井上毅論集『梧陰存稿』を読む
~明治国家形成のグランドデザイナー、その素顔~
井上毅と言えば、明治日本を代表する法制官僚であり、その明晰な頭脳をもってして、明治日本の法整備に尽力、多大な功績を残した人物です。
「明治国家形成のグランドデザイナー」とも称され、とりわけ、『大日本帝国憲法』、『教育勅語』、『憲法議解』策定の中心メンバーであったことでつとに有名です。
本書『梧陰存稿』は、そんな井上毅が残した論説集で、いつも大いに参考にさせて頂いているブログ主さんから薦められたのをきっかけに読んでみました。
恐らく、井上毅の名は知っていても、井上毅がどういう人物だったのか、どのような考えの持ち主だったのかを知っている人というのはごく限られているのではないでしょうか。
井上毅という人物がどういう人物だったのかを知る手がかりとして、『梧陰存稿』は非常に貴重な一冊であるにも拘らず、その存在も、一体何が書かれているのかも全く知られていないように思います。
そこで、当ブログでは、そんな『梧陰存稿』に収録されている論説を今後は少しずつ紹介していければと思います。(不定期になると思いますがご容赦下さい)
『梧陰存稿』の概要について述べると、本書は井上毅の死後に公刊されたもので、第一巻を国文で記した論説をまとめて「国文存稿」とし、第二巻は漢文で記したものをまとめて「漢文存稿」とする二部構成となっています。
(残念ながら漢文については私が不勉強のため、何が書いてあるかチンプンカンプンですが、「国文存稿」は旧かな使いや、旧漢字に四苦八苦しながらも、何とか読み進めることができました。)
『国文存稿』は主に国語教育や教育、日本の国柄について述べた論文を中心にまとめられたもので、『井上毅伝 史料篇第3 井上毅伝記編纂委員会/編』の巻末の解説文によると、その多くが『明治名文集』にも収録されているそうです。
『梧陰存稿』自体は国立国会図書館デジタルコレクションにも収納されており、ネット上で無料閲覧できます。
とは言え、閲覧できるのは手書きのものであり、かつ旧漢字の意味するところが分かりづらいことも多々あろうかと思います。(実際、私がそうでしたので苦笑)
そんな時は、『井上毅伝 史料篇第3 井上毅伝記編纂委員会/編』に収録されている『梧陰存稿』を読まれることをお勧めしたいです。
旧漢字が使われているのはそのままですが、タイピングされたものになっており、読みやすさは段違いと言えます。
県立図書館などの大きな図書館であれば所蔵している可能性がありますので、ぜひ機会があれば手に取って頂ければ幸いです。(私もそうしましたw)
いずれは手書きで書かれたものや漢文で書かれたものをスラスラ読めるようになりたい・・・。
次回以降は本編に入りたいと思います。
井上毅伝〈史料篇 第3〉 (1969年)