∞イケメン・ジョニーはスーパースター? #33 | ワールズエンド・ツアー

ワールズエンド・ツアー

田中ビリー、完全自作自演。

完全自作、アンチダウンロード主義の劇場型ブログ。
ロックンロールと放浪の旅、ロマンとリアルの発火点、
マシンガンをぶっ放せ!!

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「ジョニーの夏は旅に迷って。」


 夕刻にもなれば秋が漂い始める、落日は日々早くなり、日中はまだ暑くも夕風の茜色に伴い、夏はその終わりを様々な角度から知らしめつつある。
 男たちの旅も終盤に差し掛かっていた、武者修行のドサ周り、ジョニー率いるパンクロックバンド「 ザ・シガレッツ、2012夏のツアー」は幾多の困難と波乱を刻みながら、あとわずか数カ所を残すのみである。

 バンを運転するヒラサワくんのケータイが鳴った、助手席でタバコを吹かす天野くんがそれを受ける、着信はマネージャーのまどか嬢だった。
「うわ、まどかさんじゃん……ジョニー、代わってくれよ、こぇぇんだよ、あのコ……」
 後部席のジョニーは地図を拡げていた、ナビなどあるはずもない彼らの旅は地図が必須である。
「ん、いいよ」
 ジョニーは拡げていた地図を天野くんに渡す、代わりにケータイを受けた。
「あ、もしもしジョニーだけども」
「あんたに電話した覚えはないんだけど!」
 いきなりご立腹の様子である。
「ヒラサワくんは運転してるし天野くんはまどかさんがニガテなんだって」
 ジョニー、余計なこと言うな、振り向いた天野くんは人差し指を重ねてバツ印を示す。
「まあいいわ、あんたたち、いまはどのあたり? もうそろそろ△□市じゃないの?」
「んー。それがさ、よく分かんないんだよね」
「地図見なさいよ、現地についたら合流するから」
「合流?」
「様子見ってところよ」
「え、用済み⁈」
 ジョニーは思わず聞き返した、その仰天してしまう言葉にヒラサワくんは急ブレーキをかけてしまい、天野くんは額をフロントガラスに激しく打ちつける、コーヒーはこぼれ、積み重ねたスポーツ紙が崩れ、ジョニーがヒラサワくんと天野くんの間に突っ込む。
「用済みじゃなく様子見‼ 次のライブ会場には私も行くから‼ で、いまはどこなの⁈」
 ジョニーは座席下に落ちた地図に目をやる、そして開いていたページにある言葉を伝えた。
「いてて……いまは……ええと……も、もすくわ?」
「……は?」
 ヒラサワくん、天野くん、そして電話の向こうのまどかさん、三人の声が揃う。……もすくわ?
「あ、これ、日本地図じゃなかった、俺、世界地図を見てたんだね……。変な地名ばっかだなーって思ってたんだ」
 迷うわけだった、ジョニーにナビゲーターはできそうにないらしかった。



〈ロックンロールはつづいてく〉

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イケメン・ジョニーはスーパースター⁈ (おまとめ篇。)

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☆ジョニーとペンギン、接近遭遇

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祈り火と過ぎる夏
祈り火と過ぎる夏 <最終話>

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performed by billy.