「世界中に自衛隊を派遣してアメリカの戦争に協力するなんて愚の骨頂」憲法学者 長谷部恭男さん | 千葉市議会議員 かばさわ洋平  GET BACK TO DEMOCRACY 

「世界中に自衛隊を派遣してアメリカの戦争に協力するなんて愚の骨頂」憲法学者 長谷部恭男さん

世界中に自衛隊を派遣してアメリカの戦争に協力するなんて愚の骨頂!

 

自民党改憲草案について、憲法学者である早稲田大学教授の長谷部恭男さんが赤旗日曜版に登場して問題点について詳しく語っています。世界で2番目に危険な国に自衛隊を派遣して駆けつけ警護という新たな任務を拡大しようとしている危険性についてもふれています。最後に9条の平和思想は国民に根付いており、そう簡単に安倍首相の思い通りにはならないという言葉は、その通りであり、憲法改正における国民との矛盾拡大も強まるばかりです。改憲草案の問題点を広く知らせひとり一人が考えていくことが必要です。

 

 

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赤旗日曜版 8/28

 

 

 

安倍首相はじめ与党は選挙中、「3分の2の議席を得たら憲法改正します」なんて一切言いませんでした。もっぱら「アベノミクス」のことを訴えていました。ですから選挙結果から、改憲に向けて有権者のマンデート(信任)を受けたなどとはとてもいえません。

 

しかも、「改憲勢力が3分の2」といいますがそれにどれほどの意味があるのか。憲法改正といってもどの条項をどう変えたいのか党派によっても議員によっても違います。

 

日本国憲法は非常に簡潔にできている憲法です。条文の数も多くないし、規定の仕方もそれほどきめ細かくない。「立憲主義の基本原則を定めています」という憲法です。憲法制定当時に予想しなかったような新しい問題が持ち上がったとしても、新たに法律をつくるとか、場合によっては適切な解釈をしていくことでだいたいのことは間に合います。

 

自民党の改憲草案はとにかく憲法を変えようとしてつくったものだといえます。”とにかく”文字面を変えようといじっている部分と、立憲主義の基本原則を変えてしまおうという部分とが、抱き合わせになっています。

 

自民党の改憲草案は筋も通っていません。たとえば日本という国が大事だ、「国民は気概をもって国土を守れ」という文言が前文に入っています。しかし大事にしなきゃいけないのは、その国がまっとうな国だからです。日本がまっとうな国なのは日本国憲法がまっとうだからです。その憲法をおかしな方向に変えようとしながら、国を守れというのは筋が通りません。

 

日本国憲法は、「すべての国民は、個人として尊重される」(13条)とあります。国民一人ひとりを、どう生きていくか考える存在として国は扱いますよという考えです。ところが自民党改憲草案は「個人」を「人」に変えようとしています。大事な原理を骨抜きにするものです。

 

オーストラリアに本部を置く経済・平和研究所が「2016年の世界平和度指数」を発表しました。世界163カ国の安全度をランク付けしたものです。それによると、日本は安全な方から9番目です。自衛隊が派遣されている南スーダンは162番目です。ちなみに最下位はシリアです。安倍内閣は自衛隊を平和で安全な日本から、世界で2番目に危険な国へ派遣するだけでなく、「駆けつけ警護」などの新たな任務を課し、武器使用の拡大をしようとしています。安保法制で世界中に自衛隊を派遣してアメリカの戦争に協力するなんて愚の骨頂です。

 

安倍首相は改憲に突き進んでこのバランスをさらに壊したいのでしょうが、憲法の平和思想、9条の思想は国民に根付いています。新聞の世論調査でも憲法9条を変えるべきだと人はだんだん少なくなり、守るべきだという人は増えて、朝日(5月3日付)では約7割です。そう簡単に、安倍首相の思い通りにはいきません。