【読書】私はやった、あなたもできる! 定年後に働く、うれしい毎日/上田研二 | THE ONE NIGHT STAND~NEVER END TOUR~

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「40歳からの〇〇学 ~いつまでアラフォーと言えるのか?な日々~」から改題。
書評ブログを装いながら、日々のよしなごとを、一話完結で積み重ねていくことを目指しています。

私はやった、あなたもできる! 定年後に働く、うれしい毎日/上田研二




「60代前半は若造。後半から働き盛り」

テレビ東京系の経済番組、「カンブリア宮殿」「ガイアの夜明け」
でも取り上げられた、60歳以上の人材派遣会社、
の創業者である上田研二さんのご著書です。

上田さんとはこんな方です
<プロフィール>
株式会社高齢社代表取締役会長(創業者)。高校卒業後、東京ガス(株)に検針員として入社。1991年以降は子会社、協力会社2社の経営再建を果たし2003年に引退。引退前の2000年に「1人でも多くの高齢者に働く場と生きがいを提供したい」との理念実現を目指して(株)高齢社設立。

「60歳以上の」というのは、人材登録をされている方が60歳以上、という意味です。
つまり、60歳以上(世間一般でいう「高齢者」)の人たちが、
さまざまな企業に派遣され仕事をする、定年退職後も何らかの形で仕事をし続ける場がある、ということです。

<目次>
第1章 働く生きがいを
第2章 苦難を我が師とする
第3章 定年後、上手に働く秘訣
第4章 成功例の定年後に働く人たち
第5章 高齢社会にもの申す

第1章で(株)高齢社の設立の経緯や現状について、
第2章では東京ガス時代、特に子会社、協力会社2社の経営再建を果たしていく中での経験談を、
第3章では、定年後、新しい職場(派遣先や移籍先)で働くために大切だと思われることが書かれています。
また第4章では、実際に働いている方の体験談、
第5章はこれからさらに進展していく「高齢化社会」について、上田さんの提言が書かれていいます。


日本の一般の会社は、いまでも定年は60歳なのではないかと思います。
再雇用や定年延長の制度などで65歳まで働けるところも多いとは思いますが、
制度としては60歳でしょう。

ところで、いまの60歳って退職して隠居しなきゃいけない歳でしょうか?と常々疑問に思っています。
「高齢者」と呼び方が似つかわしくない人も多い、と感じているのは僕だけではないと思います。

たとえば、安倍内閣の平均年齢は57.7歳です。
まあ政治家はもともと脂ぎってる人が多いとはいえ(笑)
「爺さん」という雰囲気の人はいないでしょう。
大企業の役員も多くは60歳以上ですが、バリバリ働いている人がほとんどです。

それなのに、一般の人は60歳で働くことをやめてしまうのは、もったいないことだと思います。
本人には働ける能力も体力も残っているわけです。
高齢者が働き続けることで若者の仕事を奪ってしまう、という意見もありますが、
少子化が進み、未来の労働人口は減るのは不可避なわけです。
バブル時代は将来の労働力不足が大問題だったわけで(だから外国人労働者受入れの是非が議論になっていた)
どの道、そういう時代はやってきます。
そのとき、(あえて機械的に言えば)使えるのは女性と高齢者、と考えるのは必然です。

そうした社会のニーズをつかんで満たそうとしながら、
なおかつ、まだ働きたいという意思をもつ60歳以上の人に仕事と、
さらに生きがいすらも提供しようとしている高齢社は素晴らしと思います。

もちろん、志さえあればこうした起業がすぐできるというものではありません。
高齢社の場合、上田さんが東京ガス時代に培った人脈や経験、
とくに子会社や協力会社の経営再建に携わる中で培ってきた経営哲学がベースになっています。
そのあたりのことは第2章に書かれていますが、
なんらかの意味でリーダー的な役割を果たさなければいけない人にとっては、
とても示唆に富む内容だと感じました。

特に心に刺さったのは

■「馬鹿な大将、敵より怖い」
(p50)

説明の必要はないと思いますが(苦笑)
ライバル企業よりも、大将(経営者・上司)が馬鹿なほうが会社に害を及ぼす、
ということです。
これって、経営者のみならず、部下を持つ人ならだれでも、自戒の言葉としていかなくてはいけないと思っています。


実は、ご縁があって上田さんにお目にかかったことがあります。
非売品の本も購入させていただきました。


高齢社の仕事自体、まだ東京ガス関連の会社からの売上が半分弱を占めているそうですし、登録してくれる人材もそうした関連からの人が多いそうです。
今後、こうした部分はキープしながら全体のパイを増やして比率は下げていくのが目標だとということでした(創業時からすると徐々に比率は下がってきています)

ただ、高齢社だけで、高齢者に仕事と生きがいを提供していくことが解決できるとは思っていないとのこと。
それぞれの企業にはそれぞれバックボーンがあって得意な分野も違います。

ですから、高齢社のようなビジネスモデルを持った会社が、
業種別・地域別に普及拡大していけばいいと考えられているそうです。
そのために
「高齢者活躍支援協議会」
という一般社団法人をつくり、ここを通じて高齢社で培った
ノウハウを、
いろいろな企業に提供していこうとされています。

こうした、「自分たちだけ儲かれば」という思考は対極にある会社がこれからも活躍し続けてほしいと願っています。

高齢社の基本理念は
「社員・協力会社 ≧ 顧客 ≧ 株主」
だということです。
こういう会社こそ、日本の未来を変えていくのだと確信していますし、
応援し続けなくてはと心に決めています。