間を取り戻すことは出来ないが、振り返ることは出来る。いまだからこそ読むべき演説がある。それはすなわちこの2本に他ならない。

■インド国会における安倍総理大臣演説 「二つの海の交わり」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/19/eabe_0822.html

最後の一文を読み終えて安倍総理が深い礼をした直後、静寂が打ち破られ、インドの国会議員が全員総立ちになり、長く拍手が鳴り止むことのなかった名演説。インドの主要一流メディアは新聞の全面を割いて一言も略さず全文を伝えた。 一方、日本では内容どころか演説の存在自体がほとんど報道されなかった。

■麻生外務大臣演説 「自由と繁栄の弧」をつくる

http://www.mofa.go.jp/Mofaj/press/enzetsu/18/easo_1130.html

日本の外交の基軸を、民主主義、自由、人権、法の支配、そして市場経済といった 「普遍的価値」においた「価値の外交」を推し進め、日本からカンボジアにラオス、それにベトナム、中央アジアの諸国や、グルジア、アゼルバイジャンなど、コーカサス地方の国々、キエフやウクライナまでをつないだ「自由と繁栄の弧」を21世紀の新機軸として世界の安定と発展に日本が尽くすべきであるという 外交理念。これは、中国・朝鮮に対する 「思想戦争」の宣戦布告に等しい インパクトを持っていた。 だからこそ、中国は恐れおののき、日本の親中メディアを使って潰しにかかったのである。

「価値の外交」も「自由と繁栄の 弧」も理解出来なかった日本人はこれを全力でつぶした。 変わりに与えられたのは、「パン ダの外交」だった。

伝えない日本のメディアが悪いと嘆くことは出来る。しかし演説の全文は、外務省の Webサイトにずっと掲載されていたのである。そしていまも。それでも読まない、という人は、パンダでも見に行ってはどうだろうか?