北別府学公式サイト運営チームです。 いつも北別府学を応援いただきありがとうございます。インタビューシリーズいよいよ最後、引退から今のカープへの期待の気持ちを語っていただきました。

明日からは通常のブログに戻る予定です。
本日はテレビ朝日「アメトーク」でカープ芸人が登場ですね。
皆さんお見逃しなく!

それでは、ごゆっくりお楽しみください。
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運営)現役時代の北別府さんは、515試合に登板され、その中から北別府さん自身に、印象深い試合を3試合ほど選んで頂きました。そして、他の2試合についてもその時のエピドードを紹介させていただく訳ですが、まず一つ目が先に紹介させていただいた、1992年(平成4年)9月13日、東京ドームでの巨人戦。前田智徳選手にまつわるエピソードでした。

そして、もう1試合お話をおうかがいしたいのが、1994年(平成6年)9月20日、旧広島市民球場での対巨人戦です。本来であればこの試合は、北別府さんの引退試合と言うことで、試合のどこかで投げる予定だったと思いますが、投げることはなく、試合後引退セレモニーだけが行われました。

そう言った別の意味で、印象に残っている試合なのですが、あの時、北別府さんは、どういった心境だったのでしょうか?


北別府)そうですね。僕は、この年、ひじを痛め、投げる事に限界を感じて、この試合の5日前の9月15日に引退を表明しました。1991年以来、3年ぶりの優勝に向け、チームは首位巨人を追い掛ける立場にいた中で、引退を表明するのは、チームに迷惑をかけるかな…と思ったのですが、自分の中では、限界だったのです。

首位・巨人と、2.5ゲーム差で迎えたこの試合。カープが5点を先制したんですが、中盤に追いつかれ、逆転された。しかし、七回に1点、八回に当時入団三年目の金本のソロホームランで同点に追いついた。その段階で、ブルペンには、僕と大野と、鈴木哲の3人しか残っていませんでした。僕は、残っていたふたりに「同点になったら俺は投げんぞ、お前ら投げろよ」と言っていたんです。引退表明をした後、僕の気持ちは切れていたんです。引退試合の冠が付いていたけど、僕はあの試合は、本当は投げたくなかったんです。

19年間投げてきて、唯一ですね。投げたくなかった試合は…。

先発は近藤芳久(現在カープスカウト)だったし、試合も中盤から競った展開になって、状況を考えると、もう最後しかない。八回裏に、前田智徳のタイムリーで勝ち越ししたら、九回は抑えの大野しかいないじゃないですか。試合に勝たないといけない訳ですから…。
僕は、試合途中まで、ブルペンで、軽く投げてはいたけど、引退する事で、気持ちが切れていたから、仮にマウンドにあがっても、ちゃんと投げられなかっただろうし、打者に向かっていく闘争本能も無かったような気がします…。

試合が終わって、ブルペンからベンチに帰った時、三村監督に迎えてもらい、セレモニーでは、暗い中でグランドを一周回って、ファンの皆さんに挨拶させて頂きましたが、まさか、涙が出るとは思いませんでした…。

本当に、19年間の現役生活が良かっただけに、その分、今から野球界はもちろん、お世話になった方に、残りの人生を恩返ししなきゃいけないなと思います。


運営)では、最後の質問ですが、カープのOBとして、今回野球殿堂入りを果たした事で、今の投手陣に対して、託したいものはありますか?



北別府)やっぱり負ける悔しさを感じて、もっとその悔しさを前面に出してプレーして欲しいですね。今は、“エース”と呼ばれる称号が、右投手、左投手、中継ぎ、抑え…それぞれに付いているから、チームの投手陣を引っ張る本当のエース(柱)が誰だか分からない。

僕は、エースと呼ばれる投手は、やはり先発投手だけだと思っているし、リリーフ陣に頼るのではなく、完投・完封、最低でも、7回は投げ抜くぐらいの気持ちで投げて欲しいと思っています。
野手は、真夏の暑い時期だろうが、毎試合フルイニングで出場している訳だから、ピッチャーだけ一週間に1度だけ投げるだけじゃいけない…。自分に厳しくしないと…。もちろん、野手も、ピッチャーに対して厳しく、言わないといけない時にはちゃんと言わないと。そう言ったお互いの切磋琢磨の中で、ピッチャーは、「野手のためにも…」頑張らないといけない、といった気持ちが生まれ、気持ちが強くなっていく訳です。そうすれば、チームはもっと強くなれるはずです。

今のカープには、マエケン、福井、斎藤、篠田、そして野村…と若い投手が揃っているから、近い将来、間違いなく投手王国ができる。そのためにも、ひとり一人がメンタル面をもっと鍛えて、強い気持ちで投げて欲しいと思います。

例えば、打たれてベンチに戻ってきた時、もっと悔しさを表情に出してもいいと思うんです。せっかく先発ローテーションピッチャーとして投げている訳ですから、1試合100球前後になったら交代するんじゃなく、「もっと投げたい!」と言ってもいいと思っています。そこで、交代したら、いつまでたっても、辛い山を越えることができない。「後は、青木高がいるから、大丈夫」と言った気持ちじゃなく、「今日は俺がまだ投げる。青木を休ませてやろう」そう言った気迫を見せて欲しいですよね。

そう言った気持ちが、投手陣それぞれに芽生えてくれば、チームは当然強くなってきます。
打線が、1点取ってくれれば、後はピッチャーに任せて欲しい。そんな強い気持ちを、今の投手陣、そしてこれからの選手には、伝えて、実行していって欲しいですね。


運営)なるほど。強い気持ちですね。今日は、どうもありがとうございました。