東方の三博士は新約聖書に登場し、イエスの誕生時にやってきてこれを拝んだとされる人物たち。『マタイによる福音書』2:1-13に博士たちについて記されているが、「占星術の学者たちが東の方から来た」としか書かれておらず、人数は明記されていない。彼らはヘロデ大王に「新しいユダヤ人の王」について尋ね、ベツレヘムへたどりつく。彼らはイエスを見て拝み、乳香、没薬、黄金を贈り物としてささげた・・・ということで、この贈り物の数から「三人」とするのが定着したらしい。
この乳香、没薬、黄金は象徴的な意味があるとされる。黄金は、神の子誕生としての尊重であり、また乳香は、神に捧げるための神聖な香として用いられており、そして、没薬はミイラ作りに遺体の防腐処理のために使用されていたようで、イエスの埋葬の場面でも遺体とともに没薬を含む香料が埋葬されたことが記されている。けれど、この3つは、生薬として用いられたとして、その特集が昨日の新聞にあった。http://
乳香と没薬なんて、いまでこそ聖書では、聞きなれた言葉だが、はじめ聞いたときは、何?と想像さえ出来なかった。乳の香りのするお香?臓物のはいった薬?ありえん、ありえん・・・けれども、漢方の世界では、名前さえ違っていても、それは、昔から存在しているのだという。それこそ、シルク・ロードを通って中国まで渡ったという交易の結果であろう。
日本では、使われないそうだが、この乳香と没薬は、中国では、外科・整形外科の常用鎮痛薬で、両者を併用することが多いんだそうな。
インチェンソと呼ばれる、乳香は特に、葬儀の際に使われる。ボスウェリア属の樹木(といっても良く分からないが!)で紀元前40世紀にはエジプトの墳墓から埋葬品として発掘されているため、このころからすでに焚いて香として利用されていたことがわかる。2008年度のBritish Medial Journalによると、当時から、この樹液は、炎症止めの効果があったと確認されている。また、この樹液は、既に潰瘍性大腸炎や気管支系の病気に有効として利用されているんだそうな。
また、没薬 は、フウロソウ目カンラン科コンミフォラ属の樹液とされインドからアラビア半島に分布される。没薬の言語、ミルラは、上記同様、ミイラ作りの遺体防腐に使われており、その言葉がなまってミイラになったというから、興味深い。ギリシャ神話では、ミルラノキはアドーニスの母であるキプロスの王女ミュラが変身させられた姿であり、その流す涙が没薬なんだと!最近では、男性用の香水やアロマキャンドルにも使われているようで、甘い香りだけれど、爽やかでくせがなく、疲れている時にかぎたくなる不思議なアロマだとか。さすがに、鎮静効果があるということか。
聖書には、乳香、没薬、ナルドの香油など 異国感漂う響きと想像しがたい香りが出てくる。歴史、環境、定義など、非常に奥深い。聖書と漢方が結びつくなんて考えてもいなかったな。笑
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