この方は、やはり国会議員が似合っているな、と思っている。
当時野党・社民党の衆議院議員だったが、真面目な議論をするのにはこの人が一人いれば十分で、他の野党の方々は何人いてもそう役立たない、と思ったものだ。
法律実務家ではないが、法律上の問題の所在を的確に見極める力を持っておられた。
自民党の法務委員会の理事として、私は何とかこの方を説得出来るような内容にまで政府提出の共謀罪法案をブラッシュアップするのが目標だった。
説得は出来なくとも、納得してもらう、納得は出来なくとも理解はしてもらえる、そういうところにまでなんとか持っていきたかった。
しかし、いつしかこの方は国会議員ではなくなり、私の方も後を追うようにして国会を去った。
私が国会にいる内に何とかしたかったのだが、出来ないまま現在まで持ち越してしまった。
共謀罪の議論がこの通常国会で再燃するという。
反対のための反対に終始してしまいそうな野党議員の議論は多数決で押し切ってしまえばそれでお終いだが、法案の内容の細部についてまで十分の理解があり、周到な議論が展開できる保坂さんの議論は、とても数の力で押し切るようなことは出来ない類のものだった。
当時の法務委員会で議論されていたことはそう簡単に無視できるようなことではなかったから、衆議院法務委員会の理事であった私は、それなりに丁寧に議論をし、懸念事項を出来るだけなくすべく、あれこれ修正案を作成した。
保坂さんは、その時々の風に乗って当選していく凡百の国会議員よりも遥かに役に立つ。
その保坂さんの「共謀罪はなぜ過去3回廃案になったのか」という論稿をスマートニュースで読ませていただいたところである。
ああ、そうだったな。と当時のことを思い出した。
目くばせと瞬きはどう違うか、などといった議論が出ていたことは確かだ。
今の自民党の国会議員でこの問題に答えられる人は、いないはずだ。
目くばせと瞬きの違いが、なんで共謀罪の議論と関係あるの?
多分、皆さん、キョトンとされるはずである。
与野党の間で共謀罪について中身のある議論をするつもりがあったら、保坂さんに国会に戻ってもらうのがいい。
法務委員会での議論の質が格段に上がることは、間違いない。