居眠り運転を脳科学で分析! | 受験専門の心療内科 東大赤門 吉田たかよし

居眠り運転を脳科学で分析!

ずいぶん、さぼっていたけど、ブログ再開!

FM「Oh!Happy Morning」
第13回:居眠り運転

今朝、番組で話した内容をご紹介します!


・少年が運転する軽乗用車が10人をはねて、2人が死傷する事故が京都府亀岡市でおきた。

警察が、加害者の父親に、被害者の電話番号を教えたことが発覚して、批判の声が集まっている。

運転していた18歳の少年は、無免許だった。

言語道断だ。

しかも、居眠り運転だった。



・自動車事故の半数以上は、前方不注意とハンドル操作のミス。

そのうちかなりが、居眠り運転だといわれている。



・脳機能を扱う医者として、今日は、居眠り運転の落とし穴を解説したい。

脳機能の研究から、居眠り運転など事故に結びつきやすい特別な睡眠状態が見つかった。

それが、マイクロスリープ。

直訳したら、ごく小さな睡眠。



・目が覚めた状態から、数秒だけ、深い睡眠状態に陥って、また目が覚める現象。

夜、ベッドの上で寝る睡眠とは、まったく脳のメカニズムが違う。

普通の睡眠だと、じわじわっと眠くなり、睡眠状態に入り、じわじわと目が覚める。

マイクロスリープは、目が覚めている状態から一瞬で睡眠状態になり、数秒でまた覚醒状態に戻る。



・居眠り運転をしたドライバーを取り調べると、一般的には「私は居眠り運転はなんかしていない」と言い張るケースが多い。

必ずしも、ウソをついているとは言えない。

本人は、マイクロスリープの瞬間、意識がないので、本人の記憶の中では、普通に運転していて、気が付いたら事故が起きていた。

居眠りしていた実感はない。

それだけに、マイクロスリープは恐ろしい。



・実際、マイクロスリープによって、深刻な事故がたびたび起きている。

1879年、アメリカのスリーマイル島で起きた原発事故。

1989年、アラスカで起きた巨大タンカーの座礁事故。

いずれも、マイクロスリープが原因だと分かっている。



・事故を防ぐには、マイクロスリープがなぜ起こるか知る必要がある。

睡眠不足でも、寝てはいけないという本人の意思で、ある程度は、起きていられる。

ところが、いよいよ脳機能が立ち行かなくなると、脳は一瞬だけ眠ることによって、脳機能を回復させようとする。これが、マイクロスリープ。

この場合、意識を生み出す前頭前野も一気に眠るので、その瞬間のことを本人は覚えていない。



・ツバメの中には、マイクロスリープを利用して、南の島から日本に飛んでくるのもいる。

海の上を昼夜を問わず飛び続けるのだが、突然、羽ばたくのをやめて、10メートルほと落ちる。

でも、海面に落ちるまでに目が覚めて、また、飛び続ける。



・人間も原始時代は数秒眠ったって困ることはなかったから、脳を守るためにマイクロスリープを取る仕組みを発達させた。

ところが、文明を持ったため、自動車の運転は深刻な事故につながる。

大事なのは、自分の意志の力では、マイクロスリープは防げないということ。

睡眠不足で自動車は運転しない。

寝不足のときは、20分の仮眠。

目を閉じているだけで、マイクロスリープがとれている。