今日から新しいオフィスです。
新オフィスは
新築でフロアも広く
高層で眺望も素晴らしく快適です。

この土日の間に
机の整理などの準備をするために
新しいオフィスに行っている
人たちがSNSで何人もつぶやいていました。
その中で一人の社員がこんなツイートをしていました。

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新オフィス、どんなところかわくわくしながら来たけど、
ついてすぐにそんな気持ちが消えて悔しいような気持ちになった。
自分のチーム、組織、会社、社会への貢献と比較したら、
かなり不釣り合いだと感じるほど素晴らしい環境。
感謝と同時にすごく身が引き締る。とにかく勝ちたい。

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まともな感覚のツイートだと思いました。

今回のオフィス移転は
・急激に組織が大きくなったことによって
点在してしまったオフィスをまとめる。
・もの作りのコミュニケーションロスを
少なくするためにワンフロアの広いところをする。
の点で選びました。

総額のコストとしては
面積が増えた分増えていますが
坪単価はこれまでとほとんど変わりません。

単価以上に
予想を超えて見た目が立派なオフィスです。

ビジネスをしていると
組織が「浮き足立つ瞬間」があります。
その一つは立派なオフィスに入った時だと思います。

なぜ浮き足立つのか考えると
ひとつには
少しの満足や余裕を感じて
ハングリー精神が無くなるからだと思います。

狭いオフィスだったり
ビルが少しボロかったりすれば
ビジュアル的に
ハングリー感は分かり易いものです。

また
オフィスがすごい=自分(や自分の会社)もすごい。
と、思ってしまい
どこか上がってしまった感じを受けてしまう事も
あると思います。

上がってしまった感は同じく
ハングリー精神が無い状態で
ベンチャー企業にとって衰退の第一歩です。

小さなボロいオフィスに慣れてしまうことも、
立派なオフィスで勘違いしてしまうことも
成長を続けたいベンチャー企業としては
バランスを欠いている状態だと思います。

立派なオフィスはプラスにしか
作用しないでしょう?
と思うかもしれませんが、
「立派なオフィスの罠」みたいなものは
意外とハマってしまうもので
立派なオフィスに移ってから以降
業績がふるわない会社もあります。

少しそれますが
ワイキューブの元社長の方が書かれた本にも
そのような話しがでてきたことを思い出しました。

私、社長ではなくなりました。 ― ワイキューブとの7435日/プレジデント社

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きれいで豪華なオフィスはそれだけで
人材を引きつけます。
メディア受けも見栄え良く、
経営のテクニックとしては使える部分もあります。
しかしそれが会社がすごいことの証明ではありません。

会社が「何をもってすごい」とするのかは
シンプルに考えると

例えば、ソーシャルアプリの事業であれば
他社には負けない、ユーザーに一番支持される
良いアプリを作っているか、否か?
支持されるアプリを作り続けられる文化があるか?
です。

良いアプリを作るために、
ベストパフォーマンスを発揮する
ひとつの要素として、働く環境とは大事だよね。
と、いう話しで初めてオフィスの話になるはずです。

立派なオフィスが悪い事ではなく
「立派なオフィスの罠」にハマって
浮き足立つことがないように気をつけるべき
ということです。

また、良いオフィス環境は
会社によって異なるので
他の会社と比べること自体がナンセンスです。
会社が進んでいきたい方向、
会社の文化を表現できるものであるべきだと考えてます。
そう考えても
立派なオフィスの方向には上限があり、
その会社の文化にあった環境を考える思考を停止させる
危険もはらんでいるとも言えます。

去年サンフランシスコで見た
zyngaのオフィスは、豪華なビルでは
ありませんでしたが
クリエイティブなものが産まれそうで、
かつチームの一体感がとれそうな
良いオフィスだと感じました。

オフィス問題は
ネット業界のスピードもあって
常に課題を抱えていますが
思考停止せずに
会社組織の目的と文化にあった
オリジナルなオフィス環境づくりを
目指して続けて行きたいと思います。

オフィスのことだけを
クローズアップして
長々と書いてしまいましたが
その他にも程度の大小はあれ
組織が浮き足立つ瞬間があります。

マネジメントをしている身としては
そのひとつひとつの事象を覚えて
対応するというよりは

組織の大きな目標を明確にして、
それを達成するために文化を作る。
動きの速い業界全体と
組織全体の状態を目を凝らしてよく見る。

という基本的なことを忘れずに
事業と組織を着実に成長させて
行きたいと思います。