こないだは成人式でした
当たり前のように毎年急性アルコール中毒の人が搬送されてきます
(;´Д`)ノ
たまたま今年は僕が当直していたのですが、数人来た患者さんの対応をしました
対応と言ってもただ寝てもらっただけですが・・・汗
実はみんなして
「点滴とかしないんですか!?」
って聞いて来ましたが僕の答えは決まっています
「今はしません。必要だと思ったらします。脱水で循環動態が破綻しそうだと思ったらします。それ以外は必要ないと考えているのでしません。」
たぶん
「点滴したほうが早く良くなるんじゃないの??」
という疑問があると思うのですが、現時点でそれを証明する確固たる証拠はありません
なんでみんなして点滴してほしがるのか不思議でネット調べたら
早く病院に行って点滴してもらって下さい
みたいなことを書いているところがたくさんあるみたいです
逆にそう言う人達に聞きたいですが、その点滴どのくらい有効なんですか?
血液を薄めてアルコール濃度を下げるとかありますが、僕はそんな文章教科書で見た事ありませんし、いろんな急性アルコール中毒のReview見てもそんな記載はありません
一部の中毒疾患では、大量輸液をすることで尿のアルカリ化を図って排泄推進することもありますが、少なくともエタノールはそういう薬物ではありません
ちなみに、点滴をしたらすべて血管内に残るかと言ったらそうではありません
一般的な細胞外液を点滴した場合、これも報告により様々ですが20%から40%くらいしか血管内に残りません
1L点滴しても200mLから400mLです。出血とかあれば別ですが、5Lある血液にこの程度の水を足してどれだけ薄めようと言うのでしょうか・・?
点滴が意味が無いとは思いませんが、それは脱水が激しくて循環動態が破綻しかけている時です
脱水の補正のために点滴が必要なのであって、アルコールは肝臓で分解されるのをひたすら待つしかありません
個体差はもちろんありますが、通常は1時間で15-20mg/dLのアルコールが分解されます
200mg/dLを超えると嘔気が強くなり意識障害がでますが、5時間もたてばほろ酔いになる計算です
ほっときゃぁいいし、ほっとくしか無いんです・・・・汗
僕は急性アルコール中毒の人が来たら必要なのは点滴ではなくて注意深い観察だと思っています
「あーアル中ね!点滴つって寝かしとこ!!」
ってやると、患者さんを連れて来た友人や家族には一時的な満足感を与えるかもしれませんが、思考が停止してしまいます
本当に怖いのは、脱水はもちろんですが、嘔吐物の誤嚥であったり、昏睡して舌根沈下して窒息したり、さらに中枢神経抑制がおきて呼吸停止に陥ることです
呼吸の様子や脈拍数を観察してあげることの方が遥かに重要です
またアルコール中毒の人は思いもよらぬ外傷を伴っている事があります
たとえば知らんうちに転倒して頭をぶつけて外傷性くも膜下出血になっていたり、強く腹部をぶつけていて臓器損傷があったりということもあります
上記の事がなければ家で寝ていても別にかまいません
家で寝てても病院で寝ててもアルコール分解の速度はかわりません・・・
たまに
「なんでなんもせんのじゃい!!点滴くらいしたったらどうなんじゃ!!」
と凄んでくる急性アルコール中毒患者よりたちの悪いお付き添いの方がいらっしゃいますが、上記の通り何もしていないわけではありません
点滴は血管内に異物をいれる行為ですし、点滴中に患者さんが暴れたら事故につながりますし、リスクを伴います
よほどの利益が無いならすべき事ではありません
