最近注目している楽天。

その理由は、「90年代に設立され、ほぼ独自資本だけで時価総額1兆円以上まで作り上げられたほぼ唯一の企業」であり、強固な経済圏を作り上げたからです。

突然ですが、まずは売上と営利から見てみます。

単位は全て100万円です。

2016年についに野球などのその他もECに統合されてしまいました…

 

 2016年にはついにFinTechがECを超えてしまったという…

 

そして、楽天というと、切っても切り離せないのがM&Aです。

そして失敗という話をよく聞くかもしれません。

 

そこでまず、これまでの楽天の特別損失(特別利益は入れてません)をまとめてみます。

特別損失とは、減損損失(かつては連結調整勘定償却費)や事業再編損、投資有価証券評価損などの、「将来成長すると思って買収したけどうまくいきませんでしたごめんなちゃい!」というのをまとめたものです。

ここではあえて、特別利益の方は足さずに計算してみると、約4435億円にもなりました。(最初見たときやばいと思ったお・もっとある可能性もあり)

 

楽天のM&Aには大きく3つの時代が廣川なりにはあると思っています。

(もちろん例外もあります。)

 

まず、第一期。(2000年〜2003年くらい)

これは、ソフトバンクの買収を追いかけて買収したもの。

例えば、通信であったり、インフォシークなどのポータルサイトなどです。

正直成否は難しいところです。(2004年に連結調節勘定償却費が噴出してますねw)

 

次に、第二期。(2004年〜2010年くらい)

これは、ライブドアの買収を追いかけて買収したり、プラットフォーム強化を目指したものです。

例えば、DLJディレクトSFG証券などの証券であったり、あおぞらカードなどのカードなどで、金融を強化したり、旅の窓口を買収してプラットフォームを強化したり、メディアを強化するために行っています。

 

この時期、ちょうどライブドアも証券会社やカード会社を買収しており、売上の60%弱・営利の60%以上を金融が占めています。

現在ライブドアの金融部門は、かざかフィナンシャルグループになっています。

 

楽天のこの時期の買収は、大成功しています。(2008年に噴出しているのは、東京放送ホールディングスの買取請求権を行使したことから。メディアは失敗してしまいましたが、他の分野における買収は上手くいっています)(訂正1)

 

そして、第三期。(2011年〜2015年くらい)

これは、海外のECを買収したものです。

例えば、アメリカやフランスなどの海外ECを買収しています。

正直成否は難しいです。(2015年に関係会社株式評価損と減損損失が噴出していますね…ただEbatesはうまく行ってるぜっていう資料を見ました。)

 

ただこの時期は、海外のEC以外にも、国内でもアクセルを踏むために、スポットライトやフリルなどを買収しています。

 

でも本題はこれから。

以上から見ると、楽天ってMAが下手なのでは?と思ってしまいがちです。(特別損失しか書いてないからかw)

しかし、楽天の稼ぎ頭であるFinTech事業もほぼ全てが買収です。

この金融事業がすごいのが、買収してきてすぐ黒字転換していることであり、どんな魔法を使っているのか…

そこで次から、楽天がこれまでに買収した金融に関する会社についての紹介です。

 

まず楽天カード。

楽天カードは、2004年にあおぞらカードを74億円で買収したものが元になっています。

また、2005年にも165億円で国内信販を買収したものの、過払金などに耐えられずにJトラストに売却しています。(国内信販はその後ヤフーに買収され、ワイジェイカードになっています。)

楽天カードも買収当時は赤字だったものの、楽天に買収されることですぐに黒字転換しています。

また、2012年頃から営業収益が増えています。これはCMをどっかんと打って会員を増やしたことがきっかけです。(会員を増やして発生した債権は、証券化して格付けをAaaにして楽天銀行にサクッと売却)

 

 

もちろん、過払い金があって伸ばしにくかったというのもあるのあると思います。

続きまして楽天銀行。

楽天銀行は、イーバンク銀行を2008年に199.8億円・2009年に99.9億円・2010年に株式交換することで買収したことが元になっています。

イーバンク銀行は、楽天銀行に買収されるまで唯一個人が筆頭株主だった独立系のネット銀行でした。しかし、2001年に銀行免許を取得してから2008年に楽天が筆頭株主になるまでに利益を出したことが1度しかなく、それも9億円しかだしたことがありませんでした。

しかし、楽天に買収されたことで、その翌年から一気に黒字転換しています。

 

続きまして楽天証券。

楽天証券は、DLJディレクトSFG証券を2003年に300億円で、FXCMジャパン証券を2015年に74億円で買収したものが元になっています。

こちらも買収してからすぐに黒字転換しています。

続きまして楽天生命。

楽天生命は、アイリオ生命として2011年などに出資していたものの、2012年に115億円を追加出資することで子会社化したものが元になっています。

最近の業績は低迷していますが、黒字を確保しています。

最後に、楽天Edy。

楽天Edyは、ビットワレットに対して2009年に30億円出資したのが元になっています。

こちらは、買収されるまで様々な株主がいたためか、とにかく数十億円単位の赤字を垂れ流していましたが、2年ほどで黒字になっています。

 

 

 

ここで、これまでの買収額とそれによって得られた営業利益(経常利益)をまとめてみます。

 

楽天証券すごいやばい。

なんとなく楽天の金融というと、楽天カードのイメージが勝手に強かったのですが、楽天証券と楽天銀行が着実過ぎてびっくりしました。

ただ、楽天銀行は国債で全く運用しておらず、証券化された楽天カードのリボ払いで運用しており、それが格付けAaaって正直怪しいなと思っています。

(確かに小口分散化されてるかもしれないけど、そもそも楽天カードでリボ払いしてる人ってどうなんですかね…サブプライムショックを思い浮かびますね。)


(楽天カードと楽天銀行を使ったユニークなスキームについては後日…)

 

と一見買収がうまく見えない楽天ですが、金融においては、数百億円前半の買収をし、全て赤®️にして黒字転換、数千億円規模の事業に育て上げる。

これができたのは、時期を掴んで買収したことやちょっと面白いスキームを使ってみたり、三木谷さんが興銀出身であり、國重さんや山田さんといった金融機関出身の優秀なナンバー2がいたからなのかなと思っています。

(楽天の領域に挑んでいるメルカリの山田進太郎さんが、大学生時代に楽天のインターンで楽天オークションを作ってた気がする)

 

今後とも楽天には注目していきたいと思っています。

 

(追記1について)

投資有価証券評価損を過払い金請求によるものだと表記しましたが、正確には東京放送ホールディングス株式に関する買取請求に関するものでした。訂正いたします。

 

 

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