ラブ・レインに登場した禁止歌「고래사냥/くじら狩り」
チャン・グンソク/장근석、ユナ/윤아主演で現在KBSで放映中のドラマ、ラブ・レイン/사랑비は1970年代の韓国の様子を表現しています。当時韓国は
朴正煕パク・チョンヒ/박정희大統領の軍事独裁政権下で、国民達は必ずしも自由を満喫していたとは言えません。分断国家として南北間で緊張の絶えない状況にあったのです。大統領により戒厳令が敷かれて、深夜0時以降は外出禁止になっていました。
このドラマでよく出てくるのが韓国国歌が街に流れると国民全員が一斉に片手を胸に当てて直立不動になるシーンです。当時、実際に夕方5時には全国に国歌(愛国歌/애국가[エグッカ])が響き渡り、走っている自動車でさえ止まって5分間ほどの時間を国歌を聞いて過ごしたといいます。今でも国歌が聞こえたら直立不動になるという習慣は残っているようです。
ラブ・レイン/사랑비の中で、美男(イケメン)ですね/미남이시네요のテギョン/태경、メリーは外泊中/매리는 외박중のムギョル/무결に続いて三度目の歌手、ベートーベン・ウイルス/베토벤 바이러스のゴヌ/건우含めると四度目のミュージシャンとしてアマチュア・バンドのメンバー、ソ・イナ/서인하を演じるチャン・グンソク/장근석(写真右)。さすがに彼でもこの時代背景では歌いたい歌も歌えません。
第四話の中で彼のバンドのメンバー(写真真ん中)がソロで禁止歌を歌い始め、どうしてこの歌を歌ってはいけないんだと嘆くシーンが登場します。ここで歌われた歌が「鯨狩り/고래사냥[コレサニャン]」。この歌は、在日韓国人歌手朴保/박보が日本語に訳してレコーディングしたのをよく聞いていたのですが、これが当時禁止歌だったとは思いませんでした。
この動画の最初の部分で、チャンモ/창모がチラっと弾き語りで歌っています。
ここでまたソロで歌い始めますが、途中で止めてこの曲が禁止曲になっていることに憤慨します。その後、場内大合唱という感動のシーンです。
この歌は元々ソン・チャンシク/송창식というフォーク・シンガーの歌で、韓国映画、「馬鹿どもの行進/바보들의 행진[パボドゥルィ ヘンジン]」の挿入歌。この歌が、主人公達が警察から逃げ回る場面で流れたということが歌唱禁止曲になった理由だそうです。
歌は海へ鯨を捕まえに行きたいという気持ちを歌っていて、これが四方を窮屈に囲まれた韓国から逃避したいという潜在的願望を表現したものだといわれています。当時の軍事政権にとっては危険思想だったんでしょうね。
この歌の動画をご紹介します。
朴保の日本語バージョン
収録アルバム「いつの日にかきっと」
本家 ソン・チャンシク/송창식の韓国語バージョン ライブ!
こちらから韓国語歌詞を転載します。
술 마시고 노래하고
춤을 춰봐도
가슴에는 하나 가득
슬픔 뿐이~~네~
무엇을 할 것인가
둘러 보아도
보이는 건 모두가
돌아 앉~았네
자 떠~나자
동해 바~다로~
삼등 삼~등 완행열차
기차를~ 타고~
간밤에 꾸었던
꿈의 세계는
아침에 일어나면
잊혀지지~~만~
그래도 생각나는
내 꿈 하나는
조그만 예~쁜
고래 한~마리
자 떠~나자
동해 바~다로~
신화처~럼 소리치며
고래 잡~으러~
술 마시고 노래하고
춤을 춰봐도
가슴에는 하나 가득
슬픔 뿐이~~네~
무엇을 할 것인가
둘러 보아도
보이는 건 모두가
돌아 앉~았네
자 떠~나자
동해 바~다로~
삼등 삼~등 완행열차
기차를~ 타고~
자 떠~나자
동해 바~다로~
삼등 삼~등 완행열차
기차를~ 타고~