また暴走する小林よしのりを批判する!! ~「女系天皇」は天皇ではない!~ | My Aim Is True

My Aim Is True

競馬~音楽~時事ネタ~歴史~日本を語る。

個人的に、どうも小林よしのりは例の「パチンコ問題」以降、正確には「パチンコ問題」に関する見苦しい言い訳以降、冷めた目で見てしまいます。

[参考]「見苦しいぞ、小林よしのり!!

雑誌「SAPIO」はずっと買い続けていますが、小林よしのりの連載漫画は何となく目を通し、参考になる知識は何となく吸収する程度。

で、前号11/25日号の「『天皇論』追撃篇」も何となく読んでいる程度でしたが、最新号12/16日号の「『天皇論』追撃篇」でも同じ主張をしていたので、さすがに我慢できなくなりました。コイツ、本気だな、と


小林よしのりは漫画という媒体を使って、多くの若者を「保守化」あるいは「ホシュ化」させた功績がありますが、それに付随して、まるで、「教祖様の手ほどきによって難病から脱することができた!」とばかりに、「毛沢東主席の言うことに間違いはない!」という紅衛兵をも生み出しました。要は、影響力の大きさを盾に「ホシュ派」を誤った方向にミスリードしてもらいたくないのです。

前回、小林よしのりに批判的な記事を書いた時、「多くの若者を目覚めさせた功績はあるから」と擁護する意見も多く、僕もそれを認めますが、それを言うなら、ヒトラーだって、「ドイツの経済と産業を再建した功績」はありますよ。


で、今回の小林よしのりの主張は、簡単に言うなら、


天皇は男系でも女系でも問題ない!


ということです。

そして、女系天皇を認めない人は、「ファナティック男系」「男系絶対主義者」とレッテル貼りして罵倒します。

そもそも、「男系絶対主義者」、平たく言えば「男系派」というのは元々は存在しません。それは「保守派」が元々は存在しないのと同様です。

「保守派」とは、言ってみれば、歴史の大河に沿って、何も考えずに(?)伝統や慣習を受け継ぎ、受け渡す、普通に生きている人たちです。

そして、そうした伝統や慣習を破壊する人たち(左翼)が現れた瞬間に、それに抵抗する人たちが「保守派」とレッテル貼りされ、「保守派」が誕生するのです。

例えば、「人には他人を殺す『自由』と『権利』がある」という勢力(左翼)が現れ、それらを批判する人たちが、左翼によって「保守派」「殺人否定派」というレッテル貼りをされるということです。

それと同様、「男系絶対主義者」(以下、「男系派」)というのは存在しないものでした。

何故なら、天皇とは、「男系」天皇というのが原理・原則であるからです。

それは、いかにして「男系」天皇を維持しようかという先人たちの苦慮からしてもわかります。

しかし、「女系天皇」を主張する勢力の誕生によって、普通の日本国民がいきなり「男系派」とレッテル貼りされたのです。

例えば、悠仁様が誕生した時に朝日新聞の見出しが「勢いづく男系派」という悪意に満ちたものでしたが、日本国民の感覚では、「安堵した日本国民」という見出しの方が適当でしょう。

そうした日本国民をネガティヴにレッテル貼りするのは、小林よしのりと朝日新聞ら左翼くらいではないでしょうか。


まずは11/26日号の冒頭、9月10日の宮内庁長官の「皇位継承の問題があることを伝え、対処していただく必要があると申し上げたい。皇室が安定的に続くかどうかという意識は、政権が代わっても変わらず持っている」という言葉を取り上げる。

そして、それに対し、小林よしのりの「皇位継承は本当に危機に瀕している」という問題提起は、まさにその通りです。

ただ、その解決方法が一気に女系天皇へとぶっ飛ぶ


漫画「天皇論」に記された記述が転載されていますが、そこでは、「たとえ将来、女系天皇が誕生するようなことになっても、わしは失望しない。(略)元々、天照大神は女性神である。ならば日本の天皇は女系だったと考えることもできる!」と記されている。

まあ、「打倒天皇制!」の左翼のように「女系天皇問題なし!」とする人たちもいるので、小林よしのりもそのように思うなら、「自由」といえば「自由」である。

ただ、そこからがいつもの暴走である。


小林よしのり:「右派はこの一点が気に入らなかった。この一点で『天皇論』のすべてが台無しだと言った者までいた。彼らの名は『ファナティック男系』! 『男系絶対主義者』である」


この漫画「天皇論」はかなり売れたため、すっかり小林よしのりも、まるで民主党が政権を獲ったからマニフェストのすべてが支持されたと勘違いするように、いつものように批判を受け付ける気がないようである。


まず、上述の「天皇論」の「天照大神は女性神である。ならば日本の天皇は女系だったと考えることもできる」という記述ですが、何をわけのわからないことを言っているのか!?

