尖閣、竹島、漁業権を考える | pink's blog - 学校じゃ教えてくれない経済学

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前回、「尖閣、竹島、ホリエモン堀江貴文が逮捕される訳」を投稿以降、Twitterで色々と意見交換させて頂きました。その中で、尖閣、竹島に関わる海域の漁業権の問題を取り上げる方が多かったので、今回、漁業権について考えてみます。

まず、討論番組における、堀江氏と慶応大学法学部講師の竹田氏との会話を見てみましょう。(2分55秒付近)



堀江「明け渡せばいいじゃない。なんか問題ある?」
竹田「国土が犯されるということ」
堀江「だから、国土が侵されて、何かマズイのか?って聞いているの」
竹田「経済的に見たって漁業権の問題だってあるわけです」


さて、現在、日本が明らかに保有する漁業可能区域としては、例えば、三陸沖、東京湾、更には、琵琶湖、相模湖、果てには、多摩川、最上川、などなどがあります。

では、質問です。

あなたは、漁師になり、それら日本が漁業権を有する地域に赴き、魚の捕獲を仕事にして生活して暮らしたいですか?

日頃、私たちが、魚屋、スーパーなどで、目にする魚は、誰かが捕獲してきたものです。そして、日本の全人口比率から漁業に勤しんでいる人の比率が少ない事を考えると、今、この文章を読んでいる貴方はほぼ非漁業の方でしょうから、すなわち、誰かが捕獲してきた魚を食べているわけです。

なぜ、貴方は、他の誰かが捕獲してきた魚を口にするのでしょうか?

それは、貴方が、ご自身で、漁師をして魚を捕獲するより、他の仕事をして漁師が捕獲した魚を食べる生活の方が良い、と判断されているからです。

すなわち、漁師生活で得られる収入と諦めなければならない生活と、今、あなたがしている仕事と生活を天秤で比べた場合に、今の方が良いから、今を選んでいる訳です。

結局、私たちは、全てをバランス良く、トレードオフしながら、生きている訳です。

例えば、スーパーに行くと、サンマが売られています。
産地はインド産だったり、北海道産だったり、色々とあります。
インド企業から雇われた日本人漁師がインド洋に行き捕獲したサンマはインド産です。
日本企業から雇われた中国人が三陸沖に行き捕獲したサンマは三陸産です。

尖閣、竹島を取り上げて、漁業権を失うということ考える際には

1. 仮に漁業権が日本に帰属したとして誰が竹島に漁業に行きたいのか?
2. 日本人漁師と中国人漁師が同じように漁業をした場合に店頭価格はどちらが安いのか?
3. そもそも尖閣、竹島で漁業は、生産性が合うのか?

を考えなくてはなりません。それ次第では、「漁業権は中国に渡して、中国漁師が捕獲した魚を購入する方が得である」という状況になり得るからです。


さて、以上、漁業限定で話して参りましたが、同じく魚の捕獲方法としては水産業が行う養殖という手法があります。私たちが日常的に口にする食材としては十分な味と品質の魚介類を極めて効率良く高い生産性で提供してくれる方法です。

特に昨今、漁業水産業で働きたい方が少なくなる中で、少ない人数で大量の魚介類を収穫出来る養殖は、私たちの生活の可能性を大きく広げることに貢献している面もあるでしょう。すなわち、丘における狩猟生活時代に耕作という文明が加わり生活の可能性が増えたことと相似します。更に時代とともに耕作技術が進み人口辺りの農業従事者が減っても収穫量が増え、多くの方が土地に縛られる事なく、より自由に可能性豊かな生活が送れるようになりました。


実質的な経済、生産性、それらを考慮した場合に、果たして、仮に、尖閣、竹島の漁業権を失うとして、どうなのでしょうか?仮に、漁業権に値段をつけるとして幾らの値段がつくのでしょうか?ちなみに、養殖の場合、尖閣、竹島などの離島は価値がないでしょう。


以上を理解すると、尖閣、竹島関連の報道にも、別の見方が出来るのではないでしょうか。


それでは、最後に、冒頭の質問を、もう一度してから、本記事を終えたいと思います。

あなたは、漁師になり、それら日本が漁業権を有する地域に赴き、魚の捕獲を仕事にして生活して暮らしたいですか?

いえ、最後ももう一つ加えたいと思います。

あなたは、漁師になり、尖閣、竹島海域で、魚の捕獲を仕事にして生活して暮らす人生を送りたいですか?

シリーズ【尖閣、竹島】はコチラから
1. 尖閣、竹島、ホリエモン堀江貴文が逮捕される訳
2. 尖閣、竹島、漁業権を考える