(関係ありませんが、最近シオ●ノギ製薬がインフルエンザのCMで尾●木ママに「インフルエンザの治療は点滴もあるんですってねぇ」みたいなことを言わせて、さも点滴治療を推進するかのようなことを喋らせておりますが、正直言って不愉快極まりありません。点滴の間ずっと外来ベッドを占拠してウイルスまきちらす上に、内服治療とくらべて劇的に変わる訳でもないし・・・。針を刺すとき、点滴の間、点滴の後の副作用の観察など、やったらやったでかなり労力を使うのです。軽々しく点滴を勧めるのはいかがなものかと思います。同じく「アルコールは早く病院に行って点滴を」みたいなことをされても困るのです。)
と言う事なので、昏睡に陥る様な状況でなければ診察して経過観察するだけなので、侵襲的介入はありません
ごったがえすERではその経過観察もなかなか難しいこともあるので、家族や友人の協力が必要不可欠なこともあります
変な呼吸をし始めたり嘔吐が続く時には、なりふり構わずスタッフを呼んでくれたらすばやく対応できるのでありがたいのです
たまに救急隊からの要請があった時に
「診察と経過観察のみになると思います。できたら付き添いの方にしっかり見ておいて欲しいのです。協力可能でしょうか?」
と尋ねます。
付き添い不可能なら不可能でこちらも準備しなくてはならんので、大事な情報です
すると電話口の向こうで
「治療は点滴くらいになると思うけど、その間付き添いできるかと尋ねておられますがどうでしょうか?」
と話している事があります
やめてください
( ̄Д ̄;;
話を曲げないでくれぇぇぇ
へんな期待を持たせて来院されるとこられてから困ります
上記の通り、点滴するかしないかは診察して状況判断したのちに決定されることです
昨日の人達は来院数時間で元気になって帰って行きました
(´∀`)
起きてから少しずつ水分を摂取するように促したのでした
めでたしめでたし★
最後に
僕は感情的に
自業自得だろ!
お前らにやる点滴はない!!
新成人になったんだから自己責任でてめぇのケツはてめぇで拭きやがれ!!
と思っている訳ではありません。
そう思っていたら最初からこんな仕事してないし、救急受け入れも拒否しています
だからちょっとしかそういう風に思っていません
(おもってんのかいw)
せっかく新成人になったんだから、節度を保って大人らしく楽しんで欲しいなと思います
(成人式にいって同級生と焼酎を一気飲みして同級生♀に家まで運ばれた人間も今では救急医なので、あまり大きな声では言えません・・・w)
当たり前のように毎年急性アルコール中毒の人が搬送されてきます
(;´Д`)ノ
たまたま今年は僕が当直していたのですが、数人来た患者さんの対応をしました
対応と言ってもただ寝てもらっただけですが・・・汗
実はみんなして
「点滴とかしないんですか!?」
って聞いて来ましたが僕の答えは決まっています
「今はしません。必要だと思ったらします。脱水で循環動態が破綻しそうだと思ったらします。それ以外は必要ないと考えているのでしません。」
たぶん
「点滴したほうが早く良くなるんじゃないの??」
という疑問があると思うのですが、現時点でそれを証明する確固たる証拠はありません
なんでみんなして点滴してほしがるのか不思議でネット調べたら
早く病院に行って点滴してもらって下さい
みたいなことを書いているところがたくさんあるみたいです
逆にそう言う人達に聞きたいですが、その点滴どのくらい有効なんですか?
血液を薄めてアルコール濃度を下げるとかありますが、僕はそんな文章教科書で見た事ありませんし、いろんな急性アルコール中毒のReview見てもそんな記載はありません
一部の中毒疾患では、大量輸液をすることで尿のアルカリ化を図って排泄推進することもありますが、少なくともエタノールはそういう薬物ではありません
ちなみに、点滴をしたらすべて血管内に残るかと言ったらそうではありません
一般的な細胞外液を点滴した場合、これも報告により様々ですが20%から40%くらいしか血管内に残りません
1L点滴しても200mLから400mLです。出血とかあれば別ですが、5Lある血液にこの程度の水を足してどれだけ薄めようと言うのでしょうか・・?
