さや、睾丸の収縮状況によっては十分な深さの膣が作れない場合がある

・結腸法に比べ、ダイレーションの頻度や痛みが重い

・微量に濡れることはあるが、ほぼ濡れない事が多い









続いては、S字結腸法についてです。







~S字結腸法のメリット~



・反転法に比べ、ペニスの長さ・睾丸の萎縮具合に関係なく十分な膣の深さが得られる

・反転法に比べ、もともと筒状の腸を膣としてあてがうのでダイレーションのメニューが軽い

・反転法に比べ、腸液が膣内部に分泌されるため濡れる(ただし性交に十分な量では無いことも多い)





~S字結腸のデメリット~


・反転法に比べ、料金が高い

・反転法に比べ、腸を取り出す手術工程が増えるため体への負担が大きく、またお腹に傷跡が残る(10センチ程度)

・反転法に比べ、腸を再利用しているためニオイが強い(ただし一生では無い)


・反転法に比べ、腸にはもともと性感が無いため膣内部の性感が弱い

・腸を利用しているという性質上、様々なものを吸収してしまうため病気へのリスクが若干高い






次に、各手術法の共通点についてまとめます





~陰茎反転法・S字結腸法の共通点~



・メニューの重さに違いはあれど、ダイレーションはしなければならない

性交時には潤滑油(ローション)が必要

・クリトリスに関しては同じ方法で作るので、クリトリスの性感は同じ

・どちらの手術も子供が産めるようにはならない









このようにどちらの手術法にもメリット・デメリットがあります。


必ずしもどちらが優れているというつもりもありませんし、それは個人で判断して頂けたらと思います。



最近のインターネットや人づての情報で

「反転法の方が主流だ」とか

「最近ではS字結腸法の方を進める病院が増えてきている」だとか

様々な声が聞こえてきますが、それをここで検討するのは控えさせて頂きますね。



私の場合、手術法を決めるにあたって考えていたのが


ダイレーションがきつくてもいいから、とにかく性感が強いほう!



ダイレーションならめちゃ頑張るからさぁぁ!

ほんと、感度だけは!感度だけは!!
そこんとこ宜しくドクターッ!!

って。



すみませんね、身もふたもなくて。


なので陰茎反転法を選択しようかと考えました。


いや、他にもニオイだったり傷跡が少ないだとか様々な要因はあったのですが。



しかし




10年近くに及ぶホルモン治療の影響で、陰茎の萎縮が進んでしまっていて

通常の陰茎反転法では十分な膣の深さが得られないことが判明しました。



ただ、どうしても諦めきれなかった私は、様々な情報を集めて調べて、なんとかならないかと模索しました。

海外のサイトも調べました。



そこで、ある一つの病院にたどり着きます。



そこでは通常の陰茎反転法と違い、陰茎反転法+αとでも言いましょうか


陰茎のだけでは足りない皮膚を、別の部分からも補い十分な膣の深さを確保する手術法でした。


しかも性器の外観もかなり精巧に仕上げてくれる手術法だったので、そこに決めました。



おかげで、術後10ヶ月経った今では膣に十分な性感がありますし、またオーガズムも得られます






少し文章が長くなってしまったので、次のブログに分けて書きたいと思います。