2016年 名古屋グランパスが残した5つの功績【Jリーグ・Jクラブがするべき事と必要なモノ】 | てぃふぉーじのある日常〜footballを添えて

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Tifosiのメンバーがサッカーについて勝手気ままにつらつら語るブログ。活動紹介やイベント告知もちょいちょいあります。

あけましておめでとうございます。

新年1発目もまたまた京都サポのNです。(もう当分書かない)

 

今回は「サッカークラブに必要なものとはなんぞや?」というお話をしたいと思います。新年早々説教くさくてごめんなさいね

 

 

で、題材に取り上げるのは、昨年2016年に沢山の話題を振りまいた"名古屋グランパス"。

 

2016年のグランパスといえば、小倉GM兼監督の下スタートを切るも、最終的に史上初のJ2降格。さらにはユースも高校生年代最高峰リーグであるプレミアリーグから降格決定と、まさかのW降格となってしまったのが印象的。

 

降格決定後は、「親会社と、親会社からの出向役員と、以前からいたサッカー畑のトップとで、仁義なき戦いが繰り広げられていた(要約)」「功労者であった主力選手を放出しておいて"アイツは俺が切った"と語る人がいた」などど飛ばしにしてもかなりキツイ内容の検証記事がでるなど、内部のゴタゴタも凄かったようで……

 

 

しかし、そんな中でも、「愛されたい宣言」のもとにクラブスタッフの方がサポーターの為・お客さんの為と仕事をした結晶が、各Jクラブがすぐに見習うべき功績が、多数存在していました。

 

そこで、埋もれさせてはいけない2016年の名古屋グランパスの功績を5点紹介いたします!!

 

 

 

【1.ファンクラブの価格帯がGood!】

まず1点目はファンクラブの価格設定!

ファンクラブというのは、長くクラブを愛する人からすれば"お布施"感覚で軽々と数千円は出せるだろうが、好きになりたての人からするといきなり4000円ほどを払う気にはなれず二の足を踏むところではないでしょうか?

多くのクラブでは、グレード分けがなされていない。または為されていても敷居がいまいち低くないという状況です。

 

その点、グランパスファンクラブの一番下のグレードは入会費年会費計2000円。単純に価格面だけを見れば手を出しやすいですよね。

ファンクラブというものは単体で収益を得ることも大事ですが、登録を機に個人情報を獲得し活用することで、より上のグレードにファンを育成していく事&年間チケットホルダーに育成していく事の方がより大きな収益を生みます。

その点から言っても、敷居を低くするこのやり方は正しいやり方と言えるのではないでしょうか。

「観戦スタイルに合わせて選べる4つのコースで、あなたらしく、力強く。
あなたの想いと声で、選手たちの背中を押してください。 」

という2017シーズンファンクラブ会員募集文も、嫌みなくファンにサポートをお願いする姿勢が出ていてよいよい。

 

 

 

【2.公式ホームページがかっこいい!】

2点目は公式サイトのカッコよさ

これ、シンプルにかっこよくないですか??

日本人が見るんだから日本語で良いじゃんとは思うものの、このカッコよさは素直にうらやましい。(英語版は別にあります)

バックにサポーターの様子を使っているところも「愛されたい宣言」の姿勢が出ていてよい。一貫性は大事です。

なお、7月にリニューアルを施した結果が今のサイトなのですが、 公益社団法人日本アドバタイザーズ協会Web広告研究会による第4回Webグランプリにて優秀賞を受賞しています

おめでとうございます!

 

中身そのものも概ね良くて、2019ラグビーW杯でも使用される豊田スタジアムを「サッカー専用」や「収容人数40000人」などと謳っている点や観戦初心者に易しくない点等以外は文句なし。

 

なお取り立てて言うと、「フィールド 141m×88m」と豊田スタジアムのフィールドの大きさを載せている点は最高。

どこのクラブも見習いなさいよ本当。こっちは各スタジアムのピッチからスタンドまでの距離が知りたいのだよノエスタとか吹田とか。特に吹田は募金団体のHP消しちゃったんだから、もっと充実させればいいのにもう~~

 

 

 

【3.Twitterの運用がうまい!】

 

3点目はTwitterの活用についてです

これら↑は、昨年の名古屋グランパス公式Twitterが投稿した、2パターンの試合メンバー発表ツイート。

アウェイの試合の際には動画を、ホームの試合の際には画像を添付して投稿している。一目で「かっこいい!」と思える投稿をしており大変良い!