もちろん、小林よしのりも11/26日号では、その直後に天皇が初代・神武天皇以来、男系の万世一系であることを記している。

で、何で「日本の天皇は女系だったと考えることもできる」のか!?

天照大神は天皇じゃないよ・・・。


その後、小林よしのりは一部の保守派が言っていた、「男系でないと神武天皇のY染色体を継承できない」という主張を批判する。ただ、この主張には僕も「そんな話にするなよ」と思うので、小林よしのりに異論はない。

ところが、その後。


小林よしのり:「結局のところ、『男系絶対主義者』からは、『今までそれで続いてきたから』以上の理由を聞いたことがない」


「今までそれで続いてきたから」の理由で十分ではないですか?

なぜ、先人たちが「男系」天皇を維持しようと苦慮してきたか。別に「Y染色体を継承するため」とかいう科学的な根拠で、それを維持しようとしてきたからじゃないでしょ。

日本人の感覚として、男系維持にこそ正統性があるという意識があったからではないでしょうか。


そして、保守言論人の「専門家でもない『有識者会議』の報告で決めるのは間違っている!」という言葉に対して、小林よしのりは「ぷっ・・・そういう言論人とて歴史の専門家はいないじゃないか!」と小馬鹿にする。

この保守言論人の「専門家でもない」という言葉は、「天皇に関する知識もろくに無い」というニュアンスであろうが、小林よしのりは「歴史の専門家」という権威を重視するようである。僕はその手の権威よりも、真っ当な日本人の感覚を信じたいですね。


その後、小林よしのりは、「このままでは、悠仁親王が成人される頃には、若い皇族方はすべて結婚して民間人になられ、次世代の皇族が悠仁親王殿下ただ一人になられてしまうわけだ! これは大問題である。さぞや天皇陛下がご心配なさっていることだろう」「緊急の課題であることを強調しておく!」とする。

これは全く持って同感です。

えっ? 批判するんじゃなかったのって!?

僕はそんな単純な頭をしてませんよ(笑)。

それこそ、大嫌いな森永卓郎の経済政策にすら、同感することもあります。


さて、11/26日号が、そうした問題提起で締めたせいか、それを何となく読んでいた僕はブログの記事にしようとは全く思いませんでした。

(漫画「天皇論」もだいぶ前に読みましたが、なかなか良かったですよ。上述の「日本の天皇は女系だったと考えることもできる」という記述も、“そんなのあったっけ?”くらいの印象です:笑)。


ただ、12/16日号で2号続けて、これをやられたら、さすがに黙ってられないなと震えました。

冒頭で、保守系言論人が終結して、「女系反対」を唱える集会の様子をDVDを小林よしのりが見て、言う。


小林よしのり:「ここではもはや誰も『女系容認』とは言えない。男系絶対の『同調圧力』が出来上がっている!」


「同調圧力」じゃないだろ・・・。女系反対の人たちが集まっているんだから、「女系容認」なんて言うわけないだろう(笑)。

そもそも、男系維持」の主張って、「君が代」斉唱と同類のものでしょう。


小林よしのり:「集会の参加者たちは、口々に『皇室典範に関する有識者会議』を非難した。彼らは本当に有識者会議の報告書を読んだのだろうか? いや、絶対に読んでないはずだ」「わしはちゃんと読んでみた。ほぉ・・・大したものだ。これは相当、専門的な知識のある人間でなければ書けない内容だ」


あのねぇ・・・。

この手の「有識者会議」ってものの大半は、官僚がそれらしく見せるために、一応、「有識者」を人選して集め、官僚が作ったペーパーを配って、官僚主導で「有識者」を誘導して、最終的には官僚が「霞ヶ関文学」で報告書をまとめるのです。

