大場紀章さん インタビュー☆後編 | わかりやすいプロジェクト ~高校生チーム~のブログ

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高校生が国会事故調報告書を読み考えます。私たちの活動を通して、考える大切さを他の高校生にも知ってもらいたいと思っています!

お待たせしました、ついに後編公開です!

後編では日本が抱えているエネルギー問題のことや、高校生へのメッセージをご紹介します!
が、その前に大場さんの学生時代のおもしろいエピソードから...


◇世にも奇妙な『焼き芋部』◇


勉強も大事だけど…。大場さんがお話してくださったのは大学生時代のエピソード。


「僕、実は大学時代は結構遊んでもいて、友達と焼き芋部』っていうのをやっていました。僕が作った訳ではないのだけれど、同じ高校から同じ学部に入った友達が始めた。普通、大学に入ったら、女の子と一緒に遊びたいと思うじゃないですか。それで、一番自然に女の子を誘える方法ってなんだろうと思って…『焼き芋だ』って。」


「冬の間に落ち葉を集めたり、農学部の畑を借りて芋を育てたり。年に何回か焼き芋パーティーを開催していました。大学内だけじゃなく、市内全域から、それもほとんど女の子から問い合わせの電話がかかってきて。伝説のサークルです。(笑)」


まったく驚きのエピソードですよね。でも楽しそう!女の子は芋好きが多いですからね!!私もあったら参加したいな~。なんとなんと、冬は餃子、夏はかき氷なんかもセットで用意していたそうで…、季節感もばっちり味わえます!


こういう頭を使った本気の遊びって、なんだか大学生っぽい感じがしませんか?これはもう、一足飛びに楽しい大学生活を想像するしかありません!受験勉強、一緒に頑張りましょう!!(汗



◇日本 未来 エネルギー 検索 


…ではでは、ここから大場さんのご専門であるエネルギーに話を移していきましょう。


1.原子力発電 


読者の皆さんの中にも、原子力発電について考えようにも、話が複雑すぎて嫌になっちゃった…という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。


「日本ではエネルギーは基本的に外から輸入しているものであるから、政治であり、外交であり、貿易であり、環境問題でもあれば、放射能の問題もある、と本当に難しいんですよね。でも、全体を把握している人っていないし、それを目指している人もほとんどいないと思うんですよね。」


「そして、日本は核兵器は持っていないけど、原発は持っている。特殊な状況なんですよね。原発を運営しようとなると、必ず核兵器のこと、悪用されることの心配がつきまとってくる。この心配を克服するためには政府が管理するということが必要なんです。原子力が政治からスタートしているから、政治とは切っても切り離すことができないのです。」


難しい…なにが難しいかも難しい。


「確かに難しいことではあるけれど、難しいと絶望していても仕方がないと僕は思うんですよ。」


「科学的に正しい、正しくないがはっきりしていること、善悪の問題とかの白黒がつけられないこと、両方存在すると思っていて。逆にいうと、白黒つけられる問題なのか、つけられない問題なのか、そこをはっきりさせることが大事なんですね。

原発の是非っていうと科学的問題に聞こえるけれど、地域のこととか、世界のこととか、実は本質的にきっぱりとした答えの出ない問いなのです。」


「そして、やっぱり自分には受け入れられないっていう結論って存在しますよね。それを受け入れることも時には必要だし、受け入れられずに何とかしたいって思うのも人間の自然な考え方だと思うんだけども、全ての局面において、冷静さ”が一番大事なんだと思います。冷静な願いというか、本当はこうあってほしいみたいな思いが。」


私たち自身、「ものを冷静に考えることができているか?」なんて、そもそも気にしたことがなかったです。正しい情報なのか、そうでないのか。はっきりと答えを出していいのか、答えの出ない問いというものがあるのか。本質を見抜くことって難しいですよね。“冷静に考える”ことは、物事の核心に近づく第一歩、ということなのかもしれません。



2.シェールガス 


シェールガスという言葉、最近よく耳にしますよね。正直、私たちはシェールガスってよく知らなかったのですが、大場さんに教えていただいて、かなりイメージを掴むことができました。「シェールガス」とは地層中のある層の岩の隙間にあるガスのことで、採掘するには、その岩にヒビを入れる必要があるのだそうです。


―なぜシェールガスが盛り上がっているの?―


「基本的には、このシェールガスの盛り上がりはアメリカだけで起きている現象なのです。アメリカは少し特殊で、地下資源っていうのはその土地の持ち主の物なんです。だからもし、自分の家の庭の下にシェールガスが埋まっているとしたら、ガス会社にお金をもらって、掘ることを許可するんです。お金は魅力的ですからね、アメリカでシェールガスを掘る人が増えたんです。」


「急激にシェールガスの供給が増えたので、同時に大幅に値段が下がっていて、そのためにガス代、電気代も安くなってきていて、製造業は有利になるし、アメリカにモノづくりにくる企業も増えています。シェールガスによって経済が順調に進んでいるのが、このフィーバーの正体です。」


アメリカ社会では、埋蔵金はその土地の所有者の物だということなのですね!掘ってみたくなるのも納得してしまいます。ちなみに、日本など、ほとんどの国では地下資源の権利は別で政府が資源会社に与えるもの。なんだか残念…?いやいや、皆さんのお家の地下にも、もしかすると…


―日本でシェールガスは採掘できるの?―


「残念ながら、日本ではシェールガスの資源は見つかっていません。秋田県で、ガスと同じ層から出てくるシェールオイルは見つかっているけれど、これを全部掘っても日本だったら一日で使いきっちゃうくらいの量しかないです。」