残念なことに、Jクラブはツイート文に選手名やポジションを組み込む事が多く、視覚的にインパクトの薄いメンバー紹介ばかりなので名古屋のような投稿をしているクラブは稀と言えます。

 

(例)浦和レッズ公式Twitter

読点で選手名に区切り+CS決勝ならではの画像添付と、最低限の仕事はやれているがJリーグ予算規模№1のクラブがこれでは寂しいところ…

 

ただ、名古屋の真骨頂はこれ↓

 

 

動画の活用がJリーグではトップレベルなところ!

 

試合のレポートとして、また宣伝としてうまく活用しており、リツイート数やいいね数も非常に高い数値をたたきだしているのがわかりますよね。

Twitterの長所は「自分たちから発信できる点」と「速報性」「拡散性」。

それらをきちんと理解し、思わず皆に共有(リツイート)したくなる動画投稿ができているのは53あるJクラブの中でも名古屋だけと言っていいのでは。

 

ホームゲーム時のタイムスケジュール(マップもあればもっと便利だなあ…)やアウェイゲーム時の観戦ルールリリースなど、サポーターが必要としている情報をしっかり提供できている点も素晴らしい!

 

 

 

 

【4.「グランパスでひとつになる」企画が素晴らしい!】

2016年のグランパスでは、「グランパスでひとつになる」為の企画が沢山実行されました。

 

最初に行ったのは5月5日、こどもの日のマリノス戦。『グランパスワンダーランド ファミリーでひとつになる幸せ』と題して子供向けのイベントを実施し、小学生先着10000名を無料招待した。

 

無料招待と聞くとバラ撒き感を感じてしまうかもしれないですが、同伴する保護者が購入する有料チケット収入が見込めます。

また、招待申し込みも親のチケット購買もJリーグチケット上にて行うよう誘導している為、登録された情報をもとにアンケートの実施やリピートの呼びかけ・ファンクラブへの勧誘などマーケティング活動に活用できるようなっています。決してただの行き当たりばったり的施策ではないですね。

なお、この試合では27669人の動員を記録しました。

 

この1弾目を皮切りに、

 

7月9日の川崎F戦にて、『グランパスビアフェス ~乾杯でひとつになる幸せ~』を開催。

この企画ではなんとアサヒビール協賛のもとに生ビール1杯(300ml)を先着10000名に100円で販売!

ビールフェス的イベントはJリーグの試合のスタジアムイベントでありがちですが、この低価格は思わず手が出てしまいますよね。安ければ良いってモノじゃないですが実現させたのがすばらしい。

そんな成果か、この試合では前日までにカテゴリー3・4・ホームサポーターズシート・セブンイレブンピッチサイドシートがチケット完売。16780人の動員を記録。

瑞穂陸上競技場の公称の収容人数が20000人である事を考えると(チケットが完売した湘南戦で動員18474人なので発券枚数自体はこれ以下)、16780÷20000で収容率は84%の満員試合(収容率80%以上)。出ている数字だけで判断すれば成功と言えます。

 

8月13日の浦和戦では、『グランパス夏祭り~ファミリーでひとつになる幸せ~』を開催。

夏休みらしく豊田スタジアムを夏祭り会場に大変身!縁日ブース等で子供が楽しめるような仕掛けを施したほか、先着30000名にチームカラーである赤のTシャツをプレゼントしました。

このプロモーションと、多数のアウェイサポーターが来場する浦和が相手だったことも上手く影響してか見事29508人の動員を記録しました。

 

これらのような大掛かりなイベント企画を通して、試合の勝敗に左右されない魅力的な観戦体験を提供しようとしたグランパスの取り組みは大きく評価されるべきです。

だって勝ち負けだけがサッカー観戦の楽しみではないし、「負けた。つまんなかった。もう行かない」ではファンは増えないのですから

 

 

 

【5.マスコットキャラたちの活躍がすごい!】

J屈指。いや、(気持ち悪いキャラ物が多い)世界と比較しても間違いなくトップレベルのかわいさを誇るグランパスくん。と、そのファミリー。

 

グランパスは公式HPにまず彼らのページを用意しており、グッズも多数展開。

さらにグランパスくん単体で見ると、先ほど貼ったTwitterのほかにブログまでやってます。名古屋独特の言葉遣いでファンに発信を行っています。

 

これだけでも十分なのですが、ちょっと見返してほしい。

この記事の①項目目と④項目目、ここでもグランパスくんファミリーは活躍を見せていますよね。

 

マスコットは他チームへ移籍しませんし笑、

誰しもが「かわいい」と思ってしまうグランパスくんらに活躍の場を積極的に与えるのは、非常に有効的なのではないでしょうか


IMG_20170103_025227457.png

 

