菅元首相の呪い ~近づく原発ゼロの日~ | 加納有輝彦
テーマ:ブログ 東京電力福島第1原発1~4号機が電気事業法に基づき19日付で廃止され、国内の商業用原発は20日で50基となった。
50基のうち唯一稼働している北海道電力泊原発3号機は5月5日、定期検査に入る。
関西電力大飯原発3、4号機の再稼働時期のめどが立っておらず、稼働している原発は5日でゼロになる見通し。
原発に関しては、菅元首相が中部電力浜岡原発の停止という「超法規的行政指導」から始まり、地元自治体と合意寸前だった九州電力玄海原発の再稼働に、これまた突然「超法規的行政指導」ストレス・テストを導入するとし、ストップをかけた。
玄海原発は、当時の海江田経産相が、菅首相の原発問題を政権維持のカードとして、もてあそぶかのような朝令暮改の指示に翻弄され、原発行政への国民の信頼を一気に失った。
その後、泣きべそをかいた海江田氏自身の信頼も地に落ちた。
鳩山元首相の、国民に了解のないまま国連でカッコつけて発表したCO2、25%削減という日本の国益を損なう重い目標を「超法規的」に掲げ、それを受けて、菅内閣の時に、クリーンエネルギーとしての原発を今後、飛躍的に増やすという方針を閣議決定。
そして、福島原発事故が起こるや、菅首相は、自らの責任はどこ吹く風、反原発を政権浮揚のカードとして、CO2削減問題などなかったのごとく、脱原発を超法規的に推し進めた。
野田政権になってからも、枝野経産相は、マスコミの論調に沿った脱原発の姿勢を発信し続けた。そして土壇場にきて、即席ラーメンのように2~3日で安全基準を作り、福井県大飯原発の再稼働をなし崩し的に決めた。
これでは、本来原発の再稼働の必要を認める人々も、民主党の場当たり的手続き論には与することはできない。
結局、民主党政権の政策決定の動機は、その時のマスコミや世論に受けるもの、あるいは、マスコミから批判を浴びないようにアリバイづくりをする、、あるいは、政権支持率を浮揚させるためのカードとして使う、このようなものであって、本当に日本の将来を見据えた「背骨」がまったくない。
入り口は、いつもマスコミの、世論の風向き次第の風見鶏そのものだ。
しかし、出口では、官僚のシナリオがなければ、にっちもさっちもいかなくなる。
民主党は、いつもこうだ。入り口では、マスコミ、世論が喜びそうなバラマキ、大風呂敷を広げる。
そして、出口では、結局、官僚の協力なければ何一つできない。官僚のシナリオ通り、操り人形として行うしかなくなる。臆面もなく自分たちが今まで云ってきたことと真逆の事をやる。
嘘をついた事になっても恬として恥じない。昔の武士なら、このような屈辱に武士の「魂」は耐えられないだろう。あるいは切腹して名誉を守ったかもしれない。
入り口と出口の間に、一年もあったのに、その間は、適当にその時のマスコミ受けのよい言葉を積み重ねてやり過ごす。今回でいえば、「脱原発」だ。
結局、菅元首相が、超法規的行政指導で「脱原発」に舵を切った。だから、出口だけ法律にのっとって再稼働を国民に求めても、そうは問屋が卸さない。
橋下大阪市長の半径100kmの関係自治体の同意を求めよ!なんていう超法規的な意見も出てくる。事実上、不可能な話だ。
これも、民主党政権の入り口=ポピュリズム、出口=官僚の言いなりという前代未聞の統治能力のなさを見せた、身から出た錆なのである。
この点、橋下市長が、民主党の統治能力なしと断ずることに、国民がスカッとする気持ちを共有するものである。
ただ、この夏、原発ゼロの方向に限りなく近づいている現状に、幸福実現党は「警鐘」を鳴らしています。
電力供給は、量とともに、質も大事です。高付加価値製造業にとって、質の高い電力が安定的に供給されることが生命線です。
計画停電に対して腹をくくれば、原発ゼロにも対応できるとする橋下市長の発言は、日本の高度産業社会に対する理解が全く欠如しているといわざるを得ません。
日本のような高度産業社会では、計画停電を前提とすることは、「国家の死」を意味します。高度産業社会の死という意味です。こうした文脈から、仙谷氏の「集団自殺」という言葉もあながち大げさではないかもしれません。
もし、再び原発事故が起きたらどうする?もう安全神話は崩壊しているのだ。断じて、原発の再稼働は許されないという意見も多いと思います。
このような意見に対しては、「絶対安全を求めることの意味」「不利益の比較衡量」等々、私もまだまだ勉強の必要性を感じます。
(ただ、私は、福島第一原発の事故は、安全神話の崩壊とは思っていません。逆に、日本の耐震技術、東電のオペレーションが評価されている部分もあることも知っておく必要があると思います。主に菅政権の人災であると考えています。その点、現在菅元首相が無罪放免で政治家として何の責任もとっていないまま、野放しで活動している事は、断じて許されないことだと思っています。)
菅元首相の超法規的行政指導で脱原発へ舵をきっておきながら、再稼働の時だけ、法律にのっとって粛々とというわけにはいかない。そういった点で、菅元首相の呪いが現政権にかけられ呪縛されている。
そして、あくまでも現政権が、原発再稼働するのなら、菅元首相の責任を追及し明白にし、責任をとらせた上で、軌道修正する必要があると考えます。
逆に、菅元首相の脱原発を推し進め、原発ゼロにするのなら、今年の夏の最悪の事態を想定し、国民に示すべきでしょう。
高付加価値の製造業の生産ラインに壊滅的な打撃となるかもしれない。失業者が増えるかもしれない。場合によっては、ローソクの生活になるかもしれない。
そして、脱原発を推進するマスコミも、広告収入の大幅な低下を覚悟すべきである。東電だって大広告主だったはず。
自分たちの収益が減り、現在、1000万円以上の年収(禄)が、大幅に減ることを覚悟せねばなるまい。その覚悟の上で、脱原発を言っているか。
そして、新聞に対し消費税率の軽減を陰で画策するのではなく、広告収入が減り、赤字となっても、堂々と10%の消費税を納めますと国民をリードしたうえで、消費税増税キャンペーンを展開すべきである。
まだ、日本は、菅元首相の呪縛の中にある。
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