9月の記事「先住民族が聖なる土地と水を守るために立ち上がる・アメリカ」を公開した後も、世界中のメディアの関心が(茶番にしか見えない)大統領選挙に集中する中で、この抗議活動は進行中でした。
アメリカのノースダコタ州で石油のパイプラインが建設中ですが、これまでも何度もパイプラインの流出事故により、多くの場所で水が汚染されています。それに我慢の限界を感じたアメリカの先住民の多くの人たちが立ち上がり、水と自然を守るために立ち上がり、気温がとても下がっている現在も抗議活動を続けています。
もちろんアメリカ合衆国政府は、いつもの通り抗議活動を抑えようと警備員や警察官などを送り暴力的な行為を行っています。そして大きな衝突が起こるたびにけが人も多数出ています。
継続中というよりは規模が拡大し、激化してきています。マスコミでも一部でひっそりと報道されてはいるものの、内容を考えると意図的に隠そうとしているのかとさえ思えるほどです。今、退役軍人の参加も増加しており、市民戦争の様相さえ帯び始めてきています。
関連ニュースがあまりにも多くて全部はまとめられませんが、この件に関して特に印象的なニュースをまとめました。この抗議活動の発端は、上記の9月の記事にまとめてあります。
http://wearyourvoicemag.com/more/social-justice/
*-*-*-*-*-*-*-*-*
★パイプライン一つでどうしてそんなに騒いでいるの?
今年だけでも「相当なレベルの」パイプライン漏えい事故220件が起きていたことが明らかに
10月25日【Eco Watch】220 'Significant' Pipeline Spills Already This Year Exposes Troubling Safety Record
こちらのリンクには、アメリカ国内だけで今年起きたパイプラインの漏洩事故についてまとめられています。
2006年から起きた3,032件の漏洩事故による損失金額は47億ドルだそうです。
金銭的な損害以上に、自然に与えた影響は・・・計測不可能で、回復までには長い時間がかかるでしょう。
*-*-*-*-*-*-*-*-*
★抗議活動参加者に対し、警備の犬に攻撃をさせて負傷者がでる
Facebook上に一つの動画が公開され、世界中から大きな反響を呼びました。
【閲覧注意】
https://www.facebook.com/tushka.hill/videos/1283592088319074/
雇われ警備員が警備用の犬を意図的に抗議活動参加者に向けて解き放ち、参加者の複数が流血するほどの負傷を負いました。
その後、抗議活動に賛成の人たちがFacebook上でこの犬と、犬を貸し出している会社を見つけ出し、これもネット上で瞬く間にその会社や社長の名前やFacebookアカウントがシェアされました。この残虐な行為に怒った人たちは、たとえばFacebookの犬の管理会社のページで攻撃的なレビューやコメントを大量に残し、とてもじゃないですが通常営業などできそうもないくらいの社会的ダメージを受けていました。
★夜間に低飛空の航空機がスタンディングロック抗議活動現場に「化学物質」を散布
11月24日 Standing Rock Camp Being Sprayed With “Chemical Agents” By Low Flying Aircrafts At Night
http://www.collective-evolution.com/2016/11/24/
最新の大規模な警察の暴力行為からは入院になった人は数十名、負傷者は数百名出ているとのこと。
現地の女性の証言です。
「ここ何日か、私たちのキャンプ場の上空を航空機が飛行しているのを私たちは目撃しました・・・(そして)航空機は主に夜に電気を消してくるようです・・・彼らはこの場所を違法に使用しています・・・昨晩は・・・午前1:40から今朝の2:20までキャンプ上空を飛行している航空機がありました。(航空機は)私たちの上に化学物質を散布していたのだと私たちは考えています」
*-*-*-*-*-*-*-*-*
★大統領候補として出馬していたジル・ステイン女史も参加し、逮捕状が出される
9月7日https://www.democracynow.org/2016/9/8/headlines
非常に多くの賛同者が出ているこのNODAPL(ノースダコタのパイプライン抗議活動)にはセレブなども参加していましたが、当時は大統領選に立候補していたジル・ステイン女史(Green Party、緑の党)も参加し、逮捕状を出されていました。
イギリスでもそうですがGreen Partyの人はデモにもよく顔を出したり、政治家としてはちょっと過激なこともしてくれます。
★Facebookのチェックイン機能で警察を混乱させようという作戦に世界中で大勢の人が賛同
10月31日【QUARTZ】http://qz.com/823587/
(「デモ」に対応し、重装備の警察官たち http://nativenewsonline.net/currents)
この抗議活動が過熱化し、警察との衝突が激化して140人を超える逮捕者が出た直後に、
