キャンプのちから | 小泉自然楽校のぶろぐ

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「3.11を忘れない」をテーマに、
小泉自然楽校事業がスタートします。
気仙沼市小泉地区の海、里山、森、畑などの自然の中で、
子どもたちはいろんな体験をしていきます。

更新がおそくなってすみませんでした。
僕自身、昨日までキャンプに行っていたので、今日はここ小泉自然学校でも行われている「キャンプ」について書きたいと思います。

昨日まで僕が行っていたのは、別の団体が運営しているキャンプで、知的障がいをお持ちの方々とともに山中湖にいってきました。参加者1人にボランティア1人がマンツーマンでつく体制で、参加者64名、ボランティア80名の大きなキャンプでした。

僕と一緒に参加した方は、じっとしているのが苦手で、たえずキャンプ場を歩き回ったり、走り回ったりしていました。じっとしていると、だんだんストレスがたまってくるんです。

急な雷が鳴って大雨になったときは、「コワイ」「コワイ」と言ってとても不安になっていました。外へ出ることもできず、だんだんストレスがたまってきて、体に力をいれてみたり、服を引きちぎいてみたり。とても不安が大きかったのでしょうね。怖かったんでしょうね。でも、僕はどうすればいいかわかりませんでした。ただ、となりにいてあげることしかできないんです。手を握って、「大丈夫だよ」って声を掛けることしか。でも、そのあとお風呂に入ると、しだいに落ち着いてきて、最後は浴槽の中を、まるでワニのように歩き回っていつもの笑顔が戻ってきました。やっと不安がなくなってきたんでしょうね。

アイスを食べにいったときは、はじめ、「アイス食べますか?」と聞くと、「いらない」というような反応。しかたなく帰ろうとすると、コンビニへもうダッシュ。なんとか追いつくと、麦茶を取っていました。そうか、麦茶がほしかったのね。それから、じゃあ帰ろうかということでコンビニから出ると、なんか帰らなそうな足取り。すると、反転して横断歩道の方向へ猛ダッシュ。信号は青でしたが車が来ていたので、必死に抑えることに。それでも車が行ってしまうと僕の手を振り切ってもうダッシュ。「危ない」と思って必死に追いかけると、彼はアイス屋さんの前でピタっと止まりました。あっ、やっぱりアイスが食べたかったのね。どうやら、さっきはアイスを食べるタイミングではなかったようです。そういうえば、普段の食事のときもよくあったんです。「ごはん食べる?」と聞くと、イヤそうな反応をするのに、10分くらい経つと自分でがつがつ食べ始める。自分のタイミングがあるんですね。

忘れられない瞬間があります。その参加者の方が大好きなハイキングから帰ってきたあと、みんなで部屋でゆっくりしていると、とつぜん僕の背中によじ登ってきました。いきなりのおんぶ。よっぽど楽しい気分になっていたのでしょうね。降りてしばらくすると、また走り寄ってきて、こんどはだっこ。そんな歳でもないんですけどね、その方。でも、とても素敵な笑顔を見せてくれました。

そんなこんなで、その方と過ごした3泊4日。なにを言いたいのだろう。なにをしたがっているのだろう。どうすればいいのだろう。正直、自分の不安も大きくて、どうすればいいか分からず悩んだことも多かったのですが、それでも、ときおり見せる笑顔に心が温かくなり、一緒に楽しいときを過ごすことができました。「人と向き合う」というのが少し分かった気がします。

たった4日間。でも、東京で過ごす日常の4日間とは、密度が比べものにならないくらい濃いキャンプ生活。起きてから寝るまで、いや寝てる間までも参加者の方に向き合い続ける体験。このキャンプのディレクターが、終わった後に言っていました。

キャンプに行く前と後では、何かがちょっとだけれど確実に違ってる。

キャンプは自分が組み替えられる体験だ。
それは、ある意味では怖いことでもある。

でも、勇気をもって、自分が変わっていくことを楽しみたいと思う。


キャンプに参加することで、参加者として、あるいは、ボランティアとして、きっと自分の中の何かが変わるはずです。僕は今回のキャンプで、「人と正面から向き合う」という貴重な体験をさせてもらいました。たしかに、なんとなく見える風景がキャンプ前と少し違うことに気づきます。実は、こないだ母が足首の靭帯を断裂してしまったのですが、家の中で「痛い痛い」とずっと言っていて、正直イライラしていました。「痛いなら病院いって痛み止めもらえば」というと、「いやだ」の一点張り。今日きづいたのは、きっと「痛い痛い」にはただ足首が痛いだけじゃなくて、たぶん言葉にならないイライラがたくさん入ってるのでしょうね。話し相手がいないとか、歳を取ることへの不安とか、キャンプばかり行くオレへの不満とか、たぶんいろいろ。そんな言葉にならない思いに少し気づいたような気がします。


そんなキャンプの魅力はキャンプに参加した人だけが感じることができます。みなさんにも、ここ小泉自然楽校で、キャンプのちからを体感していただきたいと思っています。この自然楽校はふつうのキャンプ場とは少し違います。どう違うのか、ぜひ皆さんにもお伝えしたいと思うので、次回からは、小泉自然楽校の施設・フィールドについて書いていきます。それではまた。

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