赤紫のボーリングシャツを着た男、細長いシルエット、
固めたポマード、リーゼントはグレープフルーツの匂いがしてる、
ブーツの爪先、キズだらけ、
夜を生きる意気地無し、あてもなく徘徊してる、
生焼けのハンバーガーをアルコールで流し込む、
路地裏に迷い込んだら酔いは醒めない、
名前はないんだ、あったけれど捨ててしまった、
優しい思い出も、蔑まれた記憶さえ、
なにもかもに火を放った、
孤独を装うのが好きで、誰より淋しい男、
左の肘の上あたり、慈悲を浮かべる誰かの入れ墨、
気づけばいつも撫でていた、
父親は逃げた敗残兵、母親には会ったことがない、
ブラインド・レモンを真似る、退屈そうなギターを奏でる、
恋人ももういない、
ゴミを漁る野良猫や、宿代を欲しがる娼婦、
ガードレールを蹴飛ばす貧民、偽の銀を路上に広げるポニーテイル、
カラスがつつくゴミの山、道端に咲いて枯れないままの花、
花はひかりに見えたけど、男はそれを蹴飛ばした、
この街が嫌いで、だけど、どこにも行けない男、
蹴り飛ばして千切れた花のは光だ、それだけは覚えてる、
飛び散る花びら、色は光だ、それだけは覚えてる、
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祈り火と過ぎる夏
⇒祈り火と過ぎる夏 8
⇒祈り火と過ぎる夏 9
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⇒〝joe〟
⇒月と背骨と足元と
⇒high time
⇒砂漠に雨が降る
⇒ルフトハンザの孤独
performed by billy.