―シェールガスってどれくらいお得なの?―


「シェールガスが安いっていうのはまず半分、ウソなのです。掘りすぎたために、売っている値段は低いけれど、決して採掘コストが安い訳ではない。半分くらいの人は、赤字で掘っているんです。」


「シェールガスを掘るよりも、普通の天然ガスを掘った方がはるかに安い。シェールガスを掘るには高度な技術が必要なので。だから、アメリカ以外の国は技術は欲しいから試すけれどまだ本気ではシェールガスを掘らないんです。一方、アメリカは普通の天然ガスを掘りつくしちゃっているんですよね。」


他にも、環境問題の存在など、シェールガスの利用にはまだまだ課題も多いのだそうです。新しいエネルギー源候補として華々しく登場したシェールガスですが、なんだか色々と裏側がありそうです。報道などを通して聞いていた今までのシェールガスのイメージと違いすぎて、正直…すごく驚きました。



. 石油・石炭


最後に、私たちにとって身近な化石燃料について。実は、一番、“意外”なことが多かったのはこのパートかもしれません。


「この10年、15年の間に石油価格は5倍~10倍になっているんです。」


「これは、安い石油の割合がどんどん減っているからです。高い石油、安い石油、中身は変わらないのだけれど、一番安く売っている中東での採掘量が減っている分、もう少し高いところからの石油が増えてきていて、相対的に値段が上がっているんです。」


私たち高校生にとってガソリン代って140~150円くらいのイメージですよね。これも、もう少し前までは70円程度だったそうなんです!全然知らなかった!!大場さんの予測ではこれからも石油の値段は上がり続けていくとのことでした。


「原発が減れば、石炭消費が増えるというのが自然な流れ。」


「今、一番コストが安いのは石炭火力です。コストのバランスを保つためには、再生可能エネルギーが増えれば増えるほど、一方で石炭による発電を増やす必要があります。」


石炭を輸入して使っているのって日本韓国だけなんです。それ以外の国はみんな自分の国で掘っているんです。ここで避けて通れないのが、炭田の事故と公害被害。炭鉱事故で亡くなるのって世界に年で10万人と言われていて、大気汚染などの公害によって亡くなる人は100万人いると言われています。」


「他の国々は、自国の尊い国民の犠牲の上で、石炭を利用しているのだけれども、日本ではこの犠牲は全くない。日本は、日本人の命を犠牲にすることなく、原発を止めて、さらに安い電気も得る、日本にとっては合理的だけれど、安易に石炭を増やす方向に進んで行ってしまって本当にいいのだろうか。と僕は思います。」


事故以来、原発のことばかりに注意が向きがちで、原発が減れば石炭が増える、という事実には全く気が付きませんでした。もちろん、炭鉱事故や公害被害の現実もなかなか見えてきませんし、何気なく過ごしていたら気にも留めなかったと思います。エネルギーの今後について、“最善の道”というものを探すのは難しいなと実感しました。



◇高校生の皆さんへ◇


インタビューを通して、ハッ!とさせられることが本当にたくさんありました。自分は将来のために十分勉強できていただろうか、冷静に物事を考えてこられたのだろうか、偏った見方しかできていなかったのではないだろうか…。


私はこのインタビュー後、勉強へのやる気がちょっと変わりました。高校での勉強ができなければその先のレベルには進めない、と聞くと…なんだかゾッとしますよね。それは、自分に「大学で勉強したい!」という思いがあるからなのですが、その根本まで掘り下げて考えるきっかけをもらいました。


皆さんは、大場さんのお話から何を感じましたか?



インタビューの締めには、読者の高校生にメッセージをいただきました。


『上手くいかなかったことがあった時、環境のせいにしないでほしい。』


「自分自身が、どんなことがあっても環境のせいにだけはするものかと思って今まで生きてきて、その意識が崩れそうになると必ず失敗するというのを繰り返してきたんです。確かに、自分の力では何ともならないものってあるんだけれど、その意識を持っているだけで、変えることができる問題っていうのを見過ごすことはなくなるんです。」


「例えば、『焼き芋部』も、深夜の高校に忍び込んだことも、ちょっとこれは問題だけど(笑)、つまらない状況を自分で楽しくしたんです。「学校なんて」って思わないで、行くのだったら楽しくやれよって思います。」


そして、


『自分の将来の選択肢を減らさないための努力が一番大事。』


「大学生までは、モラトリアムって言って、自分の人生選択を先延ばしする権利があるんです。“あの時にこれをやっておけば…”ってならないように、一通り挑戦すればその中で少しずつ自分のやりたいことが見えてくると思う。それが分かるまでは可能性をつぶさないように、毎日頑張れば必ず何かチャンスが来ると思いますよ。」


最後に…

大場さんにとって「考える」とは…


―考えるとは、究極、孤独なのだと自覚すること


「考える人になる境界線っていうのは、孤独を知ることだと思います。考えるっていうのはつまり、他人と違うことを考える、他人と違うことを言えるっていうことで、自分をしっかり持っていないとできないことなんですよ。」


「みんなと違うことを言う勇気をもってないといけない、要するに、1人になってしまうということを受け入れられなければ考えることはできないんです。」


「僕は実際に人間って究極に孤独だなって感じた経験があって、僕はその時にようやく自分の足で歩き始めることができた気がするんです。自分は自分だって受け入れることが必要だと思います。」


大場さんから感じたのは、学ぶこと・考えることへの積極的な姿勢。人の話を聞いたり、本を読んだり、積極的に知る努力をすることは、自分の意見を持ち、表現していくことに必ず繋がっていくはずです。自立の初めは勉強から、ですねっ!




読んでいただいたみなさま、ありがとうございました。

お楽しみいただけましたか?


では、また今度(^^)/~~~