 

 

 

【まとめ】

このようにチームは降格を喫したグランパスですが、クラブは通年で様々な取り組みを行っていました。

その成果は数字に表れており、成績が振るわなかったにも関わらず2016シーズンの動員数は前年比でアップしています。

 

もちろん、取り組み以外の要因が動員に影響した可能性は排除できません。

例えば大幅に配布された招待券使用の来場者数が増えていているだけで、実は入場料収入自体はマイナスになっているとか。

ただ、現時点で表に出ている数字だけで判断する限りは成果が出ていると言えますよね。

 

 

サッカーに限った話ではないかもしれませんが、

良くチームの勝ち負けだけで評価をされる方がいらっしゃいます。

Jリーグならば「J2に何年いるんだ!」「いつ残留争いから抜け出すんだ!」ってね。

 

これは決して間違った指摘・評価ではありません。

クラブ運営が上手くいってないから何年もJ2に居るという"結果"に至っている訳です。なによりチームの不甲斐なさに憤りを隠せないのは当然です。私もしばしば怒ります。

 

 

ただし、Jクラブまたサッカークラブは、勝つ為だけにサッカーをやっている訳ではありません

 

もちろん勝利は追求すべきモノですが、勝利を真っ先に追求するのは「チーム」です。

※チーム

(解説)

「チーム」は、Jクラブが有するトップ、サテライト、U -18、U -15などのそれぞれのチームを指すもので、クラブとは異なる。

 

 

「クラブ」は勝利ではなく、"サッカーを通して地域に貢献する"だとか、真っ先にそういった理念の体現を追求します。その理念を体現する手段として"勝利"を追求するのです。

※Jクラブ

(解説)

Jリーグの各クラブ。Jリーグに所属する、サッカーを専門とする運営会社。事務所は「クラブオフィス」または「クラブ事務所」。 トレーニング施設を有する施設は「クラブハウス」ともいう。Jは全角。

(注意)

「球団」「Jリーグクラブ」「チーム」とは表記しない。「球団事務所」とも表記しない。

 

 

ですから、使命を果たす為・人々に愛される為に行っている取り組みというのは本来チームの成績より大きく評価されるべきなのです。無視して語ってはいけないのです。

 

 

そしてなにより、愛される為の取り組み・ファンを増やす為の取り組みはチームが勝つ事に繋がってきます。

 

勝つ上で、試合をする上で必要なもの。

監督・コーチ・メディカルスタッフ・選手・練習施設・試合会場…それらを準備するにはお金が必要です。

 

昨年末のクラブW杯決勝を思い返してください。

開催国枠(Jリーグ王者)として鹿島アントラーズが欧州王者のレアルマドリードと激戦を繰り広げましたが、残念ながら屈してしまいました。

負けた鹿島の2015年のチーム人件費(選手ら)は20.23億円。対するレアルマドリードのクリスティアーノロナウド選手の年俸はなんと約21億円(手取り1800万ユーロ)!

世界最高のフットボーラーであるクリスティアーノロナウド選手1人を1年雇うだけで、最低21億円も必要なんです。

 

でも逆に言えば、彼らを賄えるだけの潤沢なお金があれば戦力は大幅にアップします。だから勝つ確率を上げるにはより多くのお金が必要なのです

もちろん使い方が間違ってたら意味ないけどね!!

 

 

という事で、より多くのお客さんをスタジアムに入れる為の努力ってのは勝つ為にも必要なんですよ。

「負けてるときにそんなイベントなんてやるな!」とか言う人もいますけど、そんな自粛なんてなんの意味もないんですよ。

 

むしろ色々な取り組み、マーケティング活動を通してファン層を拡大していく、お金を生み出す事の方が、長期的に見て勝ちにつながる。

また、その事が地域の活性化等につながり地域密着の理想の実現にもつながる。

サッカークラブってのはただ単にサッカーしていれば良いってモノではないのです。

 

 

フロントスタッフのゴタゴタであるとか、色々な要因が絡み合って降格を喫してしまった名古屋グランパスですが、クラブとしての取り組みや方向性自体は決して間違ったものではありませんでした。一定の成果が出たようにも見えます。

貴方の愛するクラブは、そんな昨年のグランパスと比較してみてどうですか?

 

「なんもやってないな…」と感じてしまったそのクラブ、危ないかもしれませんよ……?

 

 

ではまた

 

 

※文中の画像(最後の表を除く)は名古屋グランパス公式HPより引用致しました

 

 

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