点滴が意味が無いとは思いませんが、それは脱水が激しくて循環動態が破綻しかけている時です
脱水の補正のために点滴が必要なのであって、アルコールは肝臓で分解されるのをひたすら待つしかありません
個体差はもちろんありますが、通常は1時間で15-20mg/dLのアルコールが分解されます
200mg/dLを超えると嘔気が強くなり意識障害がでますが、5時間もたてばほろ酔いになる計算です
ほっときゃぁいいし、ほっとくしか無いんです・・・・汗
僕は急性アルコール中毒の人が来たら必要なのは点滴ではなくて注意深い観察だと思っています
「あーアル中ね!点滴つって寝かしとこ!!」
ってやると、患者さんを連れて来た友人や家族には一時的な満足感を与えるかもしれませんが、思考が停止してしまいます
本当に怖いのは、脱水はもちろんですが、嘔吐物の誤嚥であったり、昏睡して舌根沈下して窒息したり、さらに中枢神経抑制がおきて呼吸停止に陥ることです
呼吸の様子や脈拍数を観察してあげることの方が遥かに重要です
またアルコール中毒の人は思いもよらぬ外傷を伴っている事があります
たとえば知らんうちに転倒して頭をぶつけて外傷性くも膜下出血になっていたり、強く腹部をぶつけていて臓器損傷があったりということもあります
上記の事がなければ家で寝ていても別にかまいません
家で寝てても病院で寝ててもアルコール分解の速度はかわりません・・・
たまに
「なんでなんもせんのじゃい!!点滴くらいしたったらどうなんじゃ!!」
と凄んでくる急性アルコール中毒患者よりたちの悪いお付き添いの方がいらっしゃいますが、上記の通り何もしていないわけではありません
点滴は血管内に異物をいれる行為ですし、点滴中に患者さんが暴れたら事故につながりますし、リスクを伴います
よほどの利益が無いならすべき事ではありません
(関係ありませんが、最近シオ●ノギ製薬がインフルエンザのCMで尾●木ママに「インフルエンザの治療は点滴もあるんですってねぇ」みたいなことを言わせて、さも点滴治療を推進するかのようなことを喋らせておりますが、正直言って不愉快極まりありません。点滴の間ずっと外来ベッドを占拠してウイルスまきちらす上に、内服治療とくらべて劇的に変わる訳でもないし・・・。針を刺すとき、点滴の間、点滴の後の副作用の観察など、やったらやったでかなり労力を使うのです。軽々しく点滴を勧めるのはいかがなものかと思います。同じく「アルコールは早く病院に行って点滴を」みたいなことをされても困るのです。)
と言う事なので、昏睡に陥る様な状況でなければ診察して経過観察するだけなので、侵襲的介入はありません
ごったがえすERではその経過観察もなかなか難しいこともあるので、家族や友人の協力が必要不可欠なこともあります
変な呼吸をし始めたり嘔吐が続く時には、なりふり構わずスタッフを呼んでくれたらすばやく対応できるのでありがたいのです
たまに救急隊からの要請があった時に
「診察と経過観察のみになると思います。できたら付き添いの方にしっかり見ておいて欲しいのです。協力可能でしょうか?」
と尋ねます。
付き添い不可能なら不可能でこちらも準備しなくてはならんので、大事な情報です
すると電話口の向こうで
「治療は点滴くらいになると思うけど、その間付き添いできるかと尋ねておられますがどうでしょうか?」
と話している事があります
やめてください
( ̄Д ̄;;
話を曲げないでくれぇぇぇ
へんな期待を持たせて来院されるとこられてから困ります
上記の通り、点滴するかしないかは診察して状況判断したのちに決定されることです
昨日の人達は来院数時間で元気になって帰って行きました
(´∀`)
起きてから少しずつ水分を摂取するように促したのでした
めでたしめでたし★
最後に
僕は感情的に
自業自得だろ!
お前らにやる点滴はない!!
新成人になったんだから自己責任でてめぇのケツはてめぇで拭きやがれ!!
と思っている訳ではありません。
そう思っていたら最初からこんな仕事してないし、救急受け入れも拒否しています
だからちょっとしかそういう風に思っていません
(おもってんのかいw)
せっかく新成人になったんだから、節度を保って大人らしく楽しんで欲しいなと思います
(成人式にいって同級生と焼酎を一気飲みして同級生♀に家まで運ばれた人間も今では救急医なので、あまり大きな声では言えません・・・w)