【柏市の家庭ゴミからも七万ベクレル超を検出】~自治体が収集する家庭ゴミの焼却灰が、八〇〇〇ベクレル/キログラムを超える指定廃棄物となった自治体は、二〇一六年九月現在、岩手県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県、東京都の六都県がある。指定廃棄物の総量は、四八五件、一二万トンを超えている。







千葉県柏市では、南部と北部クリーンセンター、二つの清掃工場で家庭ゴミを燃やしている。事故前(福島第一)、焼却灰を高温で融かしてつくる「溶融スラグ」や「溶融飛灰固化物」にし、業者がそれらを買い取り、道路のアスファルトの下に敷く材料に利用していた。事故後の二〇一一年六月、それらの放射能濃度を測定すると、最大で七万ベクレル/キログラムを超える放射性セシウムが検出された。柏市はスラグ製造などを中止し、焼却灰などと共に市の最終処分場に埋め立てることにした。ところが、市の最終処分場は住宅や学校に近接している。安全性が懸念され、柏市は運び入れを中止し、南部クリーンセンター施設内に保管することに決めた。市は、焼却灰などの放射能濃度が上がった原因は、家庭ゴミに含まれていた庭木の草などではないかと考えた。そこで試しに草や稲わらを除いて焼却してみたところ、八〇〇〇ベクレル/キログラムを下回った。以後八月十五日から、南部クリーンセンターでは、草・木・枝などの分別収集を開始し、これらの焼却灰はクリーンセンターで保管を続けた。住宅や学校に配慮した形だ。また、二〇一一年七月二六日、柏市は県外の民間の最終処分場へ搬出を開始した。県外の搬入先がどこかは公表していない。現在、柏市の八〇〇〇ベクレル/キログラム以下の放射能汚染ゴミは、千葉県以外のどこかの山か海に、人知れず埋まっていることになる。住宅に近接したところしか最終処分場を持てない、地理的な制約を持った自治体の選択だった。【秋田県へ放射能汚染ゴミを搬出した松戸市】同じく千葉県松戸市には、家庭ゴミを燃やす二つの清掃工場がある。事故前から、そこで出てくる焼却灰を、秋田県小坂町にある最終処分場「グリーンフィル小坂」に運び込んでいた。松戸市は独自の最終処分場を持っていなかったためだ。しかし、二〇一一年七月に小坂町への搬入を止めざるを得なくなる清掃工場の一つで、飛灰に含まれたセシウム一三四と一三七の合計が四万七四〇〇ベクレル/キログラムも測定されたからだ。松戸市は七月四日に焼却灰の採取を行い、結果が判明したのは一一日であったが、検査結果が出る前に、計四〇トンもの搬出を行った。本来ならば検査に出す時点で放射能が検出されることを想定し、結果が出るまで一旦、搬出を停止すべきではないか。しかも、放射能が検出されたことが明らかになったにもかかわらず埋め立てされてしまっていた。小坂町は、七月一三日から関東圏の焼却灰の受け入れをすべて停止した。一九日には本郷谷健次松戸市長が秋田県と小坂町を訪れ謝罪するに至った。(ここまで) ーーーーーーーーーー  昨日、2月16日に集英社新書から発売された、まさのあつこさんが書かれた「あなたの隣の放射能汚染ゴミ」から引用させていただきましたが、ご意見ご感想をお願いいたします。



2/17 弓場清孝