大阪・京セラドーム参戦記(2) | 私、BABYMETALの味方です。

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アイドルとメタルの弁証法
-May the FOXGOD be with You-

★今日のベビメタ

本日1月22日は、2017年、Guns N’ RosesのSupport Actとして、神戸・ワールド記念ホールに出演する日DEATH。

 

YouTubeにいくつかのファンカムが上がっている。その中の一つBabymetal-[KyoseraDome]は、ぼくのペリスコから編集してくれたものだと思う。シアトルと同じ書き方で、「プロ用機材はダメ」(=スマホは許容範囲)ということだったので、どうせならと思ってペリスコで撮ってみたのだ。「あわ玉」の最後Twitterに気を取られて切れちゃってすみません。あと、「イジメ」はバッテリー切れ寸前でときどき飛びます。編集してアップしてくれた方、ありがとうございました。

www.youtube.com/watch?v=lr0ZXDaOCX0

ライブの感想は座席によって変わる。あれがぼくの見た角度で、検証可能です。

 

ベビメタ終了後、バッテリーがなくなったので、入口のお姉さんにお願いして一時退出させてもらい、コンビニに走り、電池式の充電機を購入して急いで戻る。ベビメタだけで帰る人、ガンズだけに来る人もチラホラいたが、大半はちゃんと残っていた。

セットリストは以下の通り。

1.It's So Easy、2.Mr. Brownstone、3.Chinese Democracy、4.Welcome to the Jungle、5.Double Talkin' Jive、6.Better、7.Estranged、8.Live and Let Die、9.Rocket Queen、10.You Could Be Mine、11.Attitude、12.This I Love、13.Civil War、14.Coma(+メンバー紹介)、15.ゴッドファーザー愛のテーマ、16.Sweet Child O' Mine、17.Wish You Were Here、18.November Rain、19.Knockin' on Heaven's Door、20.Nightrain

アンコール

21.Patience、22.The Seeker、23.Paradise City

 

ほぼ定刻通り19:00過ぎ、ステージに登場したアクセルが言った最初のひとことが凄かった。野太い声で、「オサカ!」

これで観客をつかむ。ロックンロールナンバー「It’s Easy」でピットA席も、ぼくらのまわりの観客も全員起立。やっぱガンズのライブだったんだ。(^^♪

しっかし、アクセル太ったなあ。スラッシュも全身黒だから目立たないけど、アップになると腹回りヤバいぞ。人のことは言えないが。

曲終了とともに、観客が「ウォー!」と叫ぶ。ぼくの前のメギツネさんたちも、後ろのラテン系国籍不明人たちも、大声で叫ぶ。ベビメタの比じゃない。

続く「Mr. Brownstone」もデビューアルバム「Appetite For Destruction」からの曲で、観客を盛り上げていく。メインギターのレスポールをだらりと腰だめにしたスラッシュがやっぱりカッコいい。早くも外人たちは合唱している。

スラッシュが緑の変形ギターを手にした「Chinese Democracy」をはさんで、スラッシュのディレイを使ったイントロが流れると観客のボルテージは最初のピークを迎える。「Welcome to the Jungle」である。

あの「ナナナナ…ブリ―、ブリー」は衰えない。アクセルはサングラスを外し、青い目で観客を煽る。笑顔にはほとんどならず、挑発的な表情を続けている。観客はアクセルのくるくる変わる表情に合わせて揺れている。ただ、メタル系で見られるモッシュ、ダイブの文化は、ガンズファンにはない。考えてみれば、ぼくらHR世代にはなかったのだ。パンクムーブメントからMash-Moshが生まれ、ポストパンクからダイブやクラウド・サーフィンが生まれた。

BABYMETALに慣れていると、立ち上がって合唱しているガンズファンでさえ、ヘドバンしてないだけで”地蔵”に見えてくるが、そんなことはない。ちゃんとノッテいる。

スラッシュのロックンロールギターが炸裂する「Double Talkin' Jive」が終わると、ぼくのまわりの客席の方々の中には椅子に座る方も出てきた。判断基準は、「Apetite...」からの有名曲かつアップテンポの場合は立ち上がるが、それ以降の曲で、静かめの曲では座るということのようだ。

ミドルテンポで聴くものに迫る「Better」、「Estranged」に続き、リチャードとスラッシュによるポール・マッカートニー&ウイングスの「007死ぬのは奴らだ」のカバーが始まる。「Live and let Die」である。また会場は盛り上がり、S席の客も立ちあがる。

この曲では、スラッシュはレスポールのゴールドトップに持ち替えている。褪色したタバコ色のレスポールも渋いけど、ロックンロールならゴールドトップでしょ、と広島出身の世良公則も言っている。

続いてスラッシュがピーターフランプトンのようなマウスワウを見せる「Rocket Queen」。

さらに、スラッシュが赤いフロイドローズ付きのモッキンバード(B.C.リッチというメーカーのギター)でアーミングテクを見せる「You Could Be Mine」と、ダフのボーカルとスラッシュのソロがシンクロする「Attitude」とたたみかけられ、ガンズは勢いだけで世界を制覇したのではなく、アクセル、スラッシュ、ダフ、それぞれの個性を生かした多様な表現力の厚みを持ったバンドだったからだということに気づかされる。

そして極めつけは次の「This I Love」だった。

アクセルがピアノを弾き、表現力豊かに歌い上げていくと、スラッシュがリバーブの効いた泣きのソロを聴かせる。サンタナの「哀愁のヨーロッパ」とかゲイリー・ムーアの「パリの散歩道」を想起されたし。

続いて、戦争テーマの「Civil War」。メタリカの「One」みたいなちょっと社会派的な大曲を中盤に入れてくるあたり、心憎い。そして、そのアウトロはなせか、ジミヘンの「ブードゥチャイル」。多様だよねえ。

