ロキソニンの副作用に「腸の狭窄・閉塞」が追加。忘れてはいけないロキソニンのもう1つの副作用#医療 | カズちゃんのブログ

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ロキソニンの副作用に「腸の狭窄・閉塞」が追加。
忘れてはいけないロキソニンのもう1つの副作用。
ロキソニン

 ロキソニンやリリカは、終末期患者だけでなく、癌患者の多くに使用されている薬剤です。一方で、浮腫も多くの癌患者を苦しめている症状です。このような鎮痛薬投与が浮腫を生じ得ることも、心の片隅に置いて、患者の治療に最善を尽くして欲しいものです。

腫れや痛みをやわらげ、熱を下げるお薬です。
【働き】
炎症をしずめて、腫れや発赤、痛みなどの症状をおさえます。熱を下げる作用もあります。ただし、対症療法薬ですので、熱や痛みの原因そのものを治すことはできません。
【薬理】
炎症や発熱を引き起こすプロスタグランジン(PG)という物質の生合成を抑制します。プロスタグランジン(PG)の合成酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害することによります。

■ロキソニンの副作用に「腸の狭窄・閉塞」が追加
厚生労働省は2016年3月22日、解熱鎮痛薬のロキソプロフェンナトリウム水和物(商品名ロキソニン錠60mg、同細粒10%[第一三共]、ロキソプロフェンナトリウム内服液60mg「日医工」[日医工]他)など8剤に対し、医薬品添付文書の「使用上の注意の改訂」を指示する通知を出した。

 ロキソプロフェンについては、重大な副作用に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」が追加された。小腸・大腸の潰瘍に伴い、狭窄・閉塞が表れることがあるとして、「観察を十分に行い、悪心・嘔吐、腹痛、腹部膨満等の症状が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと」と追記した。過去3年度における国内副作用症例のうち、小腸・大腸の狭窄・閉塞関連症例は6例、そのうち因果関係が否定できないものが5例(死亡例はなし)報告されている。

 これに伴い、厚労省はロキソプロフェンを含むOTC薬(ロキソニンS[第一三共ヘルスケア]他)に対しても、使用上の注意の改訂を指示。OTC薬での副作用症例は報告されていないが、添付文書の「相談すること」の項に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」が追記される。

 その他、内服薬に関する改訂などでは、利尿薬のフロセミド(ラシックス錠10mg、20mg、40mg、同細粒4%、ラシックス注20mg、100mg、オイテンシンカプセル40mg[サノフィ])の「重大な副作用」の項に間質性肺炎が追記。また、過活動膀胱の治療薬であるミラベグロン(ベタニス錠25mg、50mg[アステラス製薬])の「重大な副作用」の項に高血圧が追記され、「重大な基本的注意」では血圧測定を促す注意喚起を行うよう指示された。

■忘れてはいけないロキソニンのもう1つの副作用
 先日、ロキソニン(一般名ロキソプロフェン)の重大な副作用に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」が追加されたとの報道がありました。これは潰瘍により生じるということで、医療者からすれば、もともと非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の有名な副作用である消化性潰瘍に付随するものとして、大きな驚きではないようにも思えます。だとすれば、ロキソプロフェンだけでなく、他のNSAIDsにも同様のことがいえるのかな、とも感じています。

 いずれにせよ、注意は必要です。ただ、ロキソニンは一般用医薬品(OTC)としても販売されていることから、一般の方からも不安の声が上がっているようで、適切な情報提供が求められます。

 自分はこのロキソニンの副作用報道を聞いて、別のことを考えていました。ロキソニンをはじめとするNSAIDsは癌性疼痛緩和の第一段階に用いる薬剤であり、自分も頻繁に処方する鎮痛薬の1つです。処方する際に注意すべきは、まず消化性潰瘍の予防と、腎機能や血小板への配慮です。

鎮痛薬で浮腫を生じ得ることも忘れずに
 日本緩和医療学会の『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン』では、NSAIDsとプロトンポンプ阻害薬、高用量のH2受容体拮抗薬、ミソプロストールの併用が推奨されていますし、腎機能悪化や血小板減少を認める事例では使用を控えます。ここまではとても有名なことですが、もう1つ忘れてはいけない副作用に浮腫があります。NSAIDsがプロスタグランジンの作用を抑えることで、水分貯留が起こると考えられています。

 進行癌の患者さんで、浮腫に困る事例は多くあります。原因として肝機能や腎機能の低下、低アルブミン血症、リンパ浮腫など、様々な病態が関与しています。利尿薬を試すこともありますが、原因自体の改善が困難な場合など、改善は難しいことも多いのが現実です。このようなとき、使用している鎮痛薬を見直してみてください。NSAIDsを処方していませんか? そのNSAIDsを中止してみることはできませんか?

 癌性疼痛にNSAIDsを使用していたとすれば、医療用麻薬で代替できます。既に医療用麻薬を使用している場合は、NSAIDsを中止しても疼痛悪化は起こさないかもしれません。もちろん、医療用麻薬を使用していてもNSAIDsは併用するというのが、WHO除痛ラダーの基本的な考え方ですから、仮に疼痛悪化する場合は速やかにレスキューを用いる準備は前提です。ある腫瘍内科医は化学療法中、NSAIDsは副作用の懸念から使用せず、最初から医療用麻薬を使用することが多いそうです。これも1つの考え方です。

 浮腫が生じたときは必ずNSAIDsを中止した方がよい、と言っているのではありません。むやみに利尿薬など追加する前に、NSAIDsを中止できないか検討してみてもよいのではないか、ということです。患者にとってみれば、薬剤は増えるより減るに越したことありませんから。

 同じように浮腫を起こし得る鎮痛薬として、リリカ(プレガバリン)があります。主に神経障害性疼痛に対して、鎮痛補助薬として用いていますが、リリカの副作用として眩暈・ふらつきとならんで、浮腫が有名です。浮腫を認めた場合で、リリカを処方していたとき。そのリリカが除痛のために著効していたとしたら、中止にするのは難しい判断ですが、そうでもないときは減薬や中止も選択肢に入れてみてもよいのではないでしょうか。

 ロキソニンやリリカは、終末期患者だけでなく、癌患者の多くに使用されている薬剤です。一方で、浮腫も多くの癌患者を苦しめている症状です。このような鎮痛薬投与が浮腫を生じ得ることも、心の片隅に置いて、患者の治療に最善を尽くして欲しいものです。

いつも読んで頂いて有り難うございます。