絵になじみのない人ほど“写真のような絵”に驚愕します。
私の大学時代の同級生に、日本のコンピュータグラフィックス(以下CG)の草分け的存在である藤幡正樹氏(現・東京芸術大学教授)がいます。
藤幡氏のWEBはこちら。 私たちが大学生(学部)だったのは1975年~1979年のことですから、Windows95によって爆発的にPCが広まり、デジタル時代の幕が開いた1995年よりはるか20年近くも前のことになります。 芸大卒業後、彼がアメリカのCGフェスティバル“シーグラフ デトロイト”に於いてコンピュータ・アニメーション「マンダラ1983」で脚光を浴び始めた頃、私はパルコ宣伝部として彼とTVCFを作ったりしました。おそらく、日本でCGを取り入れた最初のCFの一つだと思います。まだ、球体一つ作るのに膨大な計算式を入力して、結果が出るまで数時間食事に出て時間つぶしをするような時代です。
今から約30年も前(映画「トロン」の翌年です)、まだソフト(インターフェイス)も整っていない時に計算式だけでこれを作り上げた彼の先見性と才能には本当に感服します。
その時(30年以上前)に彼が話していたCGの未来予測を今も鮮明に思い出します。
彼は、『今、すでにCGの“現実世界の再現”レベルはかなりのところまで来ている。水の描写、森の描写、髪の毛の描写などはすでに完成しつつある。仮にCGが“現実世界の忠実な再現”という道を歩む宿命なら、僕はCGを続ける意味はないので止めるつもりだ。』
(言い回しは違うと思いますが、彼の言っていることは私にはこういう意味に聞こえました。) そして、彼は、確かそれ以降CG作品を作っていないと記憶しています。
なぜ、私が藤幡氏の“過去の一言”を引き合いに出したかというと、“写真のような絵”や“絵のような写真”の意味について考える中で、藤幡氏の30年前のCGについての見解がそのままあてはまるような気がしたからです。
毛穴まで描いてある“写真のような絵”に驚愕する過程には、「写真だと思ったら絵だった。」=「マンマとだまされた。」=「見事に“だます技術”は凄い」という思考の流れがあるのだと思います。
改めて言うまでもなく、藤幡氏は、CGによる“現実の再現技術”を極めたいと思っていたのではなく、アート(デジタル)の可能性を追い求めてい(た)るのだと思います。
現実の再現技術の追求とは、 敢えて言ってしまえば蝋人形館と同じ価値観だと思います。
あたかも他のメディアで作った(描いた・写した)ように見せかけるということの意味は???
本物のレアリズムの巨匠、アントニオ・ロペス・ガルシア氏はこういいます。
※レアリズムについては2分20秒あたりから
CG(デジタル)にはCG(デジタル)の、写真には写真の、映像(動画)には映像(動画)の、油絵には油絵の、パステル画にはパステル画の、ガッシュ画にはガッシュ画の… そして、
水彩画には水彩画“らしい”表現があると思いますので、私は、私なりの“水彩画”を追い求めようと思います。
蝋人形館のような“美術館”。。。 ありますね。 (笑)
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