「警察はFacebookのチェックイン機能を使って、参加者の動向を確認している」という噂が出始めると、多くの支援的なサイトが「警察の調査を妨害するために、スタンディング・ロック居留地(Standing Rock reservation、抗議活動の中心地)にFacebook上でチェックインしよう!」と呼びかけ始めました。
この動きは瞬く間に広がり、私の周りでも数人が同じ日にスタンディング・ロック居留地にチェックインしていました。実際どれほどの効果があったかはわかりませんが、かなりの人が抗議活動を続ける先住民を中心にしたグループへの支援と団結の念を表明するためにチェックインをしていたようです。
★ボイコットとしてパイプラインに投資している銀行から預金口座を解約しようという動き
https://www.facebook.com/events/352932328389408/?active_tab=about
このリンク先には、パイプラインの事業に投資を行っている世界中の銀行の名前がリストアップされています。そしてFacebookなどネット上では、「今日、私は●●銀行を解約してきました!#NoDAPL」という投稿が最近盛り上がっています。
要は出資銀行から個人の預金を引き出し、反対の意志を表明し、少しでもダメージを与えようという趣旨です。
日本の銀行では次の銀行が上記のリストに含まれていました。
*三井住友銀行
*東京三菱銀行UFJ
*みずほ銀行
ちなみにこの3行は、東電への融資額上位3位を占めてもいます。
シティバンクも日本に支店がありますね。
9月14日には抗議活動の参加者がワシントンDC内にある上記銀行の2支店前で活動を行い、一時的に業務を妨害していました。
https://beyondextremeenergy.org/2016/09/14/
また11月1日には、抗議活動のデモ隊が銀行へ抗議活動を行いに行く前にNYのグランド・セントラル駅でも抗議活動を行っていました(CNN 動画あり)。
*一方、ノルウェー最大の銀行(DNB Norwegian bank)は全資産をダコタのパイプライン事業から撤退したそうです。
11月17日 Breaking: Largest Bank in Norway Pulls ALL Assets in Dakota Access Pipeline
http://www.organicandhealthy.org/2016/11/
*12月1日はポートランドで抗議活動として銀行口座を解約する活動を集合体として行う予定です。
https://www.facebook.com/events/1715073835486697/
****
★世界中の様々なところから熱烈な支援を受ける抗議活動側
*スタンディングロックの抗議者に対し暴力をふるうことに反対し、警官が辞職
Police Turn In Badges Rather Than Incite Violence Against Standing Rock Protestors
11月4日http://www.trueactivist.com/
4日、二人以上の警官が平和な抗議活動参加者に暴力をふるうために警察官になったのではない、と意向を明らかにし辞職しました。
*アマゾンの先住民族のリーダーたちがスタンディングロック・スー族と共に立ち上がるために、現地を訪問
Amazon Indigenous Leaders Travel to Stand with Standing Rock Sioux Tribe
エクアドルの先住民族の方たちが、ノースダコタの抗議活動に参加するため、はるばる活動の現地を訪れました。
(画像は共にAmazon Indigenous Leaders Travel to Stand with Standing Rock Sioux Tribe
)
「北と南の勢力が合流する」
*500人の様々な宗教の聖職者らがスタンディングロックを訪問
500人の聖職者がスタンディングロックに行った理由とは
The Reason Why 500 Clergy Went To Standing Rock
11月12日http://upliftconnect.com/500-clergy-went-to-standing-rock/
先週、22種類の様々な信仰、宗教の聖職者たち524人が、全米各地からスタンディングロックを訪れました。司法機関(警察など)による暴力行為に遭いながらも、水を平和な方法で守ろうとする非武装の抗議活動の参加者たちに連携の念を表明することがその目的です。
*退役軍人数百人がスタンディングロックの抗議者を守るために現地に赴く
すでに活動に参加している退役軍人からは逮捕者も出ているようです。
次の動画では花を摘んでいたという理由で警察官に身柄を拘束され、頭部を袋の中に押し込められた退役軍人の抗議活動参加者の様子が写されています。
【閲覧注意】暴力的な映像が含まれています。ご注意ください。
シャイエン・リバー・スー族の退役軍人グループがパイプライン建設反対の抗議活動を行う様子。(8月)
警察の手からDAPL抗議活動参加者を守るため、数百人の退役軍人がスタンディングロックに向かう
