昔のままに築地塀完成 大通寺で近く台所門修復工事 | 近江毎夕新聞

昔のままに築地塀完成 大通寺で近く台所門修復工事

 真宗大谷派長浜別院大通寺=長浜市元浜町=の山門両脇を囲む、築地塀(ついじべい)の修復工事がこのほど古典的な工法「築地」で復元された。
 工事は、総額九億五千万円余りを投じて計画されている大通寺、五村別院(虎姫町)修復計画の一つ。三年後には山門の大修復工事に入るが、築地塀の傷みが激しいことから昨年七月から修復を先行していた。
 築地塀は山門の両脇にある山廊(山門階段出入り口の建物)の左右に建つL字形の塀で、各約十㍍。練り土を突き固めて造ったもので、石垣の基礎に二㍍二十㌢間隔で柱が立ち、小屋組みの屋根瓦が乗る構造。
 山門が起工された文化五年(一八〇八)から、完成の天保十一年(一八四一)までに一体的に建造されたとみられ、瓦の葺き替えなど幾度か修復されていた。しかし台風で倒壊した松が塀を直撃するなど傷みが目立っていたことから、修復整備委員会では、塀の前にあった柵を撤去し、塀の柱や貫(ぬき)の腐朽部分を修復。新材の使用を可能な限りひかえ、在来工法で復元した。施工は社寺建築の橋本工務店=長浜市西浅井町大浦=。
 また、塀の西側に続く海鼠(なまこ)壁の補修工事も完了した。総会(そうがい)所の外壁で、海鼠塀は腰壁部分に平瓦を貼って、目地部分に漆喰を盛り上げて仕上げる工法。平瓦や漆喰のはく落が目立っていた。
 秋には築地塀のそれぞれ正面に本山から譲り受けた松を植栽し、砂を敷いて小庭園とする方針。
 同寺では近く総会所西側の台所門の修復工事をスタートさせ、天正十六年(一五八八)ごろの建造物を、四百二十二年ぶりに本格修復する。工期は一年余り。
〔写真〕修復された大通寺築地塀と海鼠(なまこ)壁