明治政府が掲げたスローガンのなかで、よく知られているのは富国強兵と殖産興業の二つだ。なるほど、日本が目覚ましい発展を遂げたのも、これらのスローガンがあってこそだろう。だが、この二つのスローガンは国家的目標だったといえるだろうか?
考え方は様々あって良いのだが、あえて私は"否"としたい。同時期、より重要な"万国対峙"というスローガンがあったからだ。欧米列強を含む世界各国と、対等にわたりあえる国になるべきだとする国家目標こそ、明治維新の最終目的でもある。
とかく日本人は手段と目的を取り違える悪癖がある。なんのための富国強兵か、なぜ殖産興業を必要とするのかをゴッソリ忘れ去ってしまい、まるで、それ自体が国家目標であったかのように考えてしまうのも、そんな悪癖からくるものだろう。
万国対峙の手段として富国強兵と殖産興業を選んだことは妥当であった。それらの手段をもって日本は強国の一角を占めるようになり、明治44年には不平等条約の解消をもって"万国対峙"を具現化したといえよう。
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