Hundreds of Veterans Heading to Standing Rock to Defend DAPL Protesters from Police
11月22日http://theantimedia.org/veterans-defend-dapl-protesters/
先日はかなり低い気温の中、抗議活動参加者たちに対して放水車による攻撃がされたということです。かなりの被害がでました。21歳の活動家の一人の女性は腕に大けがを負い、切断するかどうかというほどの状態だということです。写真で見ましたが、とてもむごいものでした。。。(画像のリンク:閲覧注意です)
その後の調査で、彼女の負傷はグレネード弾による攻撃だったのではないかと一部で言われており、一部の独立系メディアでは報道されていますがマスコミでは報道されているのはまだ見かけていません。。http://www.infowars.com/
NoDAPLで「警備」という名前の暴力行為を行っている警察署のFacebookページがこちらです。相当な数の激怒した一般市民から、無数の派手なトロル行為を受けています。レビューも1.1にまで下げられました。これは最近のネット上の抗議活動として人気になりつつある手法です。あまりにも攻撃がすごいため、非公式ページに成り下がり、コメント欄がすごいことになっていた弁明の投稿なども削除されていました。
Facebook上の動画(放水車による攻撃)
https://www.facebook.com/hiveswarmmedia/videos/249280875487395/
明らかに無抵抗の抗議活動者の集団に向かって、この寒い中放水がなされています。世界各地ではこれまで、放水車による放水で失明したり、打ち所が悪くて亡くなった方もいます。また、気温が低いために深刻な低体温症の引き金にもなりかねません。
その状況に耐えかねたのか、多くの退役軍人の方々が立ち上がり、現場に向かっているということです。12月4日には現場に配置される予定とのこと。
「山のように立ち上がれ」
https://i.ytimg.com/vi/dyzzEnRR8f8/hqdefault.jpg
*モンゴルからも連携の気持ちが伝えられる
https://www.facebook.com/groups/1189605521103612/
「私たちシャーマンのグループは、モンゴルからノースダコタのパイプラインに反対するスタンディングロックの抗議活動を支援しています。
私たちはここで参加し、世界に私たちの声を送ります。
私たちは一つの地球に生きています。水を守りましょう。自然を脅威にさらすのを止めるのです」
*モロッコでも抗議活動が
*ポートランドから、スタンディングロック抗議活動者に医療目的ために古いスクールバスが贈与されることに
Old school bus from Portland to warm Standing Rock protesters (photos)
(画像 http://www.oregonlive.com/hg/index.ssf/2016/11/)
ポートランドを拠点にする環境保護団体がネット上で集めた募金を使い、20年物のスクールバスを購入。
寒さの厳しいノースダコタの秋~冬に、負傷した人や低体温になった人に暖かく寝てもらうための簡易ベッドを内部に設置する予定だそうです。
★Facebookのミーム
「今年の感謝祭は、私たちみんなのためにスタンディングロックで立ち上がってくれている水を守る方たちに感謝を捧げたいと思います。
https://www.facebook.com/groups/1189605521103612/
本物のヒーローはこんな感じに見えるでしょう」
アメリカ・アイオワ州での抗議活動の様子
http://www.workers.org/2016/10/02/nodapl-battleground-iowans-resist-pipeline/
*-*-*-*-*-*-*-*-*
★スロベニア が水を人権として憲法で制定するEU初の国に
11月20日 Slovenia becomes first EU nation to enshrine human right to water in their constitution
スロベニアの湖
*-*-*-*-*-*-*-*-*
【コメント】
水は人間、その他動植物の生命維持に最低限欠かせないものです。地球にとっては血液のようなものです。それを一部の強欲な人間の利益のために侵されたり、あるいは利用を制限され、枯渇するまで売りとばされること自体がおかしいことです。水の豊富な日本ではあまり水に対する危機感を感じることは少ないかもしれませんが、福島の汚染水流出で海産物に対して不信感を持っている方も多いのではないでしょうか。
アメリカだけではなく、世界中で水資源が危険な目にあっています。
水だけでなく空気や土壌も人間の都合や利益のために汚染され、動植物もかなり危険な状態に直面しています。現在、増加する一方の絶滅危惧種の指定や、世界中で頻繁に起きている大量死などについてお調べになると、ぞっとするでしょう。
パイプラインの流出・漏洩事故について画像検索してみるだけでも、彼らは感傷的な理由だけで抗議活動をしているのではないことがわかります。