そりゃ、宮内庁の官僚(?)だったら、天皇に関する「専門的な知識」くらいはあるでしょう(笑)。


小林よしのり:「例えば、この報告書には『天皇制』『天皇制度』の用語は使っていない。使っているのは『天皇の制度』だ」「天皇の存在自体は『制度』ではない


これは正しい。

「天皇制」という言葉を最初に使ったのは共産主義者です(僕は便宜上、使うこともありますが)。

「天皇の存在自体は『制度』ではない」から、そんな言葉はなく、それを否定する左翼によって生み出されたのです。小林よしのりの言う「男系絶対主義者」のように(笑)。


小林よしのり:「よくこんなに微妙な言葉の使い方をしたものだ


「霞ヶ関文学」ですから(笑)。


小林よしのり:「ネットにも出てるから、日本語が理解できるなら読んでみろ!」


はい、読んでみました、時間がないので全部は読んでません。サクッとです。

そこで、興味深いことを発見しました。

この報告書には、小林よしのりの言う「天皇の制度」という言葉を使っていましたが、それ以上に「象徴天皇の制度」という、何だか悪意に満ちた言葉を連発してるんですよね。

そして、「天皇の制度」という語句には大抵、「長い歴史や伝統を背景とする」「古代から世襲により連綿と受け継がれてきた」文言が付いているのに対して、何だか、戦後、それらから断絶したように「象徴天皇の制度」が連発されるのです。


小林よしのりは官僚が霞ヶ関文学で書いただけかもしれない報告書を読んで、「皇室典範に関する有識者会議」に参加した「有識者」を「相当、専門的な知識のある人間」と感じたようです。僕は、実際、その「有識者」が専門的な知識があるのか、ないのかわかりません。

ただ、知識があろうが、なかろうが、その「有識者会議」の座長を務めた吉川弘之・元東京大学総長(ちなみに吉川氏はロボット工学の権威)の以下の発言により、この「有識者会議」の方向性がどういったものかわかります。


吉川弘之座長:「私たちは歴史観や国家観で案を作ったのではない」


仮に、その「有識者」が天皇に関する知識があったとしても、歴史観や国家観も欠けた皇室典範改正案に何の意味があるのか。


小林よしのり:「男系絶対主義者が主張するのは昭和22年に皇籍を離れた11の宮家やその男系男子の子孫を皇族とする方策である。だが、報告書では、それでも男系男子による安定的な皇位継承は困難だ、と指摘している。当然だ。旧宮家を復活させても、側室がいないのだから、その家に女児しか生まれない確率は極めて高い


さっぱりわかりません。なぜ、女児しか生まれない確率が極めて高いのか。


小林よしのり:「そればかりではない。報告書では、こんな重要な指摘をしている。

『旧皇族は、すでに60年近く一般国民として過ごしており、また、今上天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼる遠い血筋の方々である』」

「そうなのだ!600年だ!600年もさかのぼるのだ!」

「600年も離れた男系のバイパス手術を行います! こんなこと言って、国民は受け入れられるのか?」


数字の問題ではない・・・。

で、その小林よしのりの数字の基準って何なんだろうか。

100年なら有り?200年なら有り?

個人的には、600年の歴史を持つ宮家と肯定的に捉えますし、そもそも、小林よしのりは宮家の存在理由がわかっていないのではないか。

あと、念のために言っておきますが、「今上天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼる遠い血筋」とは男系の繋がりです。女系では、例えば小林よしのりが批判する竹田恒泰氏(旧・竹田宮家)は曾祖母が明治天皇の内親王です。


小林よしのり:「そもそも『男系優先派』は、いつから『男系絶対主義』になったのか? 例えば八木秀次氏は以前、こんなことを言っていた(2004年)。

『私とて、女性天皇に絶対反対ということではない。男系継承という道を探して、万策尽きた場合には女性天皇も女系天皇もやむをえないと思う』

八木氏も『女系容認』ではないか!」


あのねぇ・・・。

最初から「女系容認」の小林よしのりと違って、八木氏は「男系継承という道を探して、万策尽きた場合」と断っているではないか。


小林よしのり:「ただし、わしは指摘しておく。『万策尽きたら女系容認』とは、『万策尽きたら、正統性のない女系でもいい。何だっていいや!』という意味になる。女系天皇は、万策尽きた据えの『やけっぱち天皇』か?」


勝手に妄想するな・・・。


小林よしのり:「八木氏らは『男系絶対主義』ではなく、『やけっぱち女系容認』論者だったはずだ。それがなぜ『女系容認は皇統断絶』だの、『女系容認は易姓革命』などと吠えている!?」


ハッキリ言う。

女系天皇誕生は易姓革命である。

ちなみに、易姓革命とは、「中国」の歴代王朝革命時に、「姓」が「易(か)わる」ことを言います。例えば、「明」の朱氏から、「清」の愛新覚羅氏。

そりゃあ、愛子様が鈴木姓を持つ人と結婚して、その息子が「天皇」になったら、鈴木姓を持つ「天皇」となることになります、天皇の歴史においては。

でないなら、蘇我氏や藤原氏の娘との間に生まれた天皇は、蘇我姓や藤原姓を持っていることにもなり得ます。


女系天皇誕生で易姓革命が起こったら、我々日本国民が世界に誇る万世一系の天皇という「制度」が断絶してしまうことは言うまでもありません。

しかし、「男系継承という道を探して、万策尽きた場合」には、その先の日本の「国体」に、我々はいくつかの選択肢が与えられます。

つまり、共和制にするか、それとも、「中国」で易姓革命が起きた後も「皇帝」というシステムが継続したように、「天皇」というシステムだけを受け継いで、立憲君主国となるかなどです。

もちろん、その場合の「天皇」は、我々日本国民が世界に誇る万世一系の天皇ではありませんが・・・。


小林よしのり:「わしは大御心が『女系容認』の可能性は十分あると考えている」「女系容認』が『易姓革命』と、『皇統断絶』などとは、全然、信じていない!