14曲目の「Coma」でやっとアクセルによるメンバー紹介。下手から、ロン・ウッド似のサイドギタリスト、リチャード・フォータス。オリジナルメンバーのベース、ダフ・マッケイガン。ここで場内から「ダフー!」の声。メギツネさんたちは「カッコいい」という歓声を上げる。年とってもスリムだとこうなるのよね。続いてごつい体にひげもじゃの優しい笑顔が素敵なドラムスのフランク・フェラー。キーボード&コーラスのメリッサ・リーズは、緑色の髪の毛をツインテールにして、アニメ・コスプレ風。そしてちょっと間をおいて、最後に紹介したのがスラッシュ。大歓声が上がる。

ふつうは、ここでベーシストあたりから「ヴォーカル、アクセルローズ!」となるはずだが、今回はなかったような。アクセルはあくまで主役!ということなのだろう。

それが終わるとスラッシュはまた褪色したタバコ色のギターに持ち替え、スパニッシュ風のソロを聴かせる。そしてどこかで聴いたメロディだなと思うピッキング・トレモロ。それが「ゴッドファーザー愛のテーマ」であった。さらに間髪を入れず、クリーンなイントロから「Sweet Child O’ mine」になる。場内は「スイッチャーオマーイン!」と大合唱。

ステージ上の階段の上に、スラッシュとリチャードが上る。二人ともレスポールだが、リチャードのは新しいトラ目、スラッシュはあの褪色したメインの愛器。演奏されたのはピンク・フロイドの「Wish You Were Here」。同じレスポールでも、明らかに二人の音色が違う。リチャードはやや硬質で明瞭な音。スラッシュのは、少しこもったような、それでいて味わい深く、いつまでも聴いていたくなる音。ヴァイオリンでいうヤマハとストラディバリウスの音の違いのようなものだ。こういう演奏の深みを聴かせられるのも、ライブバンドとしての厚みだろう。

続いて、またもアクセルがピアノを弾く「November Rain」。エリック・クラプトンの「愛しのレイラ」の終わりにつくピアノのアウトロをモチーフにしている。

メキシコでのセトリを見たとき、何じゃこの”引用”の多さは?アクセルの好きなもの大会かよ、と思ったが、ちゃんと曲どうしがつながって、ショーの要素としての表現力になっている。

やっぱりすごいな。

そして、いよいよ終盤の佳境へ。

ガンズを代表する有名曲、ボブ・ディラン原曲の「Knockin' on Heaven's Door」。

アクセルは、会場に、「Knock Knock Knocking on Heavens Door!」と歌って見せ、カメラマンが会場の観客を映す。観客が歌っているのを見て、今度は違う方向へ移動し、客席にマイクを向ける。カメラは上から映すから、若い女の子の胸元がアップになったりもする。これが数回繰り返され、場内は「Knock Knock…」の大合唱となった。

そして、「Appetite…」のノリノリロックンロール、「Nightrain」。

場内は「ナイトレーン!」と合の手を入れる。ジャガジャーン!と達成感があって、いったんアクセルたちは退場。

3分と経たずにアンコールステージに現れたのは、アコースティックギターを手にしたダフ&リチャードと、レスポールのスラッシュの三人。弾いているのはローリング・ストーンズの「アンジー」である。ここから、曲調の似た「Patience」に移行。しみじみとしたと思ったら、ドラムスがドーンと入って「The Seeker」になる。原曲はイギリスのロックンロールバンドThe Who。

たぶんだけど、西海岸でガンズを結成したとき、アクセルとスラッシュ、ダフらの悪ガキどもは、ロジャー・ダルトリーとピートタウンゼントのThe Whoをひとつの目標にしていたのだと思う。永遠の悪ガキ、ロンドン・パンクにも通じる不滅のロックンロール魂。

だから、今回のリユニオン、Not in This Lifetime World Tourの最後に、「The Seeker」を持ってきたのだと思う。

会場は大盛り上がりだが、これで終わっちゃ困る。まだ、やってない大名曲があるでしょうが。そう、「Paradise City」である。

アメリカン・バンドらしい、クリーンな7sus4を使ったアルペジオから、レスポールらしいジャガジャーンという歪んだコードが鳴る。

「Take me down to the Paradise City where the grass is green and girls are pretty, Won't you take! me! home!」(パラダイスシティに連れて行ってくれよ、草は緑で、女の子たちはカワイイあの場所に、なあ、あんた、連れて行ってくれよ)

場内はこの早口のサビの歌詞を歌い込んでいる人の大合唱。ぼくもね。

中盤の「grass-green-girls」三連発が肝。なのだが、やっぱり、この年になると、青春時代を過ごした街、あの頃に戻りたいというのは、悲しい願望になってきますよね。

The Whoにあこがれてバンドをはじめ、世界中を巡業した絶頂期から、酒やドラッグに溺れたた事件、メンバーの不仲、つらかった時期、体の不調などを経て、今、リユニオンしている。

SU-が生まれる10年前、1987年のデビューからの歳月を思って、ちょっとこみ上げてくるものがある。

メタリカといい、ガンズといい、これだけの固定ファンがいて、名曲を大合唱してくれるのは、長いバンドの歴史によるものだ。それはBABYMETALにはまだまだ足りないもの。

そのレジェンドたちと共演できていること自体が素晴らしく誇らしいことだし、それがまたBABYMETALの歴史を作っていくと思う。

さあ、ツアーはまだ初日。本日神戸、来週は横浜とさいたま。

保証します。BABYMETAL前座によるガンズ・アンド・ローゼスNot in This Lifetime World Tour日本公演。最高です。