【読書】あなたのお金を「見える化」しなさい!/竹川美奈子 | THE ONE NIGHT STAND~NEVER END TOUR~

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「40歳からの〇〇学 ~いつまでアラフォーと言えるのか?な日々~」から改題。
書評ブログを装いながら、日々のよしなごとを、一話完結で積み重ねていくことを目指しています。

あなたのお金を「見える化」しなさい!ビジネスパーソンのための新お金管理術
/竹川美奈子




「投資信託にだまされるな」などの著者である、
竹川美奈子さんの新著です。

自分のお金を「見える化」しなさい、
ということですが、具体的には、
自分をひとつの会社のように見なして、
自分の「損益計算書(P/L)」「貸借対照表(B/S)」
を作りましょう、ということです。

P/L、B/Sというとビビる人がいるかもしれませんが(笑)
実際の会社ではないですから項目もそれほど多くありませんし、
そんな難しい話は出てきません。
(減価償却費だとか建設仮勘定なんて項目はでてきませんから)


★目次
はじめに
第1章  自分の家計を「見える化」する
第2章  不安や困ることを「見える化」する~死亡保障編~
第3章  不安や困ることを「見える化」する~医療保障・所得補償編~
第4章  住宅を購入・保有するコストを「見える化」する
第5章  リタイアまでに準備するお金を「見える化」する
第6章  「見える化」は資産形成にも役立つ
おわりに


お金に対する不安はありますか?
年金の問題などがマスコミを賑わわし、
不安に思うこともあるのではないかと思います。
そうかといって具体的にどうなのかはわからない。
将来的にどうなるかは専門家によっても意見が違います。
どんな対策を立てればいいかわからない、
というのが本当のところではないかと思います。

「見える化」する目的は、現状を把握する、ということです。
お金に限ったことではないのですが、いちばん性質の悪い不安は
「漠然とした不安」
だと僕は思っています。どう対処していいかわからない、からです。
そのとき最初にすべきことは立ち位置の確認つまり
「現状把握」だと思っています。

そして、現状把握をする、
つまり。P/L、B/Sを作ると次のようなことも分析できます。


・自己資本比率
・現金決済力
・リスク耐久度
 

こうした、見える化、そしてそれに基づく分析から、
すべての対策ははじまると思います。

さらに、対策を立てる際に気をつけることがあります。
週刊誌などがよく、平均的なモデルを想定して
「ああなる、こうなる」という記事を書きますが、
そうした情報に振り回されないことです。
竹川さんはこう書いています。( ちょぅと長くなりますが引用します)   

■お金に関しては一般論や平均値は当てはまりません。あなたの家庭とお隣の家庭では収入や支出、資産や負債がまったく違います。(中略)よく世間で言われている数値を鵜呑みにするのではなく、「自分の場合はどうなのだろう?」と考えてみる。そして、自分の家計を把握し、公的保障や勤務先の保障についてもきちんと調べたうえで、リスク管理を行い、資産形成を考えていくことが必要なのです
(p5~6)


自分のお金は自分にしかわからないです。
特にいままでの日本ではお金の話をオープンにする機会も
少なかったですからよけい他人にはわからない世界です。

とにかく、他人の情報に振り回されるのはやめましょう。
特に親の意見はあまり聞かないほうがいい(笑)
子どもを心配していろいろ言ってくれるのはありがたい話で、
それだけに聞かないというのは心苦しいものがあるかもしれませんが、
なにせ時代が違います、親の世代にとって正しかったことが、
今も正しいとは限らないのですから。

さて、自分の現状を把握した上で、無駄を削っていくにはどうしたらいいか、
ということが第2章から第5章にかけては、具体的に書かれています。
すぐに使えるヒントやノウハウがたくさんあるので
ぜひ手にとって読んでいただきたいと思います。

その上で、削ったお金をなにに使うか、ということですが、それは「投資」です。
むろん「金融投資」という話もあります。
リタイア後のための資産形成という意味ではとても大切なことです。
そのことについては第6章で触れられていますが、
それとともに注意すべきことがります。
竹川さんは本書の中で
「投資(自己投資含む)」
というような表現を繰り返し使っています。
つまり、投資とは単純に投資信託を買うという話ではなく
「自己」投資を含んで考えるということが大切だ。
ということです。こんな一文もあります。

■若いうちは、自分の「稼ぎ力」を高めることがいちばんの投資です。
(P96)

会社で「投資」といえば通常は「設備投資」ですよね。
そして、その設備投資が将来的にどれだけの利益を生むかを考えて
投資判断をしていきます。個人もある程度、同じ考えに立つべきだと
僕は思います。
特に若いうちは、内部留保?!ばかりに気を使うのではなく
将来の稼ぎのために投資していくことはとても重要だと思います
(これは反省を込めて書いてます)

そして、稼ぎ力を高める重要性は若いうちだけの問題ではありません
(時間価値の計算が変わるだけです)
いわゆる定年後(一般に60歳以降)の収入をを確保するうえで、
現在の稼ぎ力は大きな武器になるからです。
その理由は、(p180あたりで触れられていまが)

ひとつに、厚生年金の受取額は支払った保険料によって決まります。
つま現役時代に給与が高かった人の方が多くの額を受け取れる、
ということです。

もうひとつ、60歳でリタイアすることなく働き続けることも可能になるからです。
将来的に年金だけで暮らしていこうと考えているにしても、
われわれ世代は年金の支給開始年齢が引き上げられることは
ほぼ間違いないと思われます。
60歳でリタイアした場合、しばらくの間、無収入で暮らすことを余儀なくされます。
それにそなえて資産形成という側面もありますが、それよりも、
少なくとも支給開始年齢まで働けた方がいいと思う人が
多いのではないのでしょうか。

そのためには、その歳になっても働けるだけの
「稼ぎ力」をつけておくことが何より重要だと思います。

漠然とした不安におびえて、ひたすら貯蓄に励むのも、
逆に、わからないことから目をそらしてお金について見ないことにするのも、
どちらも生産的だとは思えません。
「わからないからやらない」と
「理解した上で、自分の判断でなにもしない」
との間には大きな違いがあります。
一度、お金とキチンと向き合ってみましょう。
「お金」と「キャリア」は僕たちが幸せに生きていくための大切な
「手段」の両輪だと僕は思っています。

PS
巻末に書き込みシートが付いています。
これにしたがって記入していくと「見える化」の手間がかなり省けます。
ぜひ活用してみてください(僕はただいま記入中です)