私は中小零細業者に支えられた、支援に全力尽くすと民主党代表選で表明し消費増税で業者つぶす野田首相 | すくらむ

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 野田首相が消費税増税を「もっとも愚かで、もっとも無意味で、破壊的な経済政策」と国会で断言していたことは、以前、このすくらむブログで指摘 しました。


 昨日、衆院で消費税増税が強行されるという暴挙がおこなわれましたが、テレビを観ていると法案に反対した民主党議員のひとりが、「野田さんは民主党の代表選の政見表明で消費税増税をおこなうとはひとことも言っていない」と指摘し憤慨していました。


 そもそも、国民に対して一度も選挙公約していない消費税増税を強行すること自体、民主主義を踏みにじるウソとペテンの政治でしかありませんが、加えて民主党の代表選の政見表明で約束してもいないことを強行する野田首相というのは、民主党の枠内で考えてもウソとペテンの政治家ということになります。


 それでは、野田首相は民主党の代表選の政見表明でどんなことを言っていたのか、その一部を見てみましょう。


 ▼野田佳彦候補の政見表明の一部分
 (2011年8月29日 民主党新代表を選出する両院議員総会より)


 今、夜の闇、夜の冷たさの中で、灯りと暖かさを求めている人がいっぱいいるんじゃないでしょうか。今こそそういう政治を実現しなければいけないと思います。


 私を支えていただいたのは、中小企業、零細企業のおやじさんたちばっかりです。当時所属していた政党は解党し、政党助成金は来ません。一人で資金集めをしなければなりません。ちょうど貸し渋り・貸しはがしの時代でした。50人の中小企業のおやじさんたちが、毎月1万円ずつ出してくださることになりました。振込では失礼です。毎月お金をちょうだいし、領収書を書いて、お礼を言いました。


 でも、だんだん不景気になっていくと、ご主人はお金を出してくれても、奥さんに会うと出してくれない、ということもありました。苦労しました。でも、世の中を支えている人、私も支えていただきましたけれども、こうした中小企業、零細企業の社長さんたちがたくさんいることがわかりました。


 しかし、今こうした中小企業、日本の宝であるはずの企業が、円高、デフレで呻吟しています。きょうもこの会合に来る前に、官邸で経済情勢検討会議、出てまいりました。政治空白をつくらないためにきょうも全力で働いていきますけれども、一方で次の手を打たなければなりません。私は、せんだって直木賞受賞作の『下町ロケット』という本を読ませていただきました。夢と志と技術を持っているけれども、資金繰りに苦労している中小企業が今いっぱい出てきているんじゃないでしょうか。そのためにも、中小企業の資金繰り支援のための経済対策を早急に講ずるように全力を尽くしたいと思います。


 中産階級の厚みが今薄くなっている。中産階級の厚みが日本の底力だったはずです。こぼれた人はなかなか上がってこられない。そこに光を当てようというのが民主党の「国民の生活が第一。」という理念だったと私は思います。


 この方向性は間違いありません。これからも堂々とその実現を、もちろん野党との協議、見合いの財源の確保等々ありますが、理想を掲げながら現実に政策遂行するのが私たちの使命だと思います。


 ――以上が野田佳彦候補の政見表明の一部分です。民主党のマニフェスト同様、「消費税増税を実施する」などという言葉は一切ないどころか、逆に、野田佳彦候補がもっとも強調しているのは、「中小企業支援」と「中産階級の厚み」に「光を当てよう」ということです。


 きょうの『東京新聞』に「中小業者 5%引き上げ時は滞納急増 価格転嫁できず自腹 倒産件数にも影響か」という消費税増税についての特集記事が組まれています。


 この記事では、2010年度の租税の新規滞納額は6,836億円。そのうち消費税は3,398億円、49.7%でほぼ半分を占め、1993年度以来、不動の“滞納税目ナンバーワン”であることや、97年4月に消費税率が3%から5%に引き上げられて滞納額も急増したこと、売上高に比例して「転嫁できる」業者も減り、零細業者ほど、消費税を売り上げに転嫁できない現実があること、そして、東京商工リサーチによると、消費税率の引き上げ時に、倒産件数が目立って増えている点などを指摘しています。(※倒産件数は96年には1万4,834件だったのが、97年4月の消費税増税で、97年には1万6,464件、98年には歴代5位の1万8,988に急増)

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 上のグラフは、『東京新聞』の特集記事に掲載されているものではありませんが、日本商工会議所など中小企業4団体の調査によるもので、「消費税が引き上げられた場合、販売価格に転嫁できるか」という問いにたいして5~7割の中小業者が「転嫁できない」と答えており、多くの中小業者は、自らの利益を削って消費税を納入していることが分かります。


 野田首相は、民主党代表選の政見表明で、「私を支えていただいたのは、中小企業、零細企業のおやじさんたちばっかりです」と明言し、中小企業支援に「全力を尽くしたい」と約束して、民主党の代表になり、首相となったにもかかわらず、中小企業支援とはまったく逆の中小零細業者を倒産させる消費税増税を強行したのです。こんなウソとペテンにまみれたデタラメな政治家が首相をつとめ続けていいわけがありません。


 「今、夜の闇、夜の冷たさの中で、灯りと暖かさを求めている人がいっぱいいるんじゃないでしょうか。今こそそういう政治を実現しなければいけない」と民主党代表選で政見表明しておきながら、政治の「灯りと暖かさ」とは真逆の消費税増税という「夜の闇、夜の冷たさ」を、野田首相は国民生活にもたらそうとしているのです。

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 上のグラフは、「家計の金融行動に関する世論調査」(金融広報中央委員会)に掲載されている数字から私がグラフ化したもので、「貯蓄なし世帯」がこの16年間で3倍超の3割近くにのぼり、野田首相が民主党代表選の政見表明で指摘していた「中産階級の厚みが今薄くなっている」ことを端的にあらわしています。

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 低福祉で自己責任社会の日本において「貯蓄なし世帯」の増大は、「中産階級の厚みが薄くなって」、貧困世帯が増大していることをあらわしています。そして、総務省「家計調査年報」の所得10分位の最下層である年間収入280万円世帯の消費税増税10%分を計算すると上のグラフのようになります。野田首相は、所得最下層の年収280万円の世帯に年間11万3千円もの消費税増税を「心から、心から、心から」強行しようとしているわけです。


 「こぼれた人はなかなか上がってこられない。そこに光を当てようというのが民主党の『国民の生活が第一。』という理念」と民主党代表選で政見表明しておきながら、消費税増税でさらに「中産階級の厚みを薄くし」、「こばれる人」を一層増大させるために野田首相は「政治生命をかけて、命をかけて」いるというウソとペテンと倒錯の政治家というほかありません。


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)