よくわからない人だなぁ。

そもそも、11/26日号の冒頭の宮内庁長官の発言に関して、八木秀次氏が天皇陛下のご意向を受けてのことだとは思われないという趣旨の主張に対し、小林よしのりは「わしはこのような確実な根拠を示さず書かれた説を信用しない」と批判するところから今回の暴走は始まっているからです。


さて、12/16日号の後半は旧竹田宮家の竹田恒泰氏を罵倒しまくるのである。

「なんでわざわざ『俗界』で生まれ育ち、一般大衆化したタダの男皇族にしなければならんのだ?」という意識を根底に持ち、このような「タダの男」は「レンタルビデオ屋でアダルトDVDを借りた記録を残しているかもしれない」「いかがわしい男女交際をしたり、人に金借りたりしてるかもしれない」「あとで続々と『俗界』の証言者が現れて暴露するかもしれない」と「かもしれない」節を炸裂。

「俗界」で生まれ育った「タダの人」は皇族にしてはいけないというなら、美智子皇后も雅子様も紀子様も皇族にしてはならなくなる。世間の雅子様批判を小林よしのりは批判していなかったか!?

そもそも、11宮家が皇籍離脱したのは、GHQの占領政策である。

一般的には、「将来的に天皇家の皇統を断絶させるため」であったと言われる。

11宮家が皇籍離脱する際、加藤宮内次官に「万が一にも皇位を継ぐべきときがくるかもしれないとの御自覚のもとで身をお慎みになって頂きたい」と言われたそうで、万が一の皇統の「保険」こそが宮家の存在理由なのである。


さて、この手のことを書き始めたら、キリがないので、最後に簡単にまとめておきたい。

このままでは、悠仁様が天皇に即位した際、宮家はゼロになります。

小林よしのりや「打倒天皇制」を唱える朝日新聞ら左翼は、安易に、悪意を持って「女系天皇」を主張しますが、当然のことながら、我々日本国民は無視します。

宮家をゼロにしないためには、よく言われるように旧宮家の宮家復活があります。

なるほど、確かに、いかに男系とはいえ、臣下した者がいきなり天皇に即位することに抵抗感を感じる人は多いかもしれません。

ふと思い出したのは、第59代・宇多天皇は一旦、源氏として臣籍降下した後で、皇族に戻り、皇太子となっています。もちろん、臣籍降下したとはいえ、今ほど俗化することはないでしょう。あと、臣籍降下した宇多天皇、あるいは1710年に新井白石によって創設された閑院宮家から、そのおよそ60年後に即位した光格天皇はいずれも名帝として名高いです。一度、距離を置いたことで、天皇とはいかにあるべきかを自覚されたのだと思います。


それはさておき、僕が何となく思いついたことを記します。

旧宮家の宮家復活に抵抗する人も多いでしょうから(左翼がそうプロパガンダを張るでしょうから)、愛子様や眞子様や佳子様が、旧皇族と結婚し、そこで男子が産まれたら、新たな宮家を誕生させたらどうでしょうか?

右翼からは「不敬だ!」と言われそうですし、左翼からは「恋愛の『自由』に反する!」、その他からは「ギャンブルじゃない!」とか、小林よしのりからは「女児しか生まれない可能性は極めて高い」と批判されるかもしれません。

確かに不敬な提案ですけど、そもそも皇族に「自由」なんてものはありませんし、各方々もそう自覚されているはずです。

小林よしのりに「女児しか生まれない可能性が極めて高い」と言われたって、秋篠宮家から悠仁様が誕生したじゃないですか。

神風は吹きますよ。


最後に簡単にまとめます。

男系を維持する方法は決して「万策尽きて」いるわけではありませんし、それを維持するために先人たちがいかに苦慮してきたことか。

それを「相当、専門的な知識のある人間」が集まった「有識者会議」がわずか33時間で「女系容認」と結論付けました。

それに対し、安易に、悪意を持って、「女系容認」ができるでしょうか?