先日、「聞いてないです。情報共有を!」とコメントいただいた
震災がれき処理受け入れの件についてです。
港南地区のママさんたちからもよく質問を受けるので。
港区では、港南にある港清掃工場で4月2日から、
受け入れ処理を開始しています。
東京都知事が早々に受け入れを決め、
25年度末までに岩手県宮古市からと
宮城県女川町から計50万トンの受け入れを発表しました。
受け入れを決めているのは11都府県10政令市。
前向き検討が13道府県1市、拒否、困難が5県3市(4月7日時点)
だそうです。
→http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/localpolicy/555138/
去年10月に、女川町から特別区長会(23区の)に要請があり、
11月に受け入れを確認、特別区長会、女川町、東京都、宮城県で
「基本合意」を締結しています。
個人的には、放射性物質を拡散させるべきではないと思うし、
「受け入れないのは非国民」みたいな論調はどうかと思いますが、
現地視察に行った職員の話だと「女川町には平地が極端に少なく
処理する場所がない」とのこと。
都は約50万トン受け入れ可能を表明していますが、
現段階では、宮城県女川町から、選別された可燃ごみ
約10万トンの要請があり、この分は、23区と市部で半分ずつの処理が決定。
岩手県宮古市からの混合廃棄物約2万3千トンについては、
選別されずに送られてくるので、民間業者に委託処理。
破砕が3つの民間業者で、
それらをすべて「東京臨海リサイクルパワー」(江東区青海)という
東京電力などが出資する廃棄物処理事業者が処分を請け負い。
8000ベクレル/キロ以下の廃棄物ということで、
放射性物質に詳しい専門家が管理しているわけではない、
ということです。
都内自治体で処理するほうでも専門家はいませんが。
ただ、どちらも、焼却及び溶融処理の際に発生する排ガス、飛灰、主灰、
スラグ、洗浄砂の放射能濃度の測定については、
専門の業者に測定を委託して実施し、結果は都のHPで公表しています。
数回の住民説明会を経て、4月2日から処理を開始しています。
住民説明会の資料はこちらです。
http://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/kanri/haiki/kumiai/oshirase/documents/juumin-setsumeikai.pdf
港清掃工場の4月分の受け入れ計画では、
2日の週で64トン、9日の週で64トン、
23日の週で16トンとなっています。
通常ごみとの混合比率は、10%以下にすることが
決められています。
重要なのは、どのように安全が確保されているか、
ということだと思うのですが、
住民説明会の資料にあるように、女川町の災害廃棄物は、
磁選機、回転式ふるい機にかけられた後、
①手選別ラインで可燃物が木くず、廃プラ、そのほかなどに選別され、
この段階で空間放射線量率を測定。
100メートル以上離れたゴミの影響を
受けない場所での空間放射線量率の3倍以上の数値が
でたら、搬出はされません。
②それらを鉛の箱に入れて遮蔽放射線量率をはかります。
ゴミを入れていないときの数値と0・01マイクロシーベルト以上の
差がでたら、搬出はされません。
③コンテナ積み込み後、両側面から空間放射線量率を計測。
だいたい0・10マイクロシーベルト前後で、それを大きく上回る
場合、搬出はされません。
この3段階でチェックしています。
都の環境整備公社職員が現地に常駐して監視しているそうです。
女川町での試験焼却での放射能の測定結果は、
これも資料にあるように、
手選別ラインでの空間放射線量率が
0・09~0・11マイクロシーベルト毎時、
コンテナでの遮蔽放射線量率が
0・000~0・003マイクロシーベルト毎時、
空間放射線量率が0・09~0・15マイクロシーベルト毎時。
災害廃棄物の放射線濃度が、57ベクレル~71ベクレル/キロで、
災害廃棄物を焼却した影響は見られない、ということで、
受け入れ可能としています。
コンテナは鉄道輸送で、23区内の清掃工場に運ばれています。
実際に、焼却処理が始まって、その測定結果も
発表されています。
HPがわかりずらいのですが、
東京都環境局はこちら。→http://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/kanri/haiki/kumiai/oshirase/syoukyakusokutei/chuo_0326.html
港清掃工場(港区港南)はこちら。→http://www.union.tokyo23-seisou.lg.jp/kanri/haiki/kumiai/oshirase/syoukyakusokutei/chuo_0326.html
2日から14日までの受け入れ分の放射線量の
測定結果はこちらです。
表2のほうに、空間放射線量率測定結果がでています。
こちらは、3月26日分(災害がれき受け入れ前)との比較がでています。
0・05~0・06マイクロシーベルト毎時で、変化なしです。
表1のほうが、主灰や飛灰の放射能濃度測定結果ですが、
災害がれき受け入れ前の数値はこちら(3月1日~9日採取分)。
※焼却灰のうち「主灰」というのがいわゆる底にたまる灰で、
「飛灰」というのは、煤塵でセシウムなどが付着しやすく、
高い数値がでやすいとのことです。
「飛灰」はバグフィルターによって内部にとどめられ、
それを薬剤で汚泥にしたものが「飛灰処理汚泥」です。
【4月9日】
主灰 放射性セシウム合計 46ベクレル/キロ
飛灰 放射性セシウム合計 1094ベクレル/キロ
飛灰処理汚泥 放射製セシウム合計 930ベクレル/キロ
汚水処理汚泥 不検出
放流水 不検出
排ガスは分析中です。
【3月9日】
主灰 放射性セシウム合計 51ベクレル/キロ
飛灰 放射性セシウム合計 1026ベクレル/キロ
飛灰処理汚泥 放射性セシウム合計 675ベクレル/キロ
汚水処理汚泥 不検出
放流水 不検出
排ガス 不検出
となっていて、いまのところ、港清掃工場でも、
災害がれき処理による影響はみられない、という公式見解